真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
138 / 247

第134話 街の復興準備

しおりを挟む
 キュウベイが駆け付けた結果、ゴブリン達はパニックだ。

 「そりゃ、そうやろ。 同じ緑色の肌してるけど、身体のサイズが全然違うし滅茶苦茶ムキムキやし、何より全裸なのがアウトー!」

 変異し、感覚と違う己の身体能力の高さにキュウベイは戸惑っていた。 道中、木や石に猛スピードで激突していたが一番驚いていたのは本人だろう。 激突した木々や岩は粉々に砕け散ったのだから。

 「ぜー、ぜー……姉御、大丈夫ですか?」

 「いや、お前が大丈夫か? そんな装備で大丈夫か? だよ! 装備どころか、全裸なんだから大丈夫な筈ないでしょ! まだ力の加減が分かってないのに全力ダッシュなんてするから息切れするんだよ。 やれやれ、キュウベイはまだまだ未熟者だね~」

 「へい! 精進致します!!」

 「うむ、素直でよろしい!」

 クウネルが平然と突如現れた全裸変態野郎と会話しているおかげか、周囲のゴブリン達のパニックは収まりつつあった。

 ゴブリン兵士達も武器を手にしつつ、様子を見ている。 どうやら、即座に現行犯逮捕は回避出来たようだ。

 そして、ゴブリンキングとギド将軍はキュウベイを見て固まったままだ。 ゴブリンの中では背の高いゴブリンキングとギド将軍よりもキュウベイは大きく股間にぶら下がっている物も大きかった。

 「グルル? クウネル、その色々大きいゴブリンらしき彼は……弓兵長君かい?」

 「お、さすがモロ! 状況把握が早いねー! さすモロ! そうだよー。 眷属っていうのにしたら、何か変異した」

 クウネルの雑な説明にゴブリンキング達は勿論、モロも首を傾げる。

 「ギガ? 変異とは何だ?」 「ギ、私も分かりませぬ」 「クゥン? 私も聞いた事無いね」

 「はぁ……やっぱり説明しなきゃダメか。 えっと……朝にね――

 ◆◇◆

 ――という事で。 弓兵長君改め、キュウベイは私の力を分け得られて私の眷属になったのでした。 めでたしめでたし……みたいな?」

 常識外れの内容を詳しく説明された3匹は終始首を傾げたまま聞いていた。

 「あ、コレ説明したけど理解出来てないね。 まだ王様もギドさんも目が点になったままだぞ」

 「クフクフ、はははっ! やはりクウネルは凄いね。 いつも、私の常識を粉々にしてくれる。 キュウベイ君、友達のクウネルにしっかり仕えてね」

 理解したモロは大笑いし、キュウベイに笑顔を向けた。

 「はっ! もちろんですモロ殿!!」

 「うんうん、モロは本当に頭が回るね。 あ! でね、モロに頼みたい事があってさ。 キュウベイが大きくなったから着れる服も装備も無くて困ってるんだ。 私の時みたいな服ってもう無いかな?」

 「ガウッ! 友の頼みさ、任せてくれ! はははっ、それでキュウベイは全裸なのか。 う~ん……だが、住んでた洞窟にはもう無いからね。 なら、作ればいいさ」

 「えぇ?! モロって服作れるの??」

 「クフクフ、まぁね。 と言っても、毛皮を縫い合わせるだけだよ? 友の王国に物々交換する為に作ってただけだから、そんなに期待はしないでくれよ?」

 モロの以外な特技を聞き、クウネルは親指を立てる。

 「勿論! 全然大丈夫だよー! とりあえず隠せたら良いからね。 キュウベイのチン「姉御?!」

 「ガフッ! ははははは! よし、採寸するからキュウベイはこっちに来てくれ。 あ、クウネルー! 素材は何にする? 何かあればソレを使うけど」

 「んー、地竜の素材は装備に使いたいし。 そもそも、鱗の付いた皮は服には適さないよね。 任せるー! 適当にお願い!」

 「モロ殿、お世話になりやす!」

 「クフクフ、任せてくれ。 じゃあ、測るよー?」

 モロがキュウベイの採寸を開始したのを確認したクウネルは、王国の復興の為に動き出す。

 「う~ん、モフモフの手足でどうやって採寸するのか凄く気になるけど、私は私の仕事をしなきゃ。 おーい! 王様! ギドさん、しっかりしてー!」

 頭上からクウネルの声に叩きつけられた2匹はようやく正気を取り戻した。

 「ギ!? はっ……すまぬ、我の常識が粉々になっておった」

 「ガガギ、私もです。 大変失礼致しました」

 「うん、それは別にいいから。 お願いがあって、いいかな?」

 「ギギガ! 何でも言ってくれ、王国と民達を救いし者の頼みだ。 どんな事でも叶えよう。 あれか? 我も眷属とやらになるか?」

 ゴブリンキングの隙あらばの姿勢にクウネルは苦笑する。

 「あはは……いや、だからそれは無理だってば。 えっと、王様は、鍛冶士と大工を全員集めてくれるかな。 街の復興で相談したい事があるの。 ギドさんは、とりあえず街の皆にキュウベイの事を知らせて。 敵襲かと勘違いした兵士達が集まり始めてるから、早めにお願い」

 「ギガ! はっ! お任せを!」

 ギド将軍はゴブリン兵士達の方へと走る。 これで、直ぐにキュウベイの誤解は解けるだろう。

 「ギギガ……何だ、頼みとは結局我等の為ではないか。 お主に欲は無いのか? クウネル」

 「いやいや、滅茶苦茶あるよ? じゃあ、街の復興が終わったらゴブリンで有名な料理たらふく食べさせてよ」

 「ギィ? そんな事で良いのか? まぁ、今はそれでよいか……よし、王として約束する。 では、鍛冶士と大工達を集めて来るとしようか。 また会おう」

 「ほいほーい、よろしくね~! じゃあ、暫し待ちますか~」

 クウネルは空き地に座り、のんびりと空を仰ぐのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...