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第82話 初めての縄文土器
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「速いー! 全力で疾走したら、視界がめぐるましく変わるから酔いそうになるんですけどー?!」
クウネルはコントロール不能な自身の速度に怯えながら、枯れた池へと向かって走っていた。
そして、出発してから数分で目的地の巨大な窪みが見えてくる。 クウネルは勢いよく止まり、勢い余ってそのまま数本の巨木を薙ぎ倒す。
「おっとと、もう着いたのね。 さ~て、やりますか~」
大きな窪みと化した元池に飛び込むと、不思議な事に気配察知に反応があった。 直ぐには気付けない小さな気配だ。
「おや? 気配察知に反応が有るぞ? この弱々しい反応は! まさか! やった、スライム君達だー!」
窪みの底には落ちて上がれなかったのか、30匹程のスライム達がプルプルしていた。
クウネルはよだれを垂らしながら窪みに降り立ち、スライム達の下へと向かった。 しかし大喜びも束の間、接近すればする程スライム達は小さくなり接触する頃には飴玉サイズな事に気付き絶望した。
「ぬあぁぁぁ……! そっかぁ、私が滅茶苦茶大きくなったからだ。 あの口いっぱいに広がるシュワシュワを味わう事はもう……できないのね。 ひょい、パク」
クウネルは嘆き悲しみながら、指先で摘んだスライムを口に含む。
「プルプル? プル!? ピギュー!!」
「あぁぁぁ……悲しい、私は悲しいよ。 ひょい、パク。 コロコロ……あむあむ。 あぁぁぁ……小さいけど、やっぱり美味しいぃぃぃぃ!」
クウネルはプルプルと逃げ惑うスライム達を容赦無く摘んでは口へと運んだ。
「んんん~……飴玉サイズでも美味しいスライム君は、有る意味最強なんじゃなかろうか。 確かに、小さい時に食べた炭酸広がるジュース感は無いよ? でもさ、シュワシュワする飴玉も最高に美味しいよね~」
「「「「「プギュー!!」」」」」
枯れた池の窪みに、スライム達の悲鳴が響き渡った。
◆◇◆
それから10分程掛けて、クウネルは底に居たスライム達をゆっくりと完食した。
「あー……堪能しました。 いや、でも食べてから言うのも何だけど……まとめて一気に口に放り込めば良かったのでは……? まぁ、次にスライム君達を見つけたらそうしよう。 よーし、容器作るぞー! Hey鑑定、どうやって作るか指示して~」
«――了。 検索中デす――解。 デハ、まズ底の粘土ヲ――――
「ほいほ~い」
クウネルは鑑定の指示通りに動き、粘土を土魔法で容器の形にして水魔法を少量加えてゆく。
そして、土魔法で形を維持したまま火炎で一気に焼いた。
「おぉー! 凄い! 前世で確かこんなの見たことあるよ~……えっと、何だっけ……縄文土器?」
出来上がったのは、巨大なクウネルが両手で持てるサイズの深皿だ。 茶色の巨大な縄文土器である。
「ふふん! これなら、モロ達が水を沢山飲めるよね。 見た目は完全に……失敗作だけど。 ま、まぁいいよね。 水が飲めれば……よっし! モロ達の所に戻ろう。 色々教えてくれてありがとうね、鑑定さん」
『クウネルの器 クウネルが粘土から作成した器 見た目は失敗作 辛うじて液体を入れる容器として使用可能 点数22点 』でス»
「……あれ? 何でセルフ鑑定したの? しかも、明らかにディスってるよね!? 鑑定さん!? でス。じゃないんだよ! 私、ちゃんと指示通り作ったよね?! しかも、この鑑定結果の内容誰が考えたの! 鑑定さんなの? そうなの?」
クウネルは突如の酷評に怒り散らすが、傍目から見たら1人で叫んで暴れるヤバい巨人である。
«――沈。 鑑定のLvガ不足してイル為、お答エ出来マせン»
「かーっ! またそれですか! はいはい、いいですよ! 鑑定のLvが上がったら、きっちり答えて貰いますからね! うえーーーん!」
◆◇◆
クウネルは、自分で作った最高傑作を持ってモロの待つ洞窟へと戻って来ていた。
「すんすん……べ、別に泣いて無いし! ちょっと雨が降ってただけだし! あ、モロただいま。 待たせたね!」
モロは、帰って来たクウネルの手に持つ塊を見て首を捻る。
「クゥン? お帰り友よ。 その土の塊は何だい? いや、すまない! 何でも無いよ!」
クウネルのジト目に気付いたモロは、しどろもどろになりながら誤魔化した。
「ふーん、友達のモロもそんな事言うんだー。 ま……いいけどさ、見た目はアレでごめんね。 でも、水を入れる容器を作ったから此れで水飲めるよ? 勿論飲んでくれるよね? ね? ね? ね? ねぇぇ?」
クウネルの巨大な顔に迫られ、モロは尻尾を丸めて怯える。 その顔は少し狂気じめており、モロは後退りした。
「キャインッ!? クウネル? 黒髪だよね? 大丈夫だよね? いや、あはは、勿論飲ませてもらうよ! 凄いなぁ友は、こんな短時間で水を保管出来る容器を作れるなんて!」
とりあえず褒めておこうの精神で、モロはクウネルを褒め言葉で持ち上げた。
「え? そう? えへへ~、でしょ? もう、モロったら褒め上手何だから~。 よし、水を入れてあげよう~! 作る時に水魔法の調整もちゃんとしたのだよ! さ、たーんとお飲み! 水魔法発動!」
ジョボボ! と、勢いよくクウネルの両手から水が溢れ出る。
このまま出し続ければ、直ぐに容器は満タンになる事だろう。
「うん、いいんだけどさ、私が悪いんだけどさ! ……何で、モロそんなに離れたの?」
モロの方を見ると、群れと一緒に森の奥でこちらを恐々とクウネルを観察していたのであった。
クウネルはコントロール不能な自身の速度に怯えながら、枯れた池へと向かって走っていた。
そして、出発してから数分で目的地の巨大な窪みが見えてくる。 クウネルは勢いよく止まり、勢い余ってそのまま数本の巨木を薙ぎ倒す。
「おっとと、もう着いたのね。 さ~て、やりますか~」
大きな窪みと化した元池に飛び込むと、不思議な事に気配察知に反応があった。 直ぐには気付けない小さな気配だ。
「おや? 気配察知に反応が有るぞ? この弱々しい反応は! まさか! やった、スライム君達だー!」
窪みの底には落ちて上がれなかったのか、30匹程のスライム達がプルプルしていた。
クウネルはよだれを垂らしながら窪みに降り立ち、スライム達の下へと向かった。 しかし大喜びも束の間、接近すればする程スライム達は小さくなり接触する頃には飴玉サイズな事に気付き絶望した。
「ぬあぁぁぁ……! そっかぁ、私が滅茶苦茶大きくなったからだ。 あの口いっぱいに広がるシュワシュワを味わう事はもう……できないのね。 ひょい、パク」
クウネルは嘆き悲しみながら、指先で摘んだスライムを口に含む。
「プルプル? プル!? ピギュー!!」
「あぁぁぁ……悲しい、私は悲しいよ。 ひょい、パク。 コロコロ……あむあむ。 あぁぁぁ……小さいけど、やっぱり美味しいぃぃぃぃ!」
クウネルはプルプルと逃げ惑うスライム達を容赦無く摘んでは口へと運んだ。
「んんん~……飴玉サイズでも美味しいスライム君は、有る意味最強なんじゃなかろうか。 確かに、小さい時に食べた炭酸広がるジュース感は無いよ? でもさ、シュワシュワする飴玉も最高に美味しいよね~」
「「「「「プギュー!!」」」」」
枯れた池の窪みに、スライム達の悲鳴が響き渡った。
◆◇◆
それから10分程掛けて、クウネルは底に居たスライム達をゆっくりと完食した。
「あー……堪能しました。 いや、でも食べてから言うのも何だけど……まとめて一気に口に放り込めば良かったのでは……? まぁ、次にスライム君達を見つけたらそうしよう。 よーし、容器作るぞー! Hey鑑定、どうやって作るか指示して~」
«――了。 検索中デす――解。 デハ、まズ底の粘土ヲ――――
「ほいほ~い」
クウネルは鑑定の指示通りに動き、粘土を土魔法で容器の形にして水魔法を少量加えてゆく。
そして、土魔法で形を維持したまま火炎で一気に焼いた。
「おぉー! 凄い! 前世で確かこんなの見たことあるよ~……えっと、何だっけ……縄文土器?」
出来上がったのは、巨大なクウネルが両手で持てるサイズの深皿だ。 茶色の巨大な縄文土器である。
「ふふん! これなら、モロ達が水を沢山飲めるよね。 見た目は完全に……失敗作だけど。 ま、まぁいいよね。 水が飲めれば……よっし! モロ達の所に戻ろう。 色々教えてくれてありがとうね、鑑定さん」
『クウネルの器 クウネルが粘土から作成した器 見た目は失敗作 辛うじて液体を入れる容器として使用可能 点数22点 』でス»
「……あれ? 何でセルフ鑑定したの? しかも、明らかにディスってるよね!? 鑑定さん!? でス。じゃないんだよ! 私、ちゃんと指示通り作ったよね?! しかも、この鑑定結果の内容誰が考えたの! 鑑定さんなの? そうなの?」
クウネルは突如の酷評に怒り散らすが、傍目から見たら1人で叫んで暴れるヤバい巨人である。
«――沈。 鑑定のLvガ不足してイル為、お答エ出来マせン»
「かーっ! またそれですか! はいはい、いいですよ! 鑑定のLvが上がったら、きっちり答えて貰いますからね! うえーーーん!」
◆◇◆
クウネルは、自分で作った最高傑作を持ってモロの待つ洞窟へと戻って来ていた。
「すんすん……べ、別に泣いて無いし! ちょっと雨が降ってただけだし! あ、モロただいま。 待たせたね!」
モロは、帰って来たクウネルの手に持つ塊を見て首を捻る。
「クゥン? お帰り友よ。 その土の塊は何だい? いや、すまない! 何でも無いよ!」
クウネルのジト目に気付いたモロは、しどろもどろになりながら誤魔化した。
「ふーん、友達のモロもそんな事言うんだー。 ま……いいけどさ、見た目はアレでごめんね。 でも、水を入れる容器を作ったから此れで水飲めるよ? 勿論飲んでくれるよね? ね? ね? ね? ねぇぇ?」
クウネルの巨大な顔に迫られ、モロは尻尾を丸めて怯える。 その顔は少し狂気じめており、モロは後退りした。
「キャインッ!? クウネル? 黒髪だよね? 大丈夫だよね? いや、あはは、勿論飲ませてもらうよ! 凄いなぁ友は、こんな短時間で水を保管出来る容器を作れるなんて!」
とりあえず褒めておこうの精神で、モロはクウネルを褒め言葉で持ち上げた。
「え? そう? えへへ~、でしょ? もう、モロったら褒め上手何だから~。 よし、水を入れてあげよう~! 作る時に水魔法の調整もちゃんとしたのだよ! さ、たーんとお飲み! 水魔法発動!」
ジョボボ! と、勢いよくクウネルの両手から水が溢れ出る。
このまま出し続ければ、直ぐに容器は満タンになる事だろう。
「うん、いいんだけどさ、私が悪いんだけどさ! ……何で、モロそんなに離れたの?」
モロの方を見ると、群れと一緒に森の奥でこちらを恐々とクウネルを観察していたのであった。
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