（完結）浮気相手と子どもができたから別れてくれ？いったい誰の子ですか？

24.空っぽ

「ちょっと待ってくださいっ！」

声を上げたのはメラニーだ。

「私、差し出がましいようですが、ノエル様を今日この日まで我が子のように思い育てて参りました…！突然デニス様がノエル様のお父様と聞いても、はいそうですか。どうぞ。とはいきません…！！」


「………！そうですよね。もちろん、そうですよね。貴女様のような乳母に育てて頂きこの子は幸せ者ですね…。ここがこの子の居場所ですね。申し訳ございませんでした！！」

そう言って寂しそうな表情を浮かべ顔をあげるデニス。
メラニーもノエルを抱き締めて複雑な表情を浮かべる。

2人の心情を読み取ってか、ニケ様が、


「2人の気持ちはよく分かる…。こんな事が起こったばかりだ。もうしばらくノエルは侯爵家で見よう。もちろん、父親であるデニスはいつでも会いに来て良い。」

そう言うと、デニスが嬉しそうに、

「はい…！ありがとうございます！！」

と礼をした。


しかしその時、

「大丈夫よ…！！デニス！！貴方の商会、経営状態も良くて大きくなったのよね！？私のために…頑張ったのね。ありがとう。子どもも私、頑張って一緒に育てるわ！！平民になるのは抵抗があったけれど…。大商会の妻というのも悪くないしね！」

マーガレットがウットリとした目でデニスを見つめる。

「……は？」

「だぁかぁらぁ！！結婚して妻になってあげるっていうのよっ！！言わせないでよ！」


「……っけるなっ！」

「えっ？」

「ふざけるな！！我が子を蔑ろにして殺そうとした女と誰が結婚するか！！」

「えっ？えっ？？待って！どうしたのデニス！じゃあ私この先どうしたら良いのよーー！！罪人の刻印を押されちゃう！！」

「知るか！！お前には出会った時から嫌悪感しか持った事が無い…。少しでも母親としての自覚があるのなら2度と我が子に近づくな！」


「そんなっ…。って事は私本当に追い出されちゃうの？いやだ！罪人の刻印なんて嫌！国外追放なんて生きていけないわ！！いやぁぁぁぁあ！！」


やっと自分が追い詰められている事に気付いたのか、泣き崩れるマーガレット。



「言いたい事は終わったか？では、罪人どもを連れて行け！」

陛下が言うと、2人は引きずられるように連れて行かれた。


ニケ様とゴードンがすれ違う時、ニケ様がゴードンに言った。

「お前は自ら全ての幸せを手放したのだ。お前が自分と向き合い、家族を大切にしていたならば…。こんな惨めな事にはなっていない。周りを見てみろ。お前に向けられた目を…。ゼロからやり直して反省するんだな。自分の傲慢さを。」

ハッと当たりを見渡すゴードン。
ゴードンに向けられる目は、人々の哀れみの目だった。

「うっうっ…！見るなぁ！！俺をそんな目で見るな！！うわぁぁぁ！！！」


扉がバタンッと閉まると静寂が戻る。


陛下がゴホンッと咳払いした。

「それでは、改めて聖女フルールの誕生をここに証明し祝おう！！」



陛下がそう言うと、歓声が上がるのだった。