精霊に転生した少女は周りに溺愛される

紅葉

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今日カスタール王国では、精霊王の誕生会が開かれようとしていた。あの後、国王は誰も見たことの無いような速さで仕事をさばき始めた。宰相は思った、こんなに仕事が早く出来るのなら最初っからやって欲しかったと。
それは宰相だけでなく誰もが仕事をしている中で思ったことである。


この場所は王座の間である。玉座にクローバイズ·カスタール陛下が座っていた。その隣には宰相のデーモンクラフト・フォンネールがいた。その下には陛下の側近や護衛騎士達が立っていた。みな今かと精霊王達が訪れてくるのを待っていた。
少しして、上から精霊を連れて精霊王達が降りてきた。
「ようこそいらっしゃいました。精霊王様方、お待ちしておりました。」
そう宰相は精霊王達に向かって一礼した。
「お待たせしてごめんなさい。ちょっと出かける準備に戸惑ってしまって。」
サファイエルが代表して告げた。
「いえ、そんなに待っていなかったので大丈夫です。」
「それなら、良かったわ。」
宰相が返答し、サファイエルが微笑みながら答えた。
「それで新しい精霊王殿は何処にいるんだ?」
国王が最も気になっていたことを皆を代弁するように質問した。そうなのである、精霊王達が降りてくる所は目撃したが、肝心のレリエルを誰もその姿を捉えていなかった。
「あら、ここに来るまでは一緒にいたと思っていたけど。みんなレリエル見たわよね?」
「あぁ、見たぜ。確かにいたな。」
「うん、そうだね。」
«うん、いたよー。»
サファイエルの質問に答えたのはザファールとノース、そして、小さな精霊たちだ。みんなキョロキョロと当たりを見渡してみてもレリエルの姿が見えなかった。


その一方、その主役はと言うと…
「これぇ、どうちゅうればいいのでちゅか!」
出入り口である大きな鏡の前に立っていた。この場所は精霊のみが入れる、いわゆる精霊の楽園である。周りは木と草が生い茂っており、鏡がある場所には、噴水や多くの種類の花が咲いていた。
鏡の前に立ちすくむレリエルは、実は皆が平然と鏡の中に入ってしまい、いざ入ろうと思っても怖くて足がすくんでいたのである。
「みんなはいちゃってるからだいぢょうぶとはおもうでちゅが、やっぱ、怖いでちゅ!!」
何これ!ここを通って行けと!元日本人の私が無理に決まっているでしょ!
途方に暮れるレリエルである。
 その時、
「あら、ここにいらしたの。」
まさかとは思って、様子を見に来たグレーシアの予想は当たっていた。
「あっ、シアおねえたん!」
「あなたを迎えに来てあげたわよ、感謝しなさい。」
「ありがとうでちゅ!!」
抱きつくレリエル、そして抱きとめるグレーシアであった。ちゃっかり甘えん坊になったレリエルであった。



 
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