知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞

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28 一旦の決着

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母様達も何かしたのか、真実の噂はあっという間に広がった。

カイルとセドリックは今でも仕事場にいる。しかし、父上が俺の専属にしてでも、二人を残したいと思うほど二人は優秀だし、カイルの姉のような人物なら、父上はどんなに優秀でも雇うことはしなかったはずだ。

二人を説得して、残ってほしいと伝えてどうにか残ってもらった。

でも、二人の気持ちも分からないでもない。
カイル達は、姉の話を信じるくらい、姉を信用していたのだ。

それなのに、その話しは嘘だった。しかも姉達に都合のいい嘘。
二人は仕事場にいるけど、ショックから作業ペースは格段に落ちている。

噂を流して5日。

実名込みで流したから、当事者は白い目で見られ、居心地悪く仕事をしているみたいだし、家族からも、どっちが本当なのかと、詰め寄られているみたいだ。

これで反省して、心を入れ換えてくれればいいんだけど、反省できるんなら、母様から注意された時に反省している。

案の定、団体で俺の居住区に押し掛けてきた。

(今月の護衛って、第4だったけ?キース団長からのしごき決定だね)

人数が多いけど、王族の居住区に危険人物の侵入を許してしまっては、護衛騎士の沽券に関わるからね。

「ルイス殿下、危険ですのでお部屋へ」

廊下が騒がしくて、ついつい部屋から出た。

カイル達もドアの隙間から覗いて驚いていた。

「ううん、ここにいる。皆には迷惑をかけるけど、ああいう人達はどうしたって止まらないからね」

俺の前に護衛騎士の5人が、左右にルージュとジュジュが、後ろにシュシュが立ち、何かあったときに、俺を守れるようにしている。

少しして団体と、それを止めるために、後ろから今日の居住区担当の護衛騎士が追いかけていていた。

「ちょっと、あんたがあの噂を流したんでしょう?本当に性格悪いわね!私達から仕事を奪うだけじゃなく、居場所まで奪う気!」

「ふざけるな!」「何の権利があってこんなことするだ!」「お前のせいで、何もかもうまく行かない!」

などなど、一斉に口々にする。
俺はあの有名な人じゃないんで、全員の言葉を聞き取ることはできないよ?

護衛騎士の5人と担当の護衛騎士全員で、俺に詰め寄る人達を押さえてる。

護衛騎士達には申し訳ないけど、もう暫く押さえてて。
言いたい事を言い終わったのか、不法侵入の団体は静かになった。

「あっ、終わった?聞き取れた分だけの質問?に答えると。真実を広めるように指示を出したの確かに俺だよ。
でもね、あなた達が父上と母様の恩情を無下にしたんだよ?
色々な経験を積むという理由で、いきなりの配置換えに正当性を持たせて、新しい場所でも過ごしやすいよう配慮してたのに。
勝手な思い込みで勝手に不貞腐れて、自業自得なのに俺のせいにして、根も葉もない噂で俺を貶める。
ねぇ、不敬って知ってる?俺、王族だよ?しかも、王族の居住区に不法侵入。
あなた達はここに何しに来てるの?仕事じゃないの?仕事もせずに、給料だけはもらうって、泥棒と同じだからね。
番と一緒のシフトで同じ職場。それだけでもかなり待遇はよかったのに、あなた達の行いのせいで番と一緒のシフトはなくなった。
ねぇ、これでも俺が悪いの?約7年。あなた達の職場放棄ととれる行動を見逃してきたよ?
だけど、あなた達は職務態度を一度も改善しなかった。
その分の負担を誰が担ってた?真面目に働いていた人達だよ!
そして今も!お前達が不馴れだからって、親切にしてくれている人達の思いを踏みにじっている!
いい加減大人になれ!お前達の行動は子供のそれと同じだ!」

最後まで冷静に対処しようと思っていたけど、最後の最後で感情に任せてしまった。
俺は深呼吸をして、気持ちを落ち着かせた。

「な、何よ。偉そうに。子供に何が分かるのよ」

一人の女性が小さい声で呟いた。見ると、一番最初に声を荒げた女性だった。

俺が何か言おうとしたとき、団体の後ろから声がした。

「ルイス殿下の言っていることが正しいよ。姉さん。間違ってるのは、姉さん達だ」

全員が振り返った。その隙間から見えたのは、カイルとセドリックだった。

(姉さんって、え?一般人まで来てるの?どうやってお城に入れたの?あーあ、騎士団員さん、御愁傷様。南無三)

「カイル?なんであんたがここにいるの?」

カイルの姉は、心底驚いたように目を見開いていた。

「僕は、僕とリックは、ルイス殿下の専属で魔道具を作ってるんだ。そのために、その仕事場をこの居住区に作ってもらったんだ。しかも、ルイス殿下の依頼がない時は、僕達の好きにしていいって言われてる」

カイルの姉、確かにキャサリンって言ったけ?キャサリンはカイルの言葉を聞いた後、物凄い顔で俺を睨んできた。

「カイルとセドリックが私の弟だって知って、こき使ってるの?あんまりよ!この人でなし!」

俺に向かって来たので、咄嗟に護衛の一人が取り押さえ、ルージュとジュジュが俺の前に立った。

「勘違いしないで?カイル達があなたの親族だと知ったのは、専属にした後だし、そもそもカイル達を俺の専属にって言ったのは、父上、陛下だよ」

もう俺の声は聞こえてないのかな?ずっと俺を睨んでいる。

「この獣人の番の人、いる?」

俺が団体に向かって声をかければ、一人の犬獣人の男性が出てきた。

「カイルとセドリックも前に来て」

そう言うと、団体が左右に割れ、カイル達が前に出てきた。

「最終判断は父上にある。でも、さすがにこれだけの人をクビにしたり、処刑はできないと思う。でも、彼女は違う。彼女はお城の仕事をクビになっている。つまり、無断でお城に入っている。後何人いるかは分からないけど」

「つまり、どうなると?」

キャサリンの番が続きを促した。

「確実に処刑になる。彼女は無断でお城に入っただけじゃなく、王族である俺に危害を加えようとした。それだけで、王族の殺害未遂にあたる」

カイル達も番の人もキャサリンも、その他団体の人達も、ようやく現実が見えたのか、顔色が悪くなった。

(今更だな)

「でも俺は、どんな理由でも、人が死ぬのは見たくない。甘いと言うのは分かってる。それでもだよ」

シュシュが何か言いたそうに俺を見たので、これかな?と思うことを付け加えた。

「だからなるべく処刑にならないように、父上に進言するつもりだ。それでもし、父上が俺の進言を聞いてくれたらこういうつもりだ。
“無断でお城に入った人は都からの生涯の追放”と。
ずっとここで暮らしていたんなら、よそでの暮らしは辛いと思う。しかも、カイルには実の姉との別れを意味する。でも、俺に出来るのはここまでだよ。王族の殺害未遂犯をこのままには出来ないから」

「いえ、それだけの事を姉はしたのです。もし、殿下の進言が通らず処刑になっても、僕は決して殿下を、恨んだりはしません」

カイルは泣かないように我慢しているみたいだけど、声は震えていた。

「・・・騎士達、ここの人達を牢へ。沙汰は追って伝える」

団体の人達は大人しく騎士についていった。
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