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14.下準備(ニケ視点)
しおりを挟む「マーガレット…!」
「ニケ様、そんなに私の事を心配してくださっていたのですかぁ?嬉しいですぅ!ほら、この子がこの国の聖女ですわぁ!グレースと言いますぅ!」
額を見ると、確かに十字の印はある…が。
「これは…。真面目に言っているのか…??」
明らかにインクで描かれたようにしか見えない。
しかし、肌の弱い赤子に何度も固いペン先で描いているのだろう。周りが赤くなっている。
「私にはインクで描かれた、子ども騙しにしか見えないのだが。」
「ニケッ!!お前はまだそんな事を言うのかっ!!??聖女を侮辱する事はこの国では大罪である事をお前は知っているだろう!?この黒色の髪!グレーの瞳!そして額の十字!!そして私が選んだマーガレットと私の子だ!聖女に違いない!!」
「髪の色と瞳の色がゴードンと違うのは、お前の子どもでは無いからだろう!!聖女を侮辱しているのはお前達だ…!聖女では無いのに聖女だと偽ったのなら、その方が大罪だぞ!!」
「うぅっ!!ニケ様酷いですわぁ!聖女を産んだ私が羨ましいからってそんな事を言うなんて…!!いくら、フィオナ様が子どもを産めないからって…!!酷いですわぁ~!」
「あぁ、マーガレット!!可哀想に!!私は信じているからな!ニケ…!!お前には失望した!!この侯爵家から出ていけ!!そして二度とこの屋敷の敷居を跨ぐな!!」
心から、ここにフィオナを連れてこなかった事を良かったと思った。
「お前にそのように言われる筋合いは無い!侯爵家の当主は父上だ!!そして言われなくても私は出て行ってやる。父上を連れてな!!お前が侯爵家から追い出されるのだ!!」
「な!なぜ父上を連れて出ていくのだ。」
「お前達のような犯罪者の元に父上を置いておけない。」
「は…!犯罪者だと…!?」
「まぁまぁ、良いじゃ無いですかぁ!お義父様のお世話もしなくてすみますしぃ!侯爵家の当主はゴードン様みたいなものですよっ!」
「そ、そうか?私が侯爵家当主…。」
(こいつら…。話にならん…。それならば…。)
「では、決まりだな。そういえば…。神殿長様が神殿にお戻りになるのが…そうだな、ちょうどその子が一歳になる頃だそうだな。聖女の検証がされるまで、くれぐれも誰にもその子が聖女と言ってはいけない。絶対にだ。」
「まだお前は疑うのか!」
「…。その子を守るためだ。聖女だと認められる前だなんて、悪巧みする者に狙われるかもしれない。認定され、きちんと護衛が着くまでは黙っておいた方が良いだろう。」
「な!なるほどな!!そうだな!!認定されるまでは秘密にしておこう!!ははは!!一歳になるのが楽しみだ!!!」
(これで、とりあえず他家に漏れる事は無いだろう…。そして一歳まではあの子は無事だろう…。)
馬鹿2人を置いて父の元へ向かう。
「父上…。入ります。」
更に痩せ細った父を見て驚く。病状は良くなさそうだ。
「おぉ…。ニケか…。悪いな…こんな姿を見せて…。」
「気になさらないでください。」
「ゴードンの子どもの事は聞いたか。」
「聞きました。」
「侯爵家は終わりだ…。子どもの顔を見たが、明らかにアイツの子どもでは無く、初めは無かった額の刻印が浮き出て来るわけがない。身体さえ…!!言うことを聞けば…!!公務もほとんどお前に任せきりですまない…!」
「いえ、私が侯爵家の公務を行えるのも、頑なに父上がゴードンへ爵位を継承せずいてくださるおかげです。」
「ゴードンに継がせれば侯爵家は終わる。しかし、継がずとも今回の偽聖女の件が外に伝われば、それまでだが…。」
「父上。私に考えがございます。どうか私に任せてください。そして、ここを捨て私と共に来てください。」
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