85 / 247
第83話 友達への説明
しおりを挟む
「クゥン! ぷはー! ありがとうクウネル、お陰で生き返ったよ」
モロ達は、クウネルの作った容器に貯めた水を満足するまで飲んでいた。
「良かった、良かった。 しかし、私も喉乾いたな。 スライム君達じゃ水分補給にはならないからね。 水分補給にジュースダメ! 絶対! よし、私も飲んでみるか」
クウネルは自身の両手の平を上に向け、優しく水魔法を発動する。 すると、湧き出るように水が両手の平に現れそれをクウネルは飲み干した。
「ぐびぐび……ぐびぐびぐびぐび! ごくんっ! ぷはぁぁぁぁぁー美味しぃぃぃ! キンッキンに冷えてやがる! 何これ、亡き故郷の村で飲んでた水より美味しい! こう……何だろう。 前世云うと、水道水を普段飲んでるけどコンビニやスーパーで買ったミネラルウォーターが美味しいやつだ!」
クウネルは水魔法の美味しさに涙を流した。
クウネルの亡き故郷の村で飲んでた水も、前世の水道水と比べたら断然水道水の方が美味しく感じる事だろう。
それ程に、水の管理がされていたインフラの重要さを痛感した。
「つまり、私の水魔法で出した水は美味い! もう少し飲んどこう。 ぐびぐび ぐびぐび ぐびぐび!」
「クフクフ、クウネルそんなに飲んだらお腹たぽたぽになるよ? ほら、お前達は昨日クウネルから貰った肉が残ってるから食べて来なさい。 ウォンッ!」
モロが吠えると、クイーンや群れの狼達は洞窟へと戻って行った。
「少しは敵意薄れたかな。 薄れたと期待するしか無いよね……だってモロ以外とは会話出来ないし」
「グルル……さて、友よ。 少し話しをしても?」
「ぷはー! うん、いいよ?」
クウネルは水を飲み干し、手の平にモロを乗せて顔の高さまで持ち上げた。
「クゥン、ありがとう。 じゃあ……まずはそうだね、君は何処から来たんだい?」
「あー、そっか。 そういえば、出会って友達になってから全然お互いの事話せて無かったね。 んー、まずこの辺が何処かは分からないんだけど……大陸の中央にあった巨人の村に住んでた」
クウネルの返答に何故かモロは動揺したが、その事にクウネルは気付かなかった。
「クゥン……そ、そうなんだ。 その、大陸の中央が何処か分からないな。 すまない、私は住んでる周辺の森しか知らないからさ。 それと、巨人とは種族名かい?」
「うん、そうだよ。 巨大な人と書いて巨人。 祖父が言うには、魔物を狩る戦士の種族らしい。 祖父は今の私と同じぐらいの大きさかな? 両親はもっと小さいよ」
モロはクウネルと同じ大きさの祖父とやらを想像し驚く。
「アゥッ!? クウネルと同じ大きさの祖父が居るのかい。 それは……凄いね。 あと、人とは2足型種のようなイメージで良いのかな?」
「うん、多分? 私が2足型種ってのに似てるなら、あってると思う」
「クゥン……巨人か。 やっぱり、聞いた事は無いね。 私の知ってる2足型種は、ゴブリン、トロール、オークだけだから。 見た目は、そうだね……クウネルの様に可愛い見た目はしてないかな。 ははははは」
モロの何処か誤魔化すような軽口にクウネルは頬を赤くし、照れ隠しに手に乗るモロをもう片方の手で叩こうとしてしまう。
「え?! ちょっと、モロ~! 可愛い何て、照れるじゃーん!」バコーンッ!
モロは咄嗟に空を飛んで回避し、何とか死なずにすんだ。
「おっとと、照れて思わず殴っちゃった。 でも、当たって無いからノーカンねノーカン」
「キャイン!? はー、はー、危なかった。 死ぬかと思ったよ、クウネル。 今の君の張り手でも、私達は死ぬから本当に気を付けてね? 所で、その祖父や両親と住んでた場所から何故1人で?」
「んー……モロになら、話してもいいかな。実は、私の家族は――――――
◆◇◆
――――って事で、私の大切な家族は皆死んだの。 何で裏切られたのかも、何で殺されたのかも分からないけど母のお陰で生き残れたって感じかな」
クウネルはモロに長々と、何故1人でこの森に居たのか話しをした。 祖父、両親、村の巨人達がどうなったのか、実は体が大きくてもまだ2歳だと云う事も説明する。
巨人以外の亜人の事と、その亜人達が裏切った事。 そして、祖父が殺された事。 人間と云う種族に両親も殺された事。 母が最後に、私を逃がしてくれた事。 そして、帰りたくても帰る家は、故郷はもう無いと云う話しを涙を流す事も無くクウネルは淡々と話した。
当然ながら、スキルや加護の話しは抜きでモロには説明している。
クウネルはモロがこの話しを聞いてどう思うか、その事を考える方が辛かった。 それでも話したのは、自身でも気づいてはいないが、クウネルは友であるモロに聞いて欲しかったのだ。
それはきっと、初めての友達だからだろう。
クウネルは、話しを黙って聞いていたモロを恐る恐る見る。
すると、モロの瞳からは大きな涙がポロポロと流れていた。
モロ達は、クウネルの作った容器に貯めた水を満足するまで飲んでいた。
「良かった、良かった。 しかし、私も喉乾いたな。 スライム君達じゃ水分補給にはならないからね。 水分補給にジュースダメ! 絶対! よし、私も飲んでみるか」
クウネルは自身の両手の平を上に向け、優しく水魔法を発動する。 すると、湧き出るように水が両手の平に現れそれをクウネルは飲み干した。
「ぐびぐび……ぐびぐびぐびぐび! ごくんっ! ぷはぁぁぁぁぁー美味しぃぃぃ! キンッキンに冷えてやがる! 何これ、亡き故郷の村で飲んでた水より美味しい! こう……何だろう。 前世云うと、水道水を普段飲んでるけどコンビニやスーパーで買ったミネラルウォーターが美味しいやつだ!」
クウネルは水魔法の美味しさに涙を流した。
クウネルの亡き故郷の村で飲んでた水も、前世の水道水と比べたら断然水道水の方が美味しく感じる事だろう。
それ程に、水の管理がされていたインフラの重要さを痛感した。
「つまり、私の水魔法で出した水は美味い! もう少し飲んどこう。 ぐびぐび ぐびぐび ぐびぐび!」
「クフクフ、クウネルそんなに飲んだらお腹たぽたぽになるよ? ほら、お前達は昨日クウネルから貰った肉が残ってるから食べて来なさい。 ウォンッ!」
モロが吠えると、クイーンや群れの狼達は洞窟へと戻って行った。
「少しは敵意薄れたかな。 薄れたと期待するしか無いよね……だってモロ以外とは会話出来ないし」
「グルル……さて、友よ。 少し話しをしても?」
「ぷはー! うん、いいよ?」
クウネルは水を飲み干し、手の平にモロを乗せて顔の高さまで持ち上げた。
「クゥン、ありがとう。 じゃあ……まずはそうだね、君は何処から来たんだい?」
「あー、そっか。 そういえば、出会って友達になってから全然お互いの事話せて無かったね。 んー、まずこの辺が何処かは分からないんだけど……大陸の中央にあった巨人の村に住んでた」
クウネルの返答に何故かモロは動揺したが、その事にクウネルは気付かなかった。
「クゥン……そ、そうなんだ。 その、大陸の中央が何処か分からないな。 すまない、私は住んでる周辺の森しか知らないからさ。 それと、巨人とは種族名かい?」
「うん、そうだよ。 巨大な人と書いて巨人。 祖父が言うには、魔物を狩る戦士の種族らしい。 祖父は今の私と同じぐらいの大きさかな? 両親はもっと小さいよ」
モロはクウネルと同じ大きさの祖父とやらを想像し驚く。
「アゥッ!? クウネルと同じ大きさの祖父が居るのかい。 それは……凄いね。 あと、人とは2足型種のようなイメージで良いのかな?」
「うん、多分? 私が2足型種ってのに似てるなら、あってると思う」
「クゥン……巨人か。 やっぱり、聞いた事は無いね。 私の知ってる2足型種は、ゴブリン、トロール、オークだけだから。 見た目は、そうだね……クウネルの様に可愛い見た目はしてないかな。 ははははは」
モロの何処か誤魔化すような軽口にクウネルは頬を赤くし、照れ隠しに手に乗るモロをもう片方の手で叩こうとしてしまう。
「え?! ちょっと、モロ~! 可愛い何て、照れるじゃーん!」バコーンッ!
モロは咄嗟に空を飛んで回避し、何とか死なずにすんだ。
「おっとと、照れて思わず殴っちゃった。 でも、当たって無いからノーカンねノーカン」
「キャイン!? はー、はー、危なかった。 死ぬかと思ったよ、クウネル。 今の君の張り手でも、私達は死ぬから本当に気を付けてね? 所で、その祖父や両親と住んでた場所から何故1人で?」
「んー……モロになら、話してもいいかな。実は、私の家族は――――――
◆◇◆
――――って事で、私の大切な家族は皆死んだの。 何で裏切られたのかも、何で殺されたのかも分からないけど母のお陰で生き残れたって感じかな」
クウネルはモロに長々と、何故1人でこの森に居たのか話しをした。 祖父、両親、村の巨人達がどうなったのか、実は体が大きくてもまだ2歳だと云う事も説明する。
巨人以外の亜人の事と、その亜人達が裏切った事。 そして、祖父が殺された事。 人間と云う種族に両親も殺された事。 母が最後に、私を逃がしてくれた事。 そして、帰りたくても帰る家は、故郷はもう無いと云う話しを涙を流す事も無くクウネルは淡々と話した。
当然ながら、スキルや加護の話しは抜きでモロには説明している。
クウネルはモロがこの話しを聞いてどう思うか、その事を考える方が辛かった。 それでも話したのは、自身でも気づいてはいないが、クウネルは友であるモロに聞いて欲しかったのだ。
それはきっと、初めての友達だからだろう。
クウネルは、話しを黙って聞いていたモロを恐る恐る見る。
すると、モロの瞳からは大きな涙がポロポロと流れていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件
エース皇命
ファンタジー
前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。
しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。
悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。
ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる