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前編
しおりを挟むケントにパーティークビ宣告され、咄嗟にそこを飛び出し酒屋でとりあえず一杯引っ掛ける。
勇者であるケントとは幼馴染だった。
小さい時に俺たちが住む村が魔物に度々襲われ、皆が魔物に怯える日々だった。
そんな毎日が嫌で2人で村を飛び出し、騎士アングル、魔法使いユーウェンやヒーラーマリアンと出会いパーティーを組んだ。
ケントも俺も特別な訓練を受けていた訳では無かった事もあり、大して強くは無かった。
俺に関しては運動神経はまるでダメ。
しかし補助魔法に関しては才能があったようで、それなりに活躍してきたと思っていた。
俺が抜けたアイツらは今頃、攻撃力防御力回復力3分の1だ。
「後で泣きついてきても知らねーから」
強がりなのか本心なのか分からないがそんな言葉が漏れる。
しかし俺は1人では何もできない。
ウジウジしていられない。
新しいパーティーを探そう。
そう思った時、隣りの酔っ払い達が何やら盛り上がっていた。
「おいおい、聞いたか?」
「あぁ、魔王討伐の話だろ?」
「やっとこさ魔王の居城が分かって乗り込むらしいな!」
「その討伐パーティーが来週王城で募集されるらしいぞ!」
「討伐したパーティーには巨額の褒美金と名誉が与えられるらしいな!!俺も志願してみようかなあ」
「わはは!!お前はやめておけ!魔物どころかそこらへんの野犬に喰われて終わりだぜ!?」
「そういうお前もだろうが~!」
「「わっはっは!」」
ーーーー良いことを聞いた。
情報収集は騎士のアングルに任せっきりで知らなかった。
とりあえず王城に行ってみよう。
そこでパーティーは見つかるだろう。
そしてきっとケント達も来るに違いない。
魔王討伐をして、俺の力を思い知って俺を追い出した事を悔やめば良い!!!
俺の心は醜くも復讐心に燃えていた。
しかし、そうでもしないと心が折れてしまいそうだった。
ーー次の週。
王城につくと、たくさんの冒険者がいた。
どいつもこいつも腕っぷしに自信がありそうだ。
遠くの方にケント達も見つけた。
その時。
「お前、補助魔法師のハンスではないか!?」
隣りの傷だらけの大柄な男に声を掛けられた。
誰だこいつ…。何で俺の名前を知ってるんだ?
「そうだけど…アンタは?」
「俺はマーベル!戦士だ!ハンス!お前は1人だがいつものパーティーはどうしたんだ?」
マーベル……!!世間に疎い俺でも知っている。A級パーティーのリーダーだ…!しかも限りなくS級に近い。
「あぁ、抜けたんだ…」
「なんだと!?それは俺たちにとっちゃあ朗報だ!どうだ?俺たちのパーティーに入らないか!?」
マーベルのパーティーの皆も歓迎の目をして頷いている。
マーベルのパーティーのメンバー達も皆名前の知れた者ばかりだ。
そんなマーベルのパーティーに声を掛けられるとは……!!
C級パーティーだった俺にとったら凄い事だ。
このチャンスを逃す事はできない、
「あぁ、マーベル。よろしく!」
そう言ってマーベルが差し出した手を握るのだった。
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