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12.皆との別れ
「まぁ。この藍色新色ね。素晴らしいわ」
私は今領地へ視察へ来ている。
きっとこれが最後の視察になるだろう。
「ありがとうございます!フレミア様をイメージして染めたのです!そして今品種改良して育てている植物がこれでして…来月にもなればご報告できると思います!」
…来月。その言葉に胸がチクリと痛む。
「ごめんなさい、私もうすぐラウル様の元へ嫁ぐのです。なので、ここに来るのは最後になりますわ…」
「「「えええええっ!!!」」」
「でも、貴方達の腕は確かです。きっと私がいなくても大丈夫ですわ」
少し寂しいがニコリと微笑む。
「そ、そんな…ではフレミア様はアイロワニー伯爵領へ…?」
「そうね。すぐ隣だから貴方達の活躍はすぐ耳にできるわ」
「フレミア様…そんな…」
気落ちした彼らを見るのは辛く、後ろ髪を引かれるようだったが、その場を後にし侯爵家へ戻る
(帳簿は取られてしまったから…手紙の整理をしましょう)
侯爵家へ届く大量の手紙の仕分けを始める。
(えーっと…これとこれはいらない…あ…ワルヤーク伯爵の令息からまた届いているわ…何度断ってもしつこいのよね…)
「って….あっ!!ジュリー!!」
必死になって仕分けをしていると、いつのまにか妹が側に立っており、私の持っている封筒を取り上げた。
「あらぁ?お姉様。このお手紙、ワルヤーク伯爵家のアボン様からじゃないですかぁ!?アボン様、すっごくカッコいいですよね!!なになに……はっっ!?何でお姉様が婚約して欲しいなんて言われてるのよ!!!」
中身を開け発狂する妹。
「私は何度も断っているのだけれどちょっとしつこくて……痛いっ」
取り返そうとてを伸ばすが、その手をはたき落とされる。
「これ、お姉様はいらないですわよねぇ?醜草騎士と結婚しますものねぇ?じゃあ、私がアボン様を頂きますわ!アボン様は次男だし最高だわ!お姉様って意地悪ね!!こっそり捨てようとして!!早速お返事を書きますわー!!」
「ちょ、ちょっと待ってジュリー!アボン様はやめておきなさい!ワルヤーク伯爵家は近頃経営が難しく、怪しい取引をしている噂を聞いたわ…!きっと私に求婚したのも侯爵家のお金目……」
「ああああぁぁうるさい!!お姉様はさっさとバケモノと結婚しなさいよ!!私は美丈夫と名高いアボン様と結婚するわ!!羨ましいからって邪魔しないでよ!!」
そう言って手紙を握りしめ、部屋を出て行く妹…
(私は忠告したわ…後は両親が止めてくれるか……)
バタンッと乱暴に閉められる扉を見てため息を吐くのだった。
ーーーーー
そうしていよいよラウル様の元へ向かう日。
「フレミア様、折角ラウル様の元へ向かう日ですのに!そんな疲れたお顔をしないでください!」
侍女リアーナが私の髪を整えながら苦言を呈す。
「少しでも私ができる事をしようと思って…」
実は、ものすごく寝不足だ。
そして鏡に映る自分とリアーナをボーッと見る。
リアーナにこうして身支度をしてもらう事はきっと最後だろう。
そう思うと酷く胸が痛い。
「リアーナ…ありがとう…」
涙が出そうになるが、折角綺麗に化粧をしてもらったのだ。台無しにする訳にはいかない。
「ふふ、とんでもございませんわ」
こちらは寂しくて泣きそうなのに…リアーナはニコニコしている。
いつもはすぐ泣く癖にこんな時はニコニコしちゃって…
もう少し寂しがってくれても良いのに…と少し思ってしまうのだった。
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