[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
22 / 231

第22話 一夜の過ち?

しおりを挟む
 「んーーー! 良く寝たーーー!」

 カーテンの隙間からは朝日が差し込み、既に日が高くなっている事を告げている。

 獣人ラガンに貰っていた酔い冷ましの実のお陰で二日酔いもせずに起きられた事にマリは心中で感謝するが、恐らくまた酒は飲むだろう。

 マリはベットで伸びをし、起きようとしたが隣で眠っている何かに腕をぶつけて固まった。

 「…………ん?」

 マリの思考が高速で回転し、必死に記憶を呼び覚ます。

 「あ~……うん、えっと~服は、一応着てるね。 はいはい、なるへそね。 うんうん、あ~~~全然覚えてないや」

 マリは現状を把握し、頭を抱えて呻く。

 必死に呼び覚ました記憶は朧気で鮮明な記憶は忘却していた。

 残っている記憶を思い出す限りでは、昨晩夕食を部屋に運んでもらい性懲りもなく恋人のヨハネとお酒を飲みながら食べた筈なのだ。

 そして、普段ならブレーキ役となるメリーやジャックが謹慎で居ない為……心が壊れかけのマリが暴走するのを止める者はいなかった。

 マリが泥酔する頃、恋人のヨハネに甘えてキスし始めた辺りから全く記憶が残って無い。

 「ふー……オーケーオーケー。 うん、とりあえず……記憶違いかもしれないから……ね?」

 恐る恐る布団を剥がし、隣で眠る誰かを確認する。

 ――全裸のヨハネさんだ。

 「Wao! 腹筋バキバキ、イケメンの寝顔あざますぅぅぅ!! くふぅーーー!って、そんな事を言ってる場合じゃないよ!」

 1人でノリツッコミをしていると、部屋がノックされる。

 コンコンコン

 「陛下、起床なさいましたか?」

 (不味い……この声は、メリーさんの部下メイドさんだ! この状況を見られるのは非常に不味い!!)

 パニック状態のマリは咄嗟に出た言葉を考えずそのまま言ってしまう。

 「あ!  待って!開けないで! 後、おはよう! 今日は体調が悪いのでこのまま部屋に居ます!」

 「え!? 陛下、大丈夫でございますか? 信じられないくらい元気なお声ですが?!」

 扉の前でメイドもパニックになる。

 仕える女王が体調不良なのも心配だが、信じられないくらい元気な声をしているのだ。 怪しすぎる。

 「うぐ!? いや、その……どうしよう!」

 ベットの上でマリがパニックを起こしていると、優しく手を握られた。

 「ぴっ?! あ、お……おはよう、ヨハネ」

 顔を真っ赤に染めながら、手を握った主を見るとヨハネが優しく微笑んでいる。

 「ふふ、おはようマリ。 状況的に私が居ない方が良さげだね。 よし、窓から逃げるから時間を稼いでくれ」

 小声で会話をした後、ヨハネは急いで服を着始める。

 「うん、分かった。 任せてね」

 乱れていない衣服を一応正し、扉へと向かう。

 「あ、ごめんね。 暑くて、寝苦しかっただけだから。 ごめんだけど、冷たい水持って来てくれる?」

 扉の向こうへと話し掛けると、直ぐに返答が帰ってきた。

 「ほっ……安心致しました陛下。 直ぐに持って参ります」

 廊下を走る音を聞き届け、安心してヨハネの方を振り替えるが既に窓から脱出したようだ。

 窓から入る風がカーテンを揺らしている。

 「ここ……3階なんだけど。 流石、亜人最強の英雄ね。 カッコいい!!」

 暢気な感想を延べたマリは一安心し、大人しくメイドの帰りを待つのであった。

 ◆◇◆

 「皆おはよう、遅くなってごめんね」

 あれからマリは念の為水浴びをし、身体を清潔にしてからの遅い朝食となった。

 食堂となる広間に入ると、長いテーブルが有りその上に豪華な朝食が並んでいる。

 どうやら、マリの席は上座の一番奥の様だ。

 着席していたルニア伯爵達が立ち上がり、女王に敬意を示している。

 この場にメリーとジャックは居ない。恐らく、馬鹿真面目に与えられた部屋で謹慎しているのだろう。

 ルニア伯爵と見知らぬ青年に、ルニア伯爵の下に付かせた女爵達6人がマリの到着を待っていた。 そして、上座の近くの席にはさっきまで床を共にした恋人ヨハネが照れながらマリに向かって手を小さく振っている。 昨晩とは違い眼鏡をしているので、今はヨハネでは無くキラサギモードなのだろう。

 (くー! なんだろう……推しのルーたんが一番なんだけど。 デレてるヨハネがめちゃくちゃ可愛い。 イケメンで可愛いって……神か?)

 女王の席に座ったマリが惚けた顔でヨハネを見つめていると、この館の主であるルニア伯爵が咳払いをし口を開いた。

 「おほんっ! おはようございます、陛下。私の館で疲れが少しでも取れたなら幸いだ」

 ヨハネの反対の席にはこの館の主であるルニア辺境伯が。 そして隣には赤髪の青年が立っている。

 「ありがとう、ルニア伯爵。 とてもよく寝れたよ~! あ! もしかして、隣の青年が……?」

 マリの問い掛けに、ルニア伯爵と青年が顔を上げる。

 「はい、先日お話しました息子のガルーダ フォル ルカです」

 「ルカとお呼び下さい陛下。 誠心誠意、お仕え致します」

 顔を上げたルカは、武に生きる両親とは大きく違い華奢で美青年であった。

 敵を威圧すると云われるガルーダ家の赤髪が、まるで美女を飾り付けるようにキラキラと光っている。

 当然ながら、ルニアの息子ルカはこの辺境ではよく思われていなかった。

 母は赤い死神と呼ばれる王国最強の英雄で、父は王都を守る王国騎士団団長だ。

 息子のルカにも、戦闘力という意味で周囲から期待されていた。

 そして、兵士も民も強い辺境伯を慕ってこの土地に住んでいるのだ。

 娘が生まれずとも、強い男なら歓迎だった兵士達もこれには拍子抜けをし、ガルーダ家はルニア伯爵の代で途絶えるとすら噂され母ルニアは激怒した。 

 しかし、周囲の期待を裏切ったルカの頭脳は異常だった。

 親から見ても異常な程に頭が良い。
 少ない情報から多くを見、正確な政策でガルーダ家はどんどん潤っていった。

 民も豊かになり、いつしかルカの噂は変わる。

 ――あれは神童だと。

 以上が、メリーからの報告書に書かれていたルカの情報だ。

 それらを思い出しながら、マリは年上のルカを見つめる。

 推しのルーデウスを任せられるかどうか見極めようと心に決めながら。

 「うん、よろしくねルカ。 じゃあ、親睦を深める為に一緒に食べよう! 」

 「くすっ……はい、陛下」

 2人が笑い合い朝食を食べる様子をルニア伯爵達と恋人ヨハネは微笑みながら見ていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~

八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。 しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。 それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。 幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。 それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。 そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。 婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。 彼女の計画、それは自らが代理母となること。 だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。 こうして始まったフローラの代理母としての生活。 しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。 さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。 ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。 ※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります ※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

処理中です...