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ウツホシ編
ウツホシの宮3
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布団の上に横になって向き合い、張り詰めた性器の先端を押し付け合うと、ウツホシからゼリーのようなものが送り込まれる。
「っあ、ひゅ」
それが尿道を通ってシュンの幹の根元の、さらに奥まで入ってくる。気持ちがいい。細い管を逆流するように流れ込むゼリー状のそれは、細い肉の管を柔らかく擦り、シュンにむず痒いような快感を齎した。
「うちゅ、ほし、きもちい、ちんぽのナカ、きもちい」
シュンは、はしたなく腰を揺する。触れ合っていた先端がずれて、ゼリーが溢れ出る。
「ああ、ほら、動いたらダメだよ。溢れちゃう」
孔に入らなかったゼリーが幹を伝い、それがまた快感になる。
「じっとしててね、シュン」
窘めるような言葉とともに、ウツホシの大きな手ではしたなく揺れる腰を押さえつけられる。性器の先端が再び密着してゼリーが送り込まれ、シュンは逃げ場の無い快感に悶える。
「んあ! きもちい、おく、まで、くるぅ」
ウツホシから送られてきたゼリーが陰嚢まで到達した。中が熱くて、ぷちぷちと何かが弾けるような感覚がある。くすぐるようなそれが気持ちがいい。
シュンはだらしなく開いた口の端から涎を垂らす。
「っあ、ひ、ひゅご、ぃ、んあ、たま、おかひく、にゃう」
陰嚢も尿道も蕩けそうな快感が生まれる。ゼリーが動くたび、ゼリー状のこれに含まれる何かのせいか、細胞のひとつひとつまでもが性感帯になってしまったかのようだった。
「ふふ、濃いのを入れてあげたから気持ちいいだろう? もっとたくさん産めるようになるよ、シュン」
「んあ、うれし、ウツホシ」
「俺も嬉しいよ、シュン」
昂った性器を突き合わせたまま、ウツホシの指が揶揄うように幹をくすぐる。
「あうぅ」
「ふふ、かわいいね。もっと、よくしてあげる」
「んい、ひあ」
ゼリーを送り込まれた陰嚢は張り詰めている。泡が弾けるような感覚はいつのまにかなくなり、何かがたくさん詰まったような、そんな感じだった。
「もういいかな。ほら、シュン」
ぷちゅ、と音を立ててシュンの先端からウツホシが離れる。粘液がいく筋も糸を引いて離れていく様は卑猥だった。
シュンの身体は仰向けに転がされる。
勃ち上がり震える、シュンの性器。塞ぐものも流れ込むものも無くなったそこから、押し込まれたゼリーが出口へ向けて流れ出す。
「っあ! で、る、とまんな、ぁ」
先端の裂け目からとろとろと粘液が溢れたかと思えば、幹を震わせて白濁が吹き上がる。勢いよく放たれたそれは、とろみのある白濁に無数の金色の粒が含まれていた。
海を富ませるための卵だった。
「きもちい、うつほし」
一度の放出では止まらず、シュンは何度も腰を突き上げ、卵の混じった白濁を放った。
「あ、う」
シュンは腰をへこへこと揺すり、白濁とともに卵を噴き上げる。天を仰ぎ震えるシュンの昂りは腰の動きに合わせて揺れ、放たれる白濁と卵が撒き散らされる。
部屋の中にも緩やかな流れがあるようで、シュンが出した白濁と卵はゆらゆらと窓の外へと流れていく。シュンはそれをぼんやり見上げながら、天の川のように見えなくもないなと思う。
「たくさん、上手に出せたね、シュン」
たくさんの卵を吐き出したシュンを労うように、ウツホシの大きな手が頭を撫でる。
シュンは胸を何度も大きく喘がせた。放出の余韻はまだ色濃く残っていて、腰が勝手に揺れてしまう。
いまだ口を開閉するシュンの性器の先端からは、ぽつぽつと卵が溢れ続けている。
シュンは乱れた息が少し落ち着いたところで、漂う卵を見てウツホシに訊いた。
「な、ウツホシ、あの卵、何になるの?」
素直な疑問だった。
自分から出たものが何になるのか、シュンは少し興味があった。
「いろんなものだよ。魚になったり、貝になったり、海藻になったり。魚の餌にもなる」
「ふぅん」
不思議だった。どういう仕組みなのかはわからないが、そうやって何かになるならいいかと思った。今までは、出したものはティッシュに包んで捨てていたから、出したものが何かの役に立つなんて不思議な感じだった。
気怠げに横たわるシュンに、ウツホシは寄り添う。
シュンはそっと手を伸ばし、ウツホシの頬に触れた。
ウツホシの身体はイルカのような、つるりとした質感だった。こうして触れるのは初めてだった。首から胸にかけてある鰓に触れると、ウツホシはくすぐったそうに笑い、身を捩る。
「あ……」
シュンは、それがウツホシの胸の脇にもあることに気がつく。
「ここにも、あるんだ」
シュンが優しく指先で撫でると、くすくすとウツホシが笑った。
「シュンにもあるよ」
ウツホシに撫でられて気がついた。肋骨に沿って作られた、鰓があった。
「ほんとだ」
「お揃いだよ、シュン」
「ふふ、嬉しい」
ウツホシの指先に撫でられ、くすぐったくて身体を揺らすシュンの耳で、銀色が揺れたのをウツホシが見つけた。
「シュン、これは悪い奴らにつけられたの?」
ウツホシが言うのはシュンの耳についたピアスのことだった。確かに、自ら望んで体に穴を開けるなどウツホシにしてみれば理解できないことなのかもしれない。
「違う、これは俺が自分でつけたんだ。かっこいいだろ?」
「ん、穴が空いてる。痛くないの?」
ウツホシは不思議そうにシュンの耳を摘んだ。
「初めだけ。もう痛く無いよ」
「お揃いにしたいけど、痛いのは嫌だな」
「ふふ、俺も痛いのは嫌い」
「貝を削ったら、作れるかな」
「作るの?」
「シュンは俺のものだから、俺のもので飾りたい」
頬をぺろりと厚い舌で舐められて、シュンはくすくすと笑った。
愛らしい独占欲を見せるウツホシを愛おしく思う。こうやって独占されるのは心地好いものだった。
「ふふ、疲れただろう?」
「ん」
瞼が勝手に落ちてくる。瞼を擦っても、意識が溶け出すのを止めることはできなかった。
「おやすみ、シュン」
甘いウツホシの囁きを聞きながら、シュンは意識を手放していた。
シュンがウツホシの宮に迎えられてからというもの、来る日も来る日もシュンの腹はウツホシの精で満たされていた。
反り返る幹の下では、垂れ下がる膨らみがじくじくと疼いていた。
「もうすぐ、満月だよ、シュン」
ウツホシの囁きに、身体中が甘く疼く。腹の奥が切なくて、シュンはウツホシを物欲しげに見上げる。薄い茶色の瞳をじっとりと欲で濡らす花嫁の姿に、ウツホシは穏やかな笑みとともにその唇を赤みの差した頬に押し当てた。
そして満月の夜が来た。
ここ数日続いている陰嚢の疼きはひどくなるばかりで、シュンは着物を乱して布団の上で身悶えた。
隣に寝そべるウツホシに慰めるように揉まれるだけで甘い声が漏れた。
そこは丸く張って、心なしか大きくなっているような気さえする。
早く出したい。全部出して、気持ちよくなりたい。意識がそんな思いで埋め尽くされる。
胸をざわつかせるシュンを優しく撫で、ウツホシは甘い声をその耳元へ吹き込む。
「シュン、今日は上へ行こうか」
「うえ?」
「俺とシュンが初めて結ばれた、あの岬」
言われて、シュンは少し恥ずかしかった。きっと、気持ちが良くてたくさん声を上げてしまう。誰かに見られるかも知れない場所でするのは不安だった。
シュンは不安を映した瞳でウツホシを見た。
「誰も、いない?」
「うん、俺とシュンしかいないよ」
岬の洞窟の浅瀬。人気のないその場所は、満月の光が降り注いでいた。
シュンは下半身を海に浸けたまま、胡座をかいたウツホシに正面から抱えられてその身を貫かれていた。
「シュン、ほら、出していいよ」
反り返る幹を擦られて、垂れ下がった膨らみが迫り上がる。ずっと緩い快感を感じてきたそこは、直接の刺激に簡単に反応し、容易く限界を迎えた。
白濁に混じって、弾力のある無数の粒が狭い尿道を拡げて出口へ向かっていくのがわかる。内側から細い管を擦られるのは鮮烈な快感を生み、シュンは脳髄まで灼かれるような快楽にさらされる。
「あう」
涎が止まらない。
放出の快感と、狭い道を弾力ある粒に擦られ拡げられる悦びに、シュンはびくびくと腰を跳ねさせる。
放出に合わせて腰を揺すって膨らみから放たれる小さな卵の粒を吐き出す。
「っは、ぁ、たま、ご、きもちい、止まんない」
「いいよ、シュン、好きなだけ出して」
シュンの昂りから放たれた白く濁った精液と、それに混じった金色の丸い粒。海を富ませる卵だった。
シュンはうっとりとそれを眺める。
ゆらゆらと揺めきながら漂い、海へと流れていく。これが海を豊かにするのだという。
そうしていると、腹の中で、あぶくが生まれるような感覚があった。
拳くらいだろうか。臍の裏の辺りに、弾力のある丸いものが、突然生まれ出てきた。
「っあ、な、に」
大きなあぶくのようなそれは、いくつも生まれてきて、腹を埋めていく。
「あは、シュンの卵だ」
ウツホシはうっすら膨らんだシュンの腹を楽しげに撫でる。撫でられると余計にわかる。胎の中に、丸く弾力のある球体がいくつもある。
「俺とシュンの子が、これから産まれるんだよ」
「あ……」
「俺の精をあげたら、準備はおしまい。産まれるまでずっと、身体を繋いでいようね」
甘やかな、ウツホシの囁き。
夜色の唇が三日月のように裂けて、ぎざぎざの尖った歯が覗いた。
「っあ、ひゅ」
それが尿道を通ってシュンの幹の根元の、さらに奥まで入ってくる。気持ちがいい。細い管を逆流するように流れ込むゼリー状のそれは、細い肉の管を柔らかく擦り、シュンにむず痒いような快感を齎した。
「うちゅ、ほし、きもちい、ちんぽのナカ、きもちい」
シュンは、はしたなく腰を揺する。触れ合っていた先端がずれて、ゼリーが溢れ出る。
「ああ、ほら、動いたらダメだよ。溢れちゃう」
孔に入らなかったゼリーが幹を伝い、それがまた快感になる。
「じっとしててね、シュン」
窘めるような言葉とともに、ウツホシの大きな手ではしたなく揺れる腰を押さえつけられる。性器の先端が再び密着してゼリーが送り込まれ、シュンは逃げ場の無い快感に悶える。
「んあ! きもちい、おく、まで、くるぅ」
ウツホシから送られてきたゼリーが陰嚢まで到達した。中が熱くて、ぷちぷちと何かが弾けるような感覚がある。くすぐるようなそれが気持ちがいい。
シュンはだらしなく開いた口の端から涎を垂らす。
「っあ、ひ、ひゅご、ぃ、んあ、たま、おかひく、にゃう」
陰嚢も尿道も蕩けそうな快感が生まれる。ゼリーが動くたび、ゼリー状のこれに含まれる何かのせいか、細胞のひとつひとつまでもが性感帯になってしまったかのようだった。
「ふふ、濃いのを入れてあげたから気持ちいいだろう? もっとたくさん産めるようになるよ、シュン」
「んあ、うれし、ウツホシ」
「俺も嬉しいよ、シュン」
昂った性器を突き合わせたまま、ウツホシの指が揶揄うように幹をくすぐる。
「あうぅ」
「ふふ、かわいいね。もっと、よくしてあげる」
「んい、ひあ」
ゼリーを送り込まれた陰嚢は張り詰めている。泡が弾けるような感覚はいつのまにかなくなり、何かがたくさん詰まったような、そんな感じだった。
「もういいかな。ほら、シュン」
ぷちゅ、と音を立ててシュンの先端からウツホシが離れる。粘液がいく筋も糸を引いて離れていく様は卑猥だった。
シュンの身体は仰向けに転がされる。
勃ち上がり震える、シュンの性器。塞ぐものも流れ込むものも無くなったそこから、押し込まれたゼリーが出口へ向けて流れ出す。
「っあ! で、る、とまんな、ぁ」
先端の裂け目からとろとろと粘液が溢れたかと思えば、幹を震わせて白濁が吹き上がる。勢いよく放たれたそれは、とろみのある白濁に無数の金色の粒が含まれていた。
海を富ませるための卵だった。
「きもちい、うつほし」
一度の放出では止まらず、シュンは何度も腰を突き上げ、卵の混じった白濁を放った。
「あ、う」
シュンは腰をへこへこと揺すり、白濁とともに卵を噴き上げる。天を仰ぎ震えるシュンの昂りは腰の動きに合わせて揺れ、放たれる白濁と卵が撒き散らされる。
部屋の中にも緩やかな流れがあるようで、シュンが出した白濁と卵はゆらゆらと窓の外へと流れていく。シュンはそれをぼんやり見上げながら、天の川のように見えなくもないなと思う。
「たくさん、上手に出せたね、シュン」
たくさんの卵を吐き出したシュンを労うように、ウツホシの大きな手が頭を撫でる。
シュンは胸を何度も大きく喘がせた。放出の余韻はまだ色濃く残っていて、腰が勝手に揺れてしまう。
いまだ口を開閉するシュンの性器の先端からは、ぽつぽつと卵が溢れ続けている。
シュンは乱れた息が少し落ち着いたところで、漂う卵を見てウツホシに訊いた。
「な、ウツホシ、あの卵、何になるの?」
素直な疑問だった。
自分から出たものが何になるのか、シュンは少し興味があった。
「いろんなものだよ。魚になったり、貝になったり、海藻になったり。魚の餌にもなる」
「ふぅん」
不思議だった。どういう仕組みなのかはわからないが、そうやって何かになるならいいかと思った。今までは、出したものはティッシュに包んで捨てていたから、出したものが何かの役に立つなんて不思議な感じだった。
気怠げに横たわるシュンに、ウツホシは寄り添う。
シュンはそっと手を伸ばし、ウツホシの頬に触れた。
ウツホシの身体はイルカのような、つるりとした質感だった。こうして触れるのは初めてだった。首から胸にかけてある鰓に触れると、ウツホシはくすぐったそうに笑い、身を捩る。
「あ……」
シュンは、それがウツホシの胸の脇にもあることに気がつく。
「ここにも、あるんだ」
シュンが優しく指先で撫でると、くすくすとウツホシが笑った。
「シュンにもあるよ」
ウツホシに撫でられて気がついた。肋骨に沿って作られた、鰓があった。
「ほんとだ」
「お揃いだよ、シュン」
「ふふ、嬉しい」
ウツホシの指先に撫でられ、くすぐったくて身体を揺らすシュンの耳で、銀色が揺れたのをウツホシが見つけた。
「シュン、これは悪い奴らにつけられたの?」
ウツホシが言うのはシュンの耳についたピアスのことだった。確かに、自ら望んで体に穴を開けるなどウツホシにしてみれば理解できないことなのかもしれない。
「違う、これは俺が自分でつけたんだ。かっこいいだろ?」
「ん、穴が空いてる。痛くないの?」
ウツホシは不思議そうにシュンの耳を摘んだ。
「初めだけ。もう痛く無いよ」
「お揃いにしたいけど、痛いのは嫌だな」
「ふふ、俺も痛いのは嫌い」
「貝を削ったら、作れるかな」
「作るの?」
「シュンは俺のものだから、俺のもので飾りたい」
頬をぺろりと厚い舌で舐められて、シュンはくすくすと笑った。
愛らしい独占欲を見せるウツホシを愛おしく思う。こうやって独占されるのは心地好いものだった。
「ふふ、疲れただろう?」
「ん」
瞼が勝手に落ちてくる。瞼を擦っても、意識が溶け出すのを止めることはできなかった。
「おやすみ、シュン」
甘いウツホシの囁きを聞きながら、シュンは意識を手放していた。
シュンがウツホシの宮に迎えられてからというもの、来る日も来る日もシュンの腹はウツホシの精で満たされていた。
反り返る幹の下では、垂れ下がる膨らみがじくじくと疼いていた。
「もうすぐ、満月だよ、シュン」
ウツホシの囁きに、身体中が甘く疼く。腹の奥が切なくて、シュンはウツホシを物欲しげに見上げる。薄い茶色の瞳をじっとりと欲で濡らす花嫁の姿に、ウツホシは穏やかな笑みとともにその唇を赤みの差した頬に押し当てた。
そして満月の夜が来た。
ここ数日続いている陰嚢の疼きはひどくなるばかりで、シュンは着物を乱して布団の上で身悶えた。
隣に寝そべるウツホシに慰めるように揉まれるだけで甘い声が漏れた。
そこは丸く張って、心なしか大きくなっているような気さえする。
早く出したい。全部出して、気持ちよくなりたい。意識がそんな思いで埋め尽くされる。
胸をざわつかせるシュンを優しく撫で、ウツホシは甘い声をその耳元へ吹き込む。
「シュン、今日は上へ行こうか」
「うえ?」
「俺とシュンが初めて結ばれた、あの岬」
言われて、シュンは少し恥ずかしかった。きっと、気持ちが良くてたくさん声を上げてしまう。誰かに見られるかも知れない場所でするのは不安だった。
シュンは不安を映した瞳でウツホシを見た。
「誰も、いない?」
「うん、俺とシュンしかいないよ」
岬の洞窟の浅瀬。人気のないその場所は、満月の光が降り注いでいた。
シュンは下半身を海に浸けたまま、胡座をかいたウツホシに正面から抱えられてその身を貫かれていた。
「シュン、ほら、出していいよ」
反り返る幹を擦られて、垂れ下がった膨らみが迫り上がる。ずっと緩い快感を感じてきたそこは、直接の刺激に簡単に反応し、容易く限界を迎えた。
白濁に混じって、弾力のある無数の粒が狭い尿道を拡げて出口へ向かっていくのがわかる。内側から細い管を擦られるのは鮮烈な快感を生み、シュンは脳髄まで灼かれるような快楽にさらされる。
「あう」
涎が止まらない。
放出の快感と、狭い道を弾力ある粒に擦られ拡げられる悦びに、シュンはびくびくと腰を跳ねさせる。
放出に合わせて腰を揺すって膨らみから放たれる小さな卵の粒を吐き出す。
「っは、ぁ、たま、ご、きもちい、止まんない」
「いいよ、シュン、好きなだけ出して」
シュンの昂りから放たれた白く濁った精液と、それに混じった金色の丸い粒。海を富ませる卵だった。
シュンはうっとりとそれを眺める。
ゆらゆらと揺めきながら漂い、海へと流れていく。これが海を豊かにするのだという。
そうしていると、腹の中で、あぶくが生まれるような感覚があった。
拳くらいだろうか。臍の裏の辺りに、弾力のある丸いものが、突然生まれ出てきた。
「っあ、な、に」
大きなあぶくのようなそれは、いくつも生まれてきて、腹を埋めていく。
「あは、シュンの卵だ」
ウツホシはうっすら膨らんだシュンの腹を楽しげに撫でる。撫でられると余計にわかる。胎の中に、丸く弾力のある球体がいくつもある。
「俺とシュンの子が、これから産まれるんだよ」
「あ……」
「俺の精をあげたら、準備はおしまい。産まれるまでずっと、身体を繋いでいようね」
甘やかな、ウツホシの囁き。
夜色の唇が三日月のように裂けて、ぎざぎざの尖った歯が覗いた。
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