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15 会談に向けての難題
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シュシュも侍従が板についてきた頃。各国のトップ会談がここ、ドラグ国で行われることが決まった。
議題は[去年流行った熱病の対策]だ。
去年の今頃。夏にこの熱病は突然流行った。
最初はただの夏風邪だと思っていてたが、病状は悪くなる一方で、爆発的に感染していった。死亡者も多くだした。
事態を重く見た各国の王はドラグ国に頭を下げ、竜人の血を分けてもらった。
竜人は状態異常が無効のため病気知らず。その為竜人の血は万能薬として用いられるが、本人の許可、もしくはドラグ国王の許可がないと、血の使用は出来ない。
まぁ、当たり前の事だけど竜人だって命は1つ。血を大量に失えば死ぬのだ。簡単にはあげられない。
ドラグ国にも獣人はいるし、竜人よりも獣人の数の方が圧倒的多い。
そのため、熱病を患った全ての獣人を救うことは出来ない。
多くの死者を出しながらも、熱病を乗り越えたけど、竜人の血をいつまでも頼る訳にはいかないと、早々と特効薬の開発に取り組んだ。
各国の特効薬の開発の進捗の報告も兼ねて、感染の予防をどうするかの話し合いをするらしい。
俺は今、父上と医術局に来ている。会談に向けて、熱病の特効薬の進捗の確認の為だ。
「医術長、特効薬はどうだ?」
「はい。前にルイス殿下の仰ったククル草を用いたところ、今までよりも効果が出ました」
そう言って、特効薬らしき小瓶を机に置いた。
しかしその色が青かった。どんなポーションでも、味はともかく色は無色透明だ。
それなのに、特効薬らしきものは青い。
「色がついているが、大丈夫なのか?」
父上もそこが気になったらしい。
「はい。なぜかククル草を混ぜたら青くなったので、私どもの驚きました。魔力暴走を止めるポーションにも使用しますが、そちらは無色透明なので、最初は恐れながらも失敗なのではと思いました」
気持ちは分かるから、そこまで萎縮しなくていいよ。父上が持っている小瓶を薬師スキルで確認すると、ちゃんと完成していた。
「うん。特効薬としてちゃんと完成している。ねぇ、医術長?もしかして、熱病のウイルスがここにあるの?」
いくら特効薬を作ったって元となるウイルスが無いと効くかわからない。
「ういるすとは?」
あれ?ウイルスって言葉ないの?改めてウイルスと何かと聞かれても、ウイルスはウイルスとしか・・
こういうときは、教えて知識先生!
ーーーー
ウイルス
他の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染症の・・・
ーーーー
俺の頭がパンクしそうだったので、即切った。検索内容に簡潔にをそえて、もう一度
ーーーー
ウイルス
人の体に入って、病気にさせる病原体の一種
ーーーー
うん、簡潔だ。逆に簡潔過ぎてこの説明で分かってもらえるかな?
「えーと、ウイルスとは、病気にさせる病原体の一種です」
医術長は俺の言葉に、少し考えてからおもむろに席を立ち、棚の中から1つのシャーレを持ってきた。
「これの事でしょうか?」
蓋をしたままのシャーレを机に置いた。
それを医術スキルを使って見ると、“体内の魔力を外に放出出来なくなるモスキーの毒が夏風邪を変異させたウイルス”
ーーーー
モスキー
蚊の魔物。
地球の蚊と違い、その大きさはアゲハ蝶くらいある。
モスキーの針には毒があり、その毒に犯されると魔力を外に放出出来なくなる。
しかし効果は長続きしないため、あまり知られていない。
ーーーー
つまり、なんだ?夏風邪を患っていた獣人がモスキーに刺され、毒に犯された。その毒が何の偶然か夏風邪のウイルスと混じり、ウイルスが変異。
一緒に行動していた、もしくはその家族がその獣人から、夏風邪と共に感染。その後次々と感染していったと。
最初の獣人よ。体調が悪いと思ったら、ちゃんと休みましょう!
俺は今見た事を父上達に報告した。これまで分からなかった原因がわかったと同時に、モスキーの知られざる毒も判明した。
「うむ。ルイスのスキルを知らせずに、どう説明したものか。しかも、モスキーに毒があったことも、その毒がどういうものかも、どう知り得たかを説明しなければならない」
俺達3人は頭をひねり考えた。しかし、いい案が浮かばないまま、父上は次のお仕事の為に宰相が迎えにきた。
「ルイはどうする?俺と共に帰るか?」
俺は少し考えてから
「いいえ、もう少しここにいます」
そうかと言って、宰相と共に転移した。
会談まで2週間しかない。俺はシャーレを睨み付けながら考えた。
(こう言うとき鑑定眼とかの鑑定スキルや、鑑定ができる魔道具があればいいんだけど)
ーーーー
鑑定眼または鑑定スキル、鑑定魔道具
アニルの世界では検索なし
地球の知識より
ファンタジー小説やファンタジーもののアニメなどで、人物や物などの名称、価値、ステータスなどがわかるスキル。
魔道具を通して、人物や物などの名称、価値、ステータスがわかる道具。
ーーーー
この世界には存在しないの!いや、存在していたら神様は知識スキルに興味を持たないし、父上達も知識スキルの事で驚かないか。
暫く頭を悩ませてたけど、俺もタイムアップ。
「ルイス殿下、そろそろお昼の時間です」
シュシュの言葉に俺は席を立ち、お仕事に戻っていた医術長に挨拶をして、医術局を後にした。
いい案が浮かばないまま、会談の日を迎えた。
議題は[去年流行った熱病の対策]だ。
去年の今頃。夏にこの熱病は突然流行った。
最初はただの夏風邪だと思っていてたが、病状は悪くなる一方で、爆発的に感染していった。死亡者も多くだした。
事態を重く見た各国の王はドラグ国に頭を下げ、竜人の血を分けてもらった。
竜人は状態異常が無効のため病気知らず。その為竜人の血は万能薬として用いられるが、本人の許可、もしくはドラグ国王の許可がないと、血の使用は出来ない。
まぁ、当たり前の事だけど竜人だって命は1つ。血を大量に失えば死ぬのだ。簡単にはあげられない。
ドラグ国にも獣人はいるし、竜人よりも獣人の数の方が圧倒的多い。
そのため、熱病を患った全ての獣人を救うことは出来ない。
多くの死者を出しながらも、熱病を乗り越えたけど、竜人の血をいつまでも頼る訳にはいかないと、早々と特効薬の開発に取り組んだ。
各国の特効薬の開発の進捗の報告も兼ねて、感染の予防をどうするかの話し合いをするらしい。
俺は今、父上と医術局に来ている。会談に向けて、熱病の特効薬の進捗の確認の為だ。
「医術長、特効薬はどうだ?」
「はい。前にルイス殿下の仰ったククル草を用いたところ、今までよりも効果が出ました」
そう言って、特効薬らしき小瓶を机に置いた。
しかしその色が青かった。どんなポーションでも、味はともかく色は無色透明だ。
それなのに、特効薬らしきものは青い。
「色がついているが、大丈夫なのか?」
父上もそこが気になったらしい。
「はい。なぜかククル草を混ぜたら青くなったので、私どもの驚きました。魔力暴走を止めるポーションにも使用しますが、そちらは無色透明なので、最初は恐れながらも失敗なのではと思いました」
気持ちは分かるから、そこまで萎縮しなくていいよ。父上が持っている小瓶を薬師スキルで確認すると、ちゃんと完成していた。
「うん。特効薬としてちゃんと完成している。ねぇ、医術長?もしかして、熱病のウイルスがここにあるの?」
いくら特効薬を作ったって元となるウイルスが無いと効くかわからない。
「ういるすとは?」
あれ?ウイルスって言葉ないの?改めてウイルスと何かと聞かれても、ウイルスはウイルスとしか・・
こういうときは、教えて知識先生!
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ウイルス
他の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染症の・・・
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俺の頭がパンクしそうだったので、即切った。検索内容に簡潔にをそえて、もう一度
ーーーー
ウイルス
人の体に入って、病気にさせる病原体の一種
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うん、簡潔だ。逆に簡潔過ぎてこの説明で分かってもらえるかな?
「えーと、ウイルスとは、病気にさせる病原体の一種です」
医術長は俺の言葉に、少し考えてからおもむろに席を立ち、棚の中から1つのシャーレを持ってきた。
「これの事でしょうか?」
蓋をしたままのシャーレを机に置いた。
それを医術スキルを使って見ると、“体内の魔力を外に放出出来なくなるモスキーの毒が夏風邪を変異させたウイルス”
ーーーー
モスキー
蚊の魔物。
地球の蚊と違い、その大きさはアゲハ蝶くらいある。
モスキーの針には毒があり、その毒に犯されると魔力を外に放出出来なくなる。
しかし効果は長続きしないため、あまり知られていない。
ーーーー
つまり、なんだ?夏風邪を患っていた獣人がモスキーに刺され、毒に犯された。その毒が何の偶然か夏風邪のウイルスと混じり、ウイルスが変異。
一緒に行動していた、もしくはその家族がその獣人から、夏風邪と共に感染。その後次々と感染していったと。
最初の獣人よ。体調が悪いと思ったら、ちゃんと休みましょう!
俺は今見た事を父上達に報告した。これまで分からなかった原因がわかったと同時に、モスキーの知られざる毒も判明した。
「うむ。ルイスのスキルを知らせずに、どう説明したものか。しかも、モスキーに毒があったことも、その毒がどういうものかも、どう知り得たかを説明しなければならない」
俺達3人は頭をひねり考えた。しかし、いい案が浮かばないまま、父上は次のお仕事の為に宰相が迎えにきた。
「ルイはどうする?俺と共に帰るか?」
俺は少し考えてから
「いいえ、もう少しここにいます」
そうかと言って、宰相と共に転移した。
会談まで2週間しかない。俺はシャーレを睨み付けながら考えた。
(こう言うとき鑑定眼とかの鑑定スキルや、鑑定ができる魔道具があればいいんだけど)
ーーーー
鑑定眼または鑑定スキル、鑑定魔道具
アニルの世界では検索なし
地球の知識より
ファンタジー小説やファンタジーもののアニメなどで、人物や物などの名称、価値、ステータスなどがわかるスキル。
魔道具を通して、人物や物などの名称、価値、ステータスがわかる道具。
ーーーー
この世界には存在しないの!いや、存在していたら神様は知識スキルに興味を持たないし、父上達も知識スキルの事で驚かないか。
暫く頭を悩ませてたけど、俺もタイムアップ。
「ルイス殿下、そろそろお昼の時間です」
シュシュの言葉に俺は席を立ち、お仕事に戻っていた医術長に挨拶をして、医術局を後にした。
いい案が浮かばないまま、会談の日を迎えた。
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