真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~

秋刀魚妹子

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第224話 水竜の目的

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 ステータス画面

 種族 ウォーター ドラゴン

 年齢 44

 レベル 85

 HP  34300/36000

 FP   6700/9000

 攻撃力  12000

 防御力 6600

 知力 10000

 速力  9500

 スキル 竜鱗Lv8. 粘膜LvMax. 水耐性LvMax. 連携LvMax. 魔物食らい. 魔物殺し. 魚食い

 魔法 水の礫Lv9

 戦技 絡みつくLv6. 噛み付きLv7

 状態異常 呼吸困難

 (結構強いじゃない! 体力が陸地に居るせいで減ってるけど、まだまだ残ってるわね……あ、こいつら連携持ってる!)

 ネルは戦闘前に出した鑑定結果を急いで確認していた。

 «――注意。 ネル、来ます!»

 「ちょっ?! うわぁぁ、ヌルヌルで気持ち悪いー! しかも、蛇みたいな見た目なのが更に無理! 生理的に無理ー! 火炎!! ボァァァァァァ!!」

 鑑定からの警告に視線を戻すと、団子状態の水竜達がネルの足に絡み付こうと取り囲んだ。

 成体の水竜は大きく、ネルの膝の高さまである巨体だ。

 ソレが団子状態で襲って来る姿は先日のトラウマであるポイズンスネークの群れを思い出させ、ネルは鳥肌を立たせる。

 「「「「シャギャルガァァァッ?!」」」」

 だが直ぐに足下へ火炎を放ったおかげで、取り囲んだ水竜達は怯みながら離れた。

 離れるのが遅れた水竜を火炎が包み込み、地面にドロドロと粘膜が落ちる。

 「よし、ヌルヌルとれてる! あの子トロール達が言ってたのは本当だったんだね! なら、私のハルバードが今なら効くはず! くらえ、叩き割り!」

 戦技を放ち、凄まじい勢いで叩き付けられたハルバードは火炎で苦しんでいた水竜の首を吹き飛ばした。

 「シャガラァァ!」

 水竜の断末魔が轟き、ネルは得意気に笑ったがその油断が仇となる。

 «――ネル! 油断してはダメです!»

 「え? わっ! ちょっと、何よコレ! いやぁー! ヌルヌルしてるーー!!」

 突如として、足の下にヌルリと身体を水竜にねじ込まれたネルは後ろに倒れ込み水竜達の上に乗ってしまった。

 「マズイ! 早く立たな……ちょっ?! 火炎! 火炎!! ボァァァァァァァ!」

 ネルは周囲を囲む水竜達に火炎を放ち牽制するが、身体の下に居る水竜達には効かない。

 粘膜の層が厚すぎるのだ。

 そして何故か水竜達はネルに襲い掛かるのでは無く、海から通って来た粘膜だらけの道をネルを乗せて戻り始めた。

 「うぎゃー! ちょっと、降ろしてってば! ダメだ、ヌルヌルが邪魔して身動き取れない!!」

 «――冷静! ネル、落ち着いてください。 この水竜達が陸地まで無理矢理来たのは、どうやらネルを追っていた様です。 理由は不明ですが、貴女を害する気配は感じられません»

 「はぁぁぁ?! 嫌よ! こんな蛇みたいなヌルヌルした魔物と友達にはなれないから! お願いだから降ろしてーー!」

 落とさないようにしっかりと持ったハルバードを抱きしめ、悲鳴を上げながらネルは海へと連行されるのであった。

 ◆◇◆

 「こっちです! 早く!」

 ネルが水竜達に連行されている頃、水竜達に追撃される事は無かったキュウベイ達は無事にオログ族長達の住む新たな集落へと着いていた。

 「ゴォゴォゴォ……い、生きて着けただ」

 「んでも、兄ちゃん……あのでっけぇ姉ちゃんが」

 「コガァ……オラ達の為に囮になったんだべ。 どうか無事に逃げて来て欲しいべな」

 息も絶え絶えで走り続けた生き残りのトロール達は喜びの声を上げ、3匹の子トロール達は自らを囮にしたネルの身を案じる。

 「アォーン! 誰か来てくれー!」

 モロの遠吠えを聞き付け、集落からオログ達が走って来た。

 「んだべや?! お前達、生きてたべかー!!」

 「「「「「ゴォ! 族長ーーー!!!」」」」」

 生き残りのトロール達は駆け付けた族長オログに抱きつき、顔を皺くちゃにしながら泣き叫ぶ。

 「ゴォガ! えがった、無事でえがった!」

 「ガウッ! 感動の最中すまないね、友よ。 信じられないが、陸地を水竜の群れが蹂躙し私達を追いかけて来たんだ。 今はネルが囮になってくれている。 直ぐに戻らないといけないんだが、キュウベイに矢を貰えないか」

 「すいやせん、オログ殿。 姉御を援護しようにも、矢が後1本だけなんです」

 オログはモロからの話を聞き、目を見開いて驚いた。 そして、キュウベイから残った矢を手の平で受け取り顔を顰める。

 「んだべや?! そげな馬鹿な!! だが、友が嘘をつくはずねぇべ……んだけども、オラ達が使う矢はこげに小さくねぇだべや」

 「クゥン……だから、魔力弓の狩人殿から矢筒を前借りさせて欲しい。 まだ私達は水竜を狩れていない……だが、キュウベイは水竜の片目を射抜いた凄腕だ。 必ず試練を果たすと約束しよう」

 オログは顎に手を当てて考え込む。

 「ゴォォォ……もう、この集落以外にはトロールは居らんと諦めてたべ。 それを見つけ助けてくれた事は試練以上だと考えても良いんでねぇか? なぁ、魔力弓の狩人よ」

 背後に立つ魔力弓の狩人にオログが話し掛けると、魔力弓の狩人は背中に背負っていたトロールに相応しい大きさの矢筒を下ろした。

 「ンギギ……あの水竜の目を射抜いたってだけで充分だべ。 ワテには……出来なかったべな。 小さき雄……いや、キュウベイ。 おめさにコレはやるべ」

 そして、無限に矢を放てる矢筒をキュウベイの手に乗せるが明らかに大きすぎる。

 キュウベイよりも矢筒の方が大きい程だ。

 「魔力弓の狩人殿……有り難く使わせていただきやす! うおっ?!」

 「ゴッゴッゴ! 良かったべな。 んでも、ちと大きすぎるべ?」

 「その矢筒は、亡き母が下賜された神狼の服と同じ伝説の魔道具だと思う。 ならば、使用者に合わせて大きさも変わる筈だ。 キュウベイ、背中に背負おうとしてみてくれ」

 キュウベイはモロに言われた通りに自身より巨大な矢筒の紐に身体を通す。

 すると、一瞬光った矢筒はキュウベイの背中に合ったサイズに変化した。

 「へ、へい! うおっ?! す、凄い……ピッタリになりやした」

 「ガウッ! よし、キュウベイ! 直ぐにネルを助けに行こう! トロールの皆はそのまま集落に居てくれ!」

 モロは走り出し、キュウベイも急いで続く。

 「ガルルル……無事で居てくれよ、友よ!」

 「姉御、直ぐに援護に行きやす!」

 2匹は知らない、ネルは既に居た場所から海へと拉致されている事を。
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