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1章〜フォレスト王国カイヴの街〜

32、私の家族と家族の初対面

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 落ち着いてきた。

「…皆ありがとう。もう大丈夫。じゃあ今日は街に行って来る」
「「分かった。いってらっしゃい」」
「うん。いってきます」

 何かこういうやりとりがむずがゆく感じる。ああ、温かい。こっちの世界に来れてよかった。


『今日は街のどこに行くんだ?』
「今日は教会に行こうと思うの。その後は街をぶらぶら?」
『何で最後疑問形なんですか』
「ん~、皆も行きたい所があるかと思って」
『ボクは主と一緒にいたいです!』
『わ、我もだぞ!!』
「俺もだからな」

 うん、うちの子可愛い。

 私と一緒にいたいって、なにそれ皆可愛すぎる。

「ふふ、分かったよ。教会行ったらいろんな所行こうか」
「…皆普通に話を進めてるが、何で教会に行くんだ?」
「ああ、コムクは知らないもんね。じゃあ教会に行ってからのお楽しみ~。だから二人も内緒ね」

 ふふふふっ。コムクはティーアママ達に会ったらどんな顔をするかな?

 いや~、今から反応が楽しみだよ。


 教会に入って祈った。

「ぐぇ」

 変な声が出てしまった。前もそうだったなぁ。

「リティア、会いたかったぞ。妾が一番乗りなのじゃよ?」

 おう、今回はサティナ姉だった。…神達と会ったら毎回こんな感じになるのだろうか。……それはイヤだな。

「うん。私も会いたかったよ~。ところでティーアママとスティル兄は?」
「もうすぐ来るじゃろう。二人が来たらリティアの従魔も呼ぼうかの」
「うん」

 …二人がここに来るまでただひたすらギュッと抱きつかれていた。会話もなし。無言でしたよ。

 だから二人が来て神様かと思った。あ、三人共神様か。

 何か私の中の神様像とかけ離れているから忘れがちなんだよね。あと私の家族枠だし。

「じゃあリティアの従魔達も呼ぼうか」

 スティル兄が指を鳴らすと、三人共現れた。

 ルビクルとフェアディはあまり驚いていないけど、コムクはもう何が何だか分からないという顔をしている。

「いらっしゃい」
『神様方、はじめまして。神獣フェンリルのフェアディと申します』
「うん。よろしくね」

 おお、フェアディがきちんとした挨拶をしている。コムクはまだ固まったまま。

「コムク、そろそろ現実受け止めて」
「はっ!…何で神達がいる神界に俺達はいるんだ」
「それについては私が従魔の皆に詳しく説明しましょう」

 そうして家族による家族への説明会が始まった。

 その間、私(話の内容の当事者なんだけど…)とサティナ姉、スティル兄の三人で前世の世界について話していた。


「話終わったわ。今日は街のいろんな所に行くんでしょう?」
「ティーアママありがとう。そうだよ~。今日は従魔達の紹介と、明日王都に行く事を報告しに来ただけだから」
「明日王都に行く事になったんだね。じゃあ王都に行って落ち着いたらこっちに来てね」
「うん!勿論だよ」
「バイバイ。王都を楽しんで来てね」


パアァ



 
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