(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!

ちゃむふー

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中編

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「ハンス!!こっちも頼む!!」
「ハンス!!!」


噂に聞いている通り、マーベルのパーティーは強かった!
しかし、戦う敵のレベルも今までの比では無かった。


どれだけ補助魔法を掛けようと追いつかない。



(やばいっ……魔力が切れそうだ……)



魔力の使いすぎで目の前がチカチカしてきた時、何とか戦闘を終える事ができた。



(こ、こんなに魔力を使ったのは初めてだ……このままでは倒れてしまう……)


「すまない。俺にも回復魔法をかけてくれないか?」


足元もおぼつかないながら、傷付いた者達を治療しているヒーラーの所へ行き頼む。


しかし。

「はぁっ!?あんた戦闘してないでしょ!!??周りを見てみなさいよ!!指飛んでったヤツもいるのよ!?魔力くらい少し休んだら回復するでしょう!?っったくもう!!」



そう言われ当たりを見渡すと、確かに皆傷だらけだ。
ヒーラーも必死に回復魔法をかけ、魔力の残りも少なそうに見える。



(これがA級パーティーか……)


木の幹にもたれかかる。


「よう、ハンス。このパーティーでの初戦闘はどうだったか!?」


マーベルはまた顔の傷が増えたようだが、そんな事は気にも止めず陽気に話しかけてきた。


「あぁ、疲れた…」


「だろうな!俺たちもいつもより量が多かった!しかし、ハンスがいたからいつもより怪我人や死人が少ない!!助かった!ありがとな!!初戦闘で上出来だ!」


(これで怪我人が少ないだと…!?しかもいつも死人も出るのかよ…)



冒険者として生きていく事を決めた時から、もちろん危険は承知の上だが今までのパーティーでは誰かが負傷したり危なければ一度撤退をしていた。


そしてヒーラーのマリエルが俺の魔力が尽きる前にいつも回復魔法をかけてくれていた。


(自分の甘さがこれ程までだったなんて気が付かなかった……)


今まで冒険者を名乗っていた自分が恥ずかしくなった。




「さあ!充分休んだだろう!進むぞ!魔王を討ち取るのは俺たちだ!負傷して使えぬ者は置いていけ!足手まといだ!!」



"足手まといだ"


その言葉が胸に突き刺さる。

きっとマーベルの言う事も正しい。
大きな目的を成す為には、小さな犠牲はつきものだ。


しかし、負傷して置いていかれるであろう者達をチラリと見る。


ヒーラーのおかげで傷は塞がっているようだが、魔物の多いこの森で捨てられれば命は無いだろう。


傷付いた騎士に近付き、補助魔法をかける。


「な、何を……」

「回復が早くなる魔法と、移動速度が上がる補助魔法をかけておいた。身体が動くようになったら急いでこの森を抜けるように」


「あ……ありがとう……」


そう言ってその騎士は涙を流した。


急いでマーベル達を追おうと立ち上がると、視界が曲がる。


(しまった…やはり魔力を使いすぎた……)


倒れそうになる所をマーベルに掴まれた。



「おいハンス。俺は捨てておけと言っただろうが。そうやって無駄な力を使っていると、すぐ死ぬぞ!」


「す、すまない…」


「ここは戦場だ!力無きものは死に力有る者のみ生き延びる!!そういう世界だ!!」


「あぁ、わかってる…」



そう答えた時、遠くの方で魔物の大群に襲われているパーティーを見つけた。





あれは………






「ケント達……!」




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