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アラナギ編
海祇の寵愛3
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胡座をかくアラナギの脚の上に乗せられたサクヤの前で、同じように座るウツホシの上に乗せられたシュンはあられもない声を上げる。
「あ、ぅ、恥ずかしい、ウツホシ」
シュンの表情は既に蕩け、全身が薄赤く染まっていた。纏う着物はすっかりはだけ、羞恥に染まった肌がサクヤの目に映る。しなやかな脚ははしたなく大きく開かれ震える花芯もその下の小さな窄まりもサクヤの目に晒されていた。
「大丈夫だよ、ほら、俺だけを見て」
ウツホシの手が俯くシュンの顔を持ち上げ、上を向かせる。
「ウツホシ」
揺れる視線を絡め取ったウツホシは微笑み、下から腰を緩く突き上げる。
「あ、ン、ンう、ひあ」
シュンの後孔にはウツホシの性器がゆっくりと収まっていく。いつか見たアラナギのものと負けず劣らずの逞しい猛りが、戦慄く蕾に飲み込まれていく様は、否応無しにサクヤを昂らせた。
「ああ、シュンの中は嬉しそうにしてるよ」
「あう、はずかし、あ、ン」
他人のセックスを見る機会なんてAVでしかない。しかも、人ならざるものならば尚更だ。
シュンは時折ちらちらとサクヤを見た。その表情は淫蕩に染まりきっていて、サクヤは息を呑む。
「うじゅ、ぉ、ひ」
舌が溶けてしまったみたいに、シュンの声は呂律が回っていない。それでも、縋るように必死にウツホシを呼ぶ。
「ふふ、上手。全部入ったね、シュン」
すっかり根元まで収まって、二人の身体が密着した。
一体どこまで入っているのか想像もつかない。それでも、シュンの顔を見ればそれが堪らなく気持ちがいいということはわかる。
ウツホシが緩く腰を揺すると、ウツホシの膝の上、シュンの大きく開かれた脚の間で、天を仰ぐ昂りが頼りなく揺れる。
ウツホシの緩やかな動きに合わせ、シュンは上擦った声を惜しげもなく上げた。
「ひゃ、いぅ、んく」
「ほら、どうするのか見せてあげて。シュンが上手に出すところ」
ウツホシは甘やかな声でシュンを導いていく。まるで子どもに言い聞かせるような穏やかな声色に、シュンは素直に応える。
「っあ、い、ぅ」
細い腕で必死にウツホシに縋り付くシュンは華奢な腰をへこへこと揺らし、頂へと駆け上る。
「ン、あ!」
しゃくりあげた性器から、白濁が放たれる。量が多く、何度も吐き出される白濁には金の卵が無数に混じっていた。
「ふふ、上手だね、シュン」
ウツホシの膝の上で、華奢な身体が快感に跳ね回る。シュンは淫らに腰を突き上げ、白濁とともに金の卵を吐き出していく。白濁の量も金の卵の量も、サクヤに比べてずっと多い。
「うちゅ、ぉし、いっぱい、で、ァ」
シュンの声はすっかり蕩けていた。
二人の甘やかで濃密な交わりから、サクヤは目が離せずにいた。
恥じらいながらも、シュンはウツホシを拒む様子はない。それどころか、その身体が喜んでいるのがはっきりとわかる。
「あれは、海を富ませる卵だ」
アラナギの低い声が耳元でした。
ただの射精ではないことはサクヤにもわかった。あれを自分も出しているのかと思わず喉が鳴る。
「卵が、多い……」
「お前もすぐにあれくらい産めるようになる」
言われて、腹が甘く疼く。
性器同士をくっつけてゼリー状の何かを注がれるのは、気が触れそうなくらいに気持ちがいい。きっとシュンはそれをもう何度したのだろう。
いずれ自分にも与えられるであろう快感を思うと、サクヤの身体は熱を上げ疼いた。
「アラナギ」
漏れた声は熱く濡れていた。
「どうした、サクヤ」
アラナギの声は優しくて、サクヤは胸に宿る欲を素直に口にした。
「さわって」
「ああ」
「アラナギ」
「昂っているな、サクヤ。身体が温かい」
男の身体に興奮する。その性は変えられない。
目の前でシュンが乱れるのを見せられて、見てはいけないと思うのに、視線が引き寄せられる。身体が熱を持って、腹の奥が物欲しげに震えた。
「良いことだ、サクヤ。お前の身体がこうして花開いていくこと、嬉しく思うぞ」
咎めるどころか甘やかに肯定されて、サクヤの身体は熱を上げる。
震える身体を宥めるように、耳元でアラナギの低く力強い声がする。それはサクヤをひどく安心させた。
深海の色をした大きな手が着物の中に忍び込み、サクヤの白い肌を撫でる。アラナギの少し体温の低い大きな手で火照った身体を探られるのは気持ちがいい。
「はぅ」
自然と甘やかな声が漏れる。
「これではお前も見られてしまうな」
悪戯に耳元に吹き込まれるアラナギの声に、サクヤは身体を強張らせる。
「あ」
目の前では、今もウツホシとシュンが甘やかに身体を繋げている。そんな異常な状況だというのに、サクヤの身体は昂り、ますます熱を上げてアラナギを欲しがる。
「お前はどうしたい、サクヤ」
「あ……」
顔を上げると、うっとりとウツホシを見上げるシュンの姿が見えた。焦点の合っていない薄茶色の瞳は恍惚に染まり、虚空を彷徨っていた。もうこちらのことなど目に入っていないようだった。
啜り泣くような嬌声を上げ、シュンはウツホシの膝の上で何度目かの絶頂に金の卵を噴き上げた。
サクヤは喉を鳴らす。
サクヤの胸に生まれたのは羨望だった。自分もあんなふうに抱かれたい。
アラナギの逞しい腕の中で、奥まで身体を拓かれたい。
「して、アラナギ」
欲望を乗せた声は掠れていた。
「ああ、いくらでもしてやる」
耳元に吹き込まれる答えは甘く低く、サクヤの鼓膜を揺らし、脳髄まで痺れさせた。
「っ、あ」
アラナギの指が、うっすら開いたサクヤの唇を割って差し込まれる。口の中を探るようなアラナギの指の動きに、サクヤは必死に舌を絡める。
「あ、ふ」
舌を弄ばれるサクヤは甘い声を漏らす。愛しいアラナギの逞しい指を舐め、唾液を絡める。それだけでサクヤの身体は昂り、腹の下では頭を擡げる昂りが着物を押し上げ染みを作っていた。
「俺の花嫁は甘えるのが上手いな」
揶揄うように耳元に吹き込まれる。
口から引き抜かれた指は着物の裾を割り、だらしなく開かれた脚の間、尻のあわいの小さな窄まりに触れる。
「ゆっくり、息をしろ」
余裕の薄れた声が熱い吐息とともに吹き込まれ、サクヤは小さく息を吐く。
ゆっくりと繰り返される呼吸に合わせて、アラナギの指は蕾をくすぐり、その先端を埋めていく。
「アラナギ」
「痛くないか」
「ん」
痛みはない。異物感はうっすらとあるが、すでに快感の方が濃くなっていた。
アラナギの膝の上で、ゆっくりとサクヤの腹が拓かれていく。
アラナギの逞しく長い指を後孔に受け入れて、緩慢な動きで中を探られる。
目の前であられも無い姿を晒すシュンを見れば、腹の中で味わう快感は計り知れないことがわかる。
期待に喉が鳴る。それをアラナギも気付いているのだろう。
「サクヤ」
名前を呼ばれ、中に指が増やされる。
「んあ、ア」
押し拡げられる感覚に、サクヤは甘く啼く。
とうに異物感は薄れ、探られ擦られるだけで快感を拾い上げる。
「お前もじきにここで快楽を貪れるようになる」
大きな手のひらにひくつく腹を撫でられる。それだけでサクヤの身体は大きな反応を返した。
「どこがいい、サクヤ」
アラナギの指が肉壁に埋まったしこりをねっとりと撫でる。捕まってしまったそこは、もうアラナギの手で快感を生むばかりだった。
「っあ、そ、こ」
「ふふ、お前はこのしこりが好きだな」
「んあ」
じっくりと与えられる快感に、中はアラナギを食い締める。
「ふふ、こんなにうまそうにしゃぶって。いじらしいな、サクヤ」
それが褒め言葉なのか、サクヤにはもう判断できない。
熱く熟れた肉壁が媚びるようにアラナギの指に絡みつく。
それを楽しむように、アラナギの指は執拗にしこりを撫で回し、押し込むようにその輪郭をなぞる。
「はあ」
もう、それだけでは物足りない。
早く、アラナギがほしい。
「はやく、指じゃなくてあんたので、して」
サクヤは胸に湧く欲望をはっきりとアラナギに告げた。
「帰るぞ」
「へ」
予想もしていなかったアラナギの静かな声に、サクヤは思わず間の抜けた声を上げていた。
「俺の弟とその花嫁とはいえ、これ以上お前のその声を聞かせるのも姿を見せるのも忍びない」
低く唸るようなアラナギの声が耳元に吹き込まれる。独占欲が強いのか、アラナギは喘ぎ声ひとつも聞かせたくないようだった。
ひくつく後孔から指が抜かれて、乱れた着物が手早く整えられる。
かと思えば立ち上がったアラナギにまた横抱きに抱えられていた。その澱みない所作に、サクヤは言葉を失う。
「ウツホシ、邪魔をしたな」
「ううん、もう帰るの?」
ウツホシに慌てた様子はない。その腕の中にはいつの間にか気を失ったシュンが大事そうに抱かれていた。まだ赤みの残るシュンの頬に、ウツホシの指が慈しむように這わされる。
「ああ。お前たちのおかげでこの愛らしい蕾もじきに綻ぶ。感謝する」
アラナギの声はひどく満足げだった。
「ふふ、よかった。またね、兄様、サクヤ」
ウツホシはシュンを大事そうに抱えたまま、その大きな手を振って二人を見送ってくれた。
「あ、ぅ、恥ずかしい、ウツホシ」
シュンの表情は既に蕩け、全身が薄赤く染まっていた。纏う着物はすっかりはだけ、羞恥に染まった肌がサクヤの目に映る。しなやかな脚ははしたなく大きく開かれ震える花芯もその下の小さな窄まりもサクヤの目に晒されていた。
「大丈夫だよ、ほら、俺だけを見て」
ウツホシの手が俯くシュンの顔を持ち上げ、上を向かせる。
「ウツホシ」
揺れる視線を絡め取ったウツホシは微笑み、下から腰を緩く突き上げる。
「あ、ン、ンう、ひあ」
シュンの後孔にはウツホシの性器がゆっくりと収まっていく。いつか見たアラナギのものと負けず劣らずの逞しい猛りが、戦慄く蕾に飲み込まれていく様は、否応無しにサクヤを昂らせた。
「ああ、シュンの中は嬉しそうにしてるよ」
「あう、はずかし、あ、ン」
他人のセックスを見る機会なんてAVでしかない。しかも、人ならざるものならば尚更だ。
シュンは時折ちらちらとサクヤを見た。その表情は淫蕩に染まりきっていて、サクヤは息を呑む。
「うじゅ、ぉ、ひ」
舌が溶けてしまったみたいに、シュンの声は呂律が回っていない。それでも、縋るように必死にウツホシを呼ぶ。
「ふふ、上手。全部入ったね、シュン」
すっかり根元まで収まって、二人の身体が密着した。
一体どこまで入っているのか想像もつかない。それでも、シュンの顔を見ればそれが堪らなく気持ちがいいということはわかる。
ウツホシが緩く腰を揺すると、ウツホシの膝の上、シュンの大きく開かれた脚の間で、天を仰ぐ昂りが頼りなく揺れる。
ウツホシの緩やかな動きに合わせ、シュンは上擦った声を惜しげもなく上げた。
「ひゃ、いぅ、んく」
「ほら、どうするのか見せてあげて。シュンが上手に出すところ」
ウツホシは甘やかな声でシュンを導いていく。まるで子どもに言い聞かせるような穏やかな声色に、シュンは素直に応える。
「っあ、い、ぅ」
細い腕で必死にウツホシに縋り付くシュンは華奢な腰をへこへこと揺らし、頂へと駆け上る。
「ン、あ!」
しゃくりあげた性器から、白濁が放たれる。量が多く、何度も吐き出される白濁には金の卵が無数に混じっていた。
「ふふ、上手だね、シュン」
ウツホシの膝の上で、華奢な身体が快感に跳ね回る。シュンは淫らに腰を突き上げ、白濁とともに金の卵を吐き出していく。白濁の量も金の卵の量も、サクヤに比べてずっと多い。
「うちゅ、ぉし、いっぱい、で、ァ」
シュンの声はすっかり蕩けていた。
二人の甘やかで濃密な交わりから、サクヤは目が離せずにいた。
恥じらいながらも、シュンはウツホシを拒む様子はない。それどころか、その身体が喜んでいるのがはっきりとわかる。
「あれは、海を富ませる卵だ」
アラナギの低い声が耳元でした。
ただの射精ではないことはサクヤにもわかった。あれを自分も出しているのかと思わず喉が鳴る。
「卵が、多い……」
「お前もすぐにあれくらい産めるようになる」
言われて、腹が甘く疼く。
性器同士をくっつけてゼリー状の何かを注がれるのは、気が触れそうなくらいに気持ちがいい。きっとシュンはそれをもう何度したのだろう。
いずれ自分にも与えられるであろう快感を思うと、サクヤの身体は熱を上げ疼いた。
「アラナギ」
漏れた声は熱く濡れていた。
「どうした、サクヤ」
アラナギの声は優しくて、サクヤは胸に宿る欲を素直に口にした。
「さわって」
「ああ」
「アラナギ」
「昂っているな、サクヤ。身体が温かい」
男の身体に興奮する。その性は変えられない。
目の前でシュンが乱れるのを見せられて、見てはいけないと思うのに、視線が引き寄せられる。身体が熱を持って、腹の奥が物欲しげに震えた。
「良いことだ、サクヤ。お前の身体がこうして花開いていくこと、嬉しく思うぞ」
咎めるどころか甘やかに肯定されて、サクヤの身体は熱を上げる。
震える身体を宥めるように、耳元でアラナギの低く力強い声がする。それはサクヤをひどく安心させた。
深海の色をした大きな手が着物の中に忍び込み、サクヤの白い肌を撫でる。アラナギの少し体温の低い大きな手で火照った身体を探られるのは気持ちがいい。
「はぅ」
自然と甘やかな声が漏れる。
「これではお前も見られてしまうな」
悪戯に耳元に吹き込まれるアラナギの声に、サクヤは身体を強張らせる。
「あ」
目の前では、今もウツホシとシュンが甘やかに身体を繋げている。そんな異常な状況だというのに、サクヤの身体は昂り、ますます熱を上げてアラナギを欲しがる。
「お前はどうしたい、サクヤ」
「あ……」
顔を上げると、うっとりとウツホシを見上げるシュンの姿が見えた。焦点の合っていない薄茶色の瞳は恍惚に染まり、虚空を彷徨っていた。もうこちらのことなど目に入っていないようだった。
啜り泣くような嬌声を上げ、シュンはウツホシの膝の上で何度目かの絶頂に金の卵を噴き上げた。
サクヤは喉を鳴らす。
サクヤの胸に生まれたのは羨望だった。自分もあんなふうに抱かれたい。
アラナギの逞しい腕の中で、奥まで身体を拓かれたい。
「して、アラナギ」
欲望を乗せた声は掠れていた。
「ああ、いくらでもしてやる」
耳元に吹き込まれる答えは甘く低く、サクヤの鼓膜を揺らし、脳髄まで痺れさせた。
「っ、あ」
アラナギの指が、うっすら開いたサクヤの唇を割って差し込まれる。口の中を探るようなアラナギの指の動きに、サクヤは必死に舌を絡める。
「あ、ふ」
舌を弄ばれるサクヤは甘い声を漏らす。愛しいアラナギの逞しい指を舐め、唾液を絡める。それだけでサクヤの身体は昂り、腹の下では頭を擡げる昂りが着物を押し上げ染みを作っていた。
「俺の花嫁は甘えるのが上手いな」
揶揄うように耳元に吹き込まれる。
口から引き抜かれた指は着物の裾を割り、だらしなく開かれた脚の間、尻のあわいの小さな窄まりに触れる。
「ゆっくり、息をしろ」
余裕の薄れた声が熱い吐息とともに吹き込まれ、サクヤは小さく息を吐く。
ゆっくりと繰り返される呼吸に合わせて、アラナギの指は蕾をくすぐり、その先端を埋めていく。
「アラナギ」
「痛くないか」
「ん」
痛みはない。異物感はうっすらとあるが、すでに快感の方が濃くなっていた。
アラナギの膝の上で、ゆっくりとサクヤの腹が拓かれていく。
アラナギの逞しく長い指を後孔に受け入れて、緩慢な動きで中を探られる。
目の前であられも無い姿を晒すシュンを見れば、腹の中で味わう快感は計り知れないことがわかる。
期待に喉が鳴る。それをアラナギも気付いているのだろう。
「サクヤ」
名前を呼ばれ、中に指が増やされる。
「んあ、ア」
押し拡げられる感覚に、サクヤは甘く啼く。
とうに異物感は薄れ、探られ擦られるだけで快感を拾い上げる。
「お前もじきにここで快楽を貪れるようになる」
大きな手のひらにひくつく腹を撫でられる。それだけでサクヤの身体は大きな反応を返した。
「どこがいい、サクヤ」
アラナギの指が肉壁に埋まったしこりをねっとりと撫でる。捕まってしまったそこは、もうアラナギの手で快感を生むばかりだった。
「っあ、そ、こ」
「ふふ、お前はこのしこりが好きだな」
「んあ」
じっくりと与えられる快感に、中はアラナギを食い締める。
「ふふ、こんなにうまそうにしゃぶって。いじらしいな、サクヤ」
それが褒め言葉なのか、サクヤにはもう判断できない。
熱く熟れた肉壁が媚びるようにアラナギの指に絡みつく。
それを楽しむように、アラナギの指は執拗にしこりを撫で回し、押し込むようにその輪郭をなぞる。
「はあ」
もう、それだけでは物足りない。
早く、アラナギがほしい。
「はやく、指じゃなくてあんたので、して」
サクヤは胸に湧く欲望をはっきりとアラナギに告げた。
「帰るぞ」
「へ」
予想もしていなかったアラナギの静かな声に、サクヤは思わず間の抜けた声を上げていた。
「俺の弟とその花嫁とはいえ、これ以上お前のその声を聞かせるのも姿を見せるのも忍びない」
低く唸るようなアラナギの声が耳元に吹き込まれる。独占欲が強いのか、アラナギは喘ぎ声ひとつも聞かせたくないようだった。
ひくつく後孔から指が抜かれて、乱れた着物が手早く整えられる。
かと思えば立ち上がったアラナギにまた横抱きに抱えられていた。その澱みない所作に、サクヤは言葉を失う。
「ウツホシ、邪魔をしたな」
「ううん、もう帰るの?」
ウツホシに慌てた様子はない。その腕の中にはいつの間にか気を失ったシュンが大事そうに抱かれていた。まだ赤みの残るシュンの頬に、ウツホシの指が慈しむように這わされる。
「ああ。お前たちのおかげでこの愛らしい蕾もじきに綻ぶ。感謝する」
アラナギの声はひどく満足げだった。
「ふふ、よかった。またね、兄様、サクヤ」
ウツホシはシュンを大事そうに抱えたまま、その大きな手を振って二人を見送ってくれた。
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