(完結)浮気相手と子どもができたから別れてくれ?いったい誰の子ですか?

ちゃむふー

文字の大きさ
4 / 29

4.突然の

しおりを挟む


突然のプロポーズに思わず固まる。


「あの、えっと…。」
何か言葉を述べなければいけないと返事に窮していると、


「だめだっっ!!」


私の父が叫んだ。


「お、お父様!ニケ様に何て事を…!」

相手は侯爵家で、我が家は伯爵家だ。
こちらに拒否権など無いし、失礼な態度を取れば、伯爵家の立場も危うくなってしまうかもしれない。


「ニケ様。分かっております。侯爵家様にこのような事を言うことが許されないと言う事が。しかし、フィオナは先日サンダーム家のゴードン様に手ひどく捨てられました。今に貴族の間で、フィオナは子どもができない女で追い出されたと噂されるでしょう…。娘がこのような目に合い、腹を立てぬ親などおりません…!」


「お父様…。」

そんな風に思っていてくれたなんて…。

「失礼ですが、私も同感でございます…。ニケ様と結婚すれば、きっとゴードン様と顔を合わせる事もあるでしょう…。これ以上娘を傷付けたくありません…。」

「お母様…。」


「御両親の言う事は、全くもってその通りだと思います。愚兄はフィオナ様に許されぬ事をしました。しかし…。私が必ず愚兄や世間の目から守ってみせます。」


「ニケ様…。どうして私なのでしょうか…。」

世間的にも夫を愛人に寝取られ、捨てられた惨めな女なのに。


「初めて兄の婚約者として紹介された時から心惹かれていたのだ。立ち振る舞いも、話し方も…。そして2人が結婚してからも、フィオナの実はしたたかな所や、使用人や両親への態度など、知れば知るほど心惹かれて止まなかった。しかし、兄の婚約者にそのような気持ちを抱いてはいけないと思い、自ら遠征に多く志願していたのだ…。」


「そ、そんな風に思ってくださっていたなんて…。」

……知らなかった。思わず顔を赤らめてしまい、両手で頬を包む。


「私は絶対に貴女を傷つけたりしない。誓う。こんな、弱味に付け込むような時に言って申し訳ない。しかし、絶対に諦めたくないんだ。どうか考えて欲しい。」


「ニケ様…。ありがとうございます…。」

侯爵家のニケ様が無理やり結婚を取り決めたら、伯爵家の私たちは従うしか無いのに、ニケ様はこうして私に決定を委ねてくださっている…。

両親も、ニケ様の真剣な様子に複雑そうな表情で私たちを見守っている。


「しかし、突然来てこのような事を言ってきっと困らせてしまっているだろうから、今日はここで帰らせて貰うよ。返事はいつまででも待つ。また、来る。」


そう言って、ニケ様は帰られた。





突然のプロポーズに頭が困惑してしまい、早々に自室に戻り自分のベッドに入って休むのだった…。


しおりを挟む
感想 217

あなたにおすすめの小説

素顔を知らない

基本二度寝
恋愛
王太子はたいして美しくもない聖女に婚約破棄を突きつけた。 聖女より多少力の劣る、聖女補佐の貴族令嬢の方が、見目もよく気もきく。 ならば、美しくもない聖女より、美しい聖女補佐のほうが良い。 王太子は考え、国王夫妻の居ぬ間に聖女との婚約破棄を企て、国外に放り出した。 王太子はすぐ様、聖女補佐の令嬢を部屋に呼び、新たな婚約者だと皆に紹介して回った。 国王たちが戻った頃には、地鳴りと水害で、国が半壊していた。

偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて

奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】 ※ヒロインがアンハッピーエンドです。  痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。  爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。  執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。  だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。  ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。  広場を埋め尽くす、人。  ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。  この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。  そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。  わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。  国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。  今日は、二人の婚姻の日だったはず。  婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。  王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。 『ごめんなさい』  歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。  無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。

【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ

綾雅(りょうが)今月は2冊出版!
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」 物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。 ★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位 2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位 2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位 2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位 2023/01/08……完結

自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?

長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。 王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、 「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」 あることないこと言われて、我慢の限界! 絶対にあなたなんかに王子様は渡さない! これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー! *旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。 *小説家になろうでも掲載しています。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

婚約破棄されてイラッときたから、目についた男に婚約申し込んだら、幼馴染だった件

ユウキ
恋愛
苦節11年。王家から押し付けられた婚約。我慢に我慢を重ねてきた侯爵令嬢アデレイズは、王宮の人が行き交う大階段で婚約者である第三王子から、婚約破棄を告げられるのだが、いかんせんタイミングが悪すぎた。アデレイズのコンディションは最悪だったのだ。

処理中です...