追放された元聖女は、イケメン騎士団の寮母になる

腐ったバナナ

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3話

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 翌朝、リーリアは早朝から行動を開始した。まずは、広間に散乱した食器の山を片付けることにした。汚れた皿を一枚ずつ洗い、使い終わった水は、聖女の力で浄化する。

 すると、たちまち水は澄みきり、洗剤も使っていないのに皿は光り輝いた。
 しかし、そんな彼女を嘲笑うように、騎士たちの嫌がらせはエスカレートしていく。

「おっ、寮母さんがお掃除ごっこしてるぜ」

 誰かがわざとパンくずを床にばら撒いた。別の騎士が、洗い終わったばかりの皿を奪い、地面に叩きつけて割る。

「おいおい、そんな女々しいこと、この寮じゃ無駄だぜ」

 彼らの言葉は、まるで氷の粒のようにリーリアの心を打ち付けた。それでも、彼女は黙って箒を手に取り、割れた皿の破片を拾い集める。

「この場所を、あなたの望むままに荒れたままにしておくことはできません」

 静かに告げると、騎士たちは面白くなさそうに顔を見合わせた。

 その夜、リーリアは騎士たちの酒盛りが終わった後、ひとり残って掃除を続けていた。すると、広間の奥から、かすかな物音が聞こえてくる。

「訓練をサボってばかりじゃないか…」

 聞こえてきたのは、冷たい声。リーリアがそっと音のする方へ向かうと、そこには広間では見かけなかった男たちがいた。

 彼らは、暗闇の中で剣を振り、厳しい訓練を続けている。その中心には、昼間に私を突き放した寮長のゼノンがいた。

 彼の剣の動きは、他の騎士とは比べ物にならないほど洗練され、無駄がない。彼らは、なぜこんな場所で、ひっそりと訓練を続けているのだろう。

 彼らが「はぐれ者」ではないことを、リーリアは直感的に悟った。

「…何をしている」

 ゼノンが、鋭い視線でリーリアを睨みつける。彼女は思わず息をのんだ。

「その剣…本物なのですね」

 聖女だったリーリアには、魔力や剣の強さはわからなかった。だが、その訓練から伝わってくる研ぎ澄まされた気迫は、彼らが本物の騎士であることを物語っていた。

「見ないでくれ」

 ゼノンは初めて、感情を露わにした。その瞳には、深い悲しみと、諦めのような色が宿っていた。リーリアは、彼の心にある傷を、聖女の力ではなく、一人の人間として感じ取った。

「…あなたの剣は、誰かを守るためのものなのですね」

 その言葉は、ゼノンの心を揺さぶった。彼は剣を下ろし、リーリアから目をそらした。その瞬間、リーリアは、自分がこの場所でやるべきことを見つけた気がした。

 この騎士たちは、単なる問題児ではない。
 彼らは、何かを守るために、隠れて戦っているのだ。
 リーリアは、聖女としての力ではなく、人間としての優しさで、彼らの心を癒し、その戦いを支えていこうと、心に強く誓った。
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