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2話
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崩れかけた扉を押し開けると、カビと埃の匂いに混じって、酒と汗とタバコの臭いが鼻をついた。薄暗い広間の中央には、焚き火が燃えている。その周りを、十数人の男たちが取り囲んでいた。
全員が、王国の騎士団服を身につけている。だが、その表情はどこか歪み、服は汚れ、武器も手入れされていないように見えた。彼らは私を見ると、一斉に動きを止め、胡乱な目で私を値踏みし始めた。
「なんだ、女か」
誰かが下卑た声で呟く。別の男が笑い声を上げた。
「ここは女が来る場所じゃねぇぞ。とっとと出ていけ」
彼らの視線が、まるで私を蝕むように痛かった。聖女だった頃、人々は私に尊敬と慈愛の目を向けた。だが、彼らの瞳には、憐憫も尊敬もない。ただ、警戒と侮蔑だけが宿っていた。
「私は、今日からこの寮の寮母を務めることになりました、リーリアと申します」
精一杯の勇気を振り絞り、声を出す。だが、私の言葉は彼らの嘲笑を増幅させるだけだった。
その時、一際背の高い男が、焚き火の影からゆっくりと姿を現した。漆黒の髪に、鋭い眼差し。手入れの行き届いた剣を腰に下げており、この場にいる他の誰よりも、まともな騎士に見えた。
「寮母だと? 馬鹿なことを言うな。ここは、我々『はぐれ者』に捨てられた場所だ。お前のような女が務まるわけがない」
冷たい声だった。まるで氷の刃で突き刺されたかのように、私の心臓が痛む。彼が、この騎士団の寮長なのだろうか。
「私は…ここで生きていかねばならないのです」
もう聖女ではない。ただの罪人。この場所を去ることはできない。私は震える声で告げた。男は私を一瞥すると、興味を失ったように背を向けた。
「勝手にすればいい。だが、この寮に手出しはするな」
彼はそう言い残すと、奥の部屋へと消えていった。
残された騎士たちは、再び私を無視して、酒盛りを再開する。私はただ、呆然と立ち尽くすしかなかった。
ここが、私の居場所なのだろうか。
私はこの暗闇の中で、本当に生きていけるのだろうか。
誰も私を信じてはくれない。
だが、もう聖女として生きる必要もないのだ。
私は、そっとポケットに忍ばせていた、小さな裁縫道具に触れた。この場所を、この人々を、自分自身の力で変えていく。かつての聖女ではなく、私自身の力で。
全員が、王国の騎士団服を身につけている。だが、その表情はどこか歪み、服は汚れ、武器も手入れされていないように見えた。彼らは私を見ると、一斉に動きを止め、胡乱な目で私を値踏みし始めた。
「なんだ、女か」
誰かが下卑た声で呟く。別の男が笑い声を上げた。
「ここは女が来る場所じゃねぇぞ。とっとと出ていけ」
彼らの視線が、まるで私を蝕むように痛かった。聖女だった頃、人々は私に尊敬と慈愛の目を向けた。だが、彼らの瞳には、憐憫も尊敬もない。ただ、警戒と侮蔑だけが宿っていた。
「私は、今日からこの寮の寮母を務めることになりました、リーリアと申します」
精一杯の勇気を振り絞り、声を出す。だが、私の言葉は彼らの嘲笑を増幅させるだけだった。
その時、一際背の高い男が、焚き火の影からゆっくりと姿を現した。漆黒の髪に、鋭い眼差し。手入れの行き届いた剣を腰に下げており、この場にいる他の誰よりも、まともな騎士に見えた。
「寮母だと? 馬鹿なことを言うな。ここは、我々『はぐれ者』に捨てられた場所だ。お前のような女が務まるわけがない」
冷たい声だった。まるで氷の刃で突き刺されたかのように、私の心臓が痛む。彼が、この騎士団の寮長なのだろうか。
「私は…ここで生きていかねばならないのです」
もう聖女ではない。ただの罪人。この場所を去ることはできない。私は震える声で告げた。男は私を一瞥すると、興味を失ったように背を向けた。
「勝手にすればいい。だが、この寮に手出しはするな」
彼はそう言い残すと、奥の部屋へと消えていった。
残された騎士たちは、再び私を無視して、酒盛りを再開する。私はただ、呆然と立ち尽くすしかなかった。
ここが、私の居場所なのだろうか。
私はこの暗闇の中で、本当に生きていけるのだろうか。
誰も私を信じてはくれない。
だが、もう聖女として生きる必要もないのだ。
私は、そっとポケットに忍ばせていた、小さな裁縫道具に触れた。この場所を、この人々を、自分自身の力で変えていく。かつての聖女ではなく、私自身の力で。
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