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6.婚約の行方1
しおりを挟むラウル様の照れている様子に、不意打ちに胸がキュッとなる。
「フレミア様、そのありがとうございます…」
そのような様子で言われると、こちらも照れてしまい、
「あ、あのそのこちらこそありがとうございます(?)」
思わず訳の分からない返答をしてしまう。
(あぁ、もう私は何を言っているのかしら…!)
穴があれば入りたい。
私まで顔が真っ赤になる。
しかし…
「フレミア様。本当は今日、貴女様から婚約解消をして頂く予定でいました」
「えっ…」
舞い上がっていた気持ちが、どん底に落とされる。
(そ、それは…当たり前よね…。望まぬ婚約で、さらに婚約者を変えるなど不躾な申し入れをされて…。)
分かってはいた。
そして、ここへ来るまでは私も半分同じ気持ちだった。
なぜならこれ以上ラウル様を振り回す訳にはいかない。
ラウル様が婚約を了承したのは妹のジュリーであって、私では無い。
望まぬ婚約をこちらの都合で押し付けてはならないと思っていたからだ。
(それなのに私は一体何を期待したのでしょう。なぜラウル様に婚約を解消して欲しいと言われて落ち込んでいるのでしょう…)
先程一度は堪えた涙がまた溢れ出しそうになる。
(な、なぜ涙が出そうになるの?しっかりしなさいフレミア!)
そう自分に言い聞かせる。
「はい、それはラウル様のお望み通りに…」
声が震えてしまう。
「実は私は、バラレンド侯爵家から婚約の話を頂いた時、とても嬉しかったのです」
(!!妹が我が儘を言って無理やり婚約を取り決めたと思っていたけれど、ラウル様も望んでいた…?もしかしてラウル様もジュリーの事を愛していたのかしら…!?)
ラウル様もジュリーとの婚約を望んでいたなんて…。
驚きが隠せない。
自分の中にジュリーに対する醜い嫉妬心が産まれる。
「…ところで、ジュリー様の身体の具合はどうでしょうか」
「身体?」
急に話が変わり自分でも驚く程素っ頓狂な声が出てしまう。
(はっ!しまったわ!妹は今病で倒れている事になっているのだったわ…しかしこんなお優しい方に嘘をつく事は辛い…でも…本当の事を言う訳にはいかない…)
「はい…妹はその…はい、良くはなっていまして…ご心配ありがとうございます…はい…」
ラウル様はきっとジュリーを愛している。それなのに…嘘をつくことに良心が酷く痛む。
「ふふっ…あははっ」
すると、またラウル様が堪えられないといった様子で笑い出された。
「ラ、ラウル様?」
(ど、どうされたのでしょう!?私はまた何か変な事を言ってしまったかしら!?)
「…フレミア様は私が思っていた通りの方です。芯が強くて、優しくて…そして真っ直ぐな方で……そして嘘がとっても下手なようです」
「えっ!?」
予想だにしていなかった言葉に驚きを隠せない。
そして戸惑う私の目をラウル様が真っ直ぐ見つめて言った。
「私がバラレンド侯爵家から婚約の話を頂いた時喜んだのは、その…恥ずかしながら….。相手がフレミア様だと思ったからだったのです…」
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