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第27話 全然長くない帰路の終わり
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ルカのとんでも進言より数日、マリ達は文字通り不眠不休で王城へと走り続けていた。
マリの馬車には、作戦の確認をする為にメリーとルカが同乗している。
「それで、ルカ。 この作戦ならエントン王国は何とかなるんだよね?」
真剣な表情のルカと、複雑な顔のメリーがマリを見る。
「はい、エントン王国が生き延びる為には……留守を預かるルーデウス様が生き残るにはこれしか有りません」
ルカの返答にマリは満足そうに微笑む。
「そっか! ならいい!! やろう!」
「陛下……やはり、私は反対です! 余りにも無謀過ぎます!」
メリーは狭い馬車内で思わず立ち上がり抗議する。
「そうだね、メリーさん。 でも、王国の皆やルーたんを守る為だから。 それに……えっと、あの武装したメイドさんって名前何て言うの?」
「あれは、ファーストです。 私が率いるメイド暗部部隊で1番の実力者です」
「そう! そのファーストさんが作戦を遂行してくれたらかなり楽になるし……きっと何とかなるよ」
笑うマリに、メリーはそれ以上抗議する事は出来なかった。
現在、マリの護衛部隊は10人程まで減っている。 ルカの作戦遂行の為に、護衛隊長が89人の精鋭となる部下達を連れドック王国へと向かったからだ。
ルカの予想では、エントン王国を滅ぼす為にドック王国とキャット王国は殆どの兵を差し向けている筈なのだ。
無謀にも思える作戦を遂行すべく、護衛隊長達は少数でドック王国に向かっている。
そして、たったの1人でキャット王国にはメイド暗部部隊のファーストが向かっているのだ。
以前キサラギを見失ったファーストに本当に任せて大丈夫かとマリは心配していたが、メリー曰く相手がキサラギ程の実力者で無ければ絶対に失敗しないそうだ。
「後は……伝令が母上とルニア辺境軍を連れて王都に着けば確実に私達の勝ちです」
「あはは……ルカ、ルニアさんを信用してるんだね」
「勿論です。 母上に勝てる生命体は存在しません。 赤い死神が現れた時点で、戦争は終わります」
「そんなに!? 赤いと3倍早いとか?」
「陛下、何のお話しですか? おや? 馬車が止まりましたね」
マリが地球でしか通用しない冗談を言ったタイミングで馬車が止まった。
コンコンコン
「私です、陛下」
馬車の扉をノックしたのは絶賛マリが気まずい相手、ジャックだ。
「ジャック……その、は、入っていいわよ」
挙動不審なマリが許可を与えると、ジャックが馬車の扉を開ける。
「失礼します、王都が見えました。 王都を囲む城壁に火の手が上がっております」
「っ!? 王城は……街はまだ無事なのね?」
ルカの進言が的中し一瞬強張るが、身体を震い立たせる。
「はい、まだ敵は城壁で足止めを食らっているのでしょう。 急げば間に合います! ルーデウス様と合流しましょう!」
「ジャック殿、少々お待ちください。陛下……迂回し、変更した目的地に移動すべきです。今はまだ昼時、城壁を囲む敵に見つかれば我等は終わりです」
猛るジャックをルカが止め、冷静に進言する。 しかし、ジャックは止まらない。
「陛下! 私はルカ殿の作戦には賛同出来ません! 今すぐ城壁の味方と合流し、そのまま王城に入るべきです!」
馬車の中に乗り込み、思わずマリの肩を掴み叫ぶ。
「ジャック……」
「ジャック、不敬ですよ。 今すぐその手を離しなさい」
メリーに諌められ、ようやく我に返ったジャックは手を離す。
「あ、陛下……も、申し訳ありません」
謝るジャックの顔は見るに堪えない。
まるで、濡れた子犬の様に主人であるマリを見つめている。
行かないでくれ、安全な城に居てくれ、頼む、お願いだ、貴女を失いたくない、そうジャックの顔には書いてあった。
マリは胸が締め付けられる。
まだ、ジャックへの不可思議なモヤモヤも晴れてない。 何故、恋人が出来た事を知られたくないと思ったのかも分からない。 しかし、これだけは分かる。
ジャックをマリはそっと抱き締めた。
「ありがとう、ジャック。 幼い頃から私に仕えてくれてありがとう。 きっと、きっと、生きて帰るから。 ルーたんを、ルーデウスをお願い」
主に諭され嗚咽するジャックを置いて、マリ達は馬車を降りる。
周囲には残った護衛の兵士達と恋人のキサラギが待っていた。
遠征に連れていた一般メイドや執事達は帰路の道中にあった村に避難させている。
「いよいよだね……我が主」
キサラギの問にマリは笑う。
「ふふ……何その呼び方。 マリで良いよ……ヨハネ」
「あはは、ずっと公の場ではこう呼んでたんだけどね。 さて、ジャックを連れて行こうか」
「ありがとう……ルーデウスをお願い」
「勿論だ。 そういう……契約だからね。 でも、必ず迎えに行く。 約束だ」
「うん、待ってる」
キサラギは愛おしそうにマリを優しく抱きしめた。
周囲の目がある状況で抱きしめられ驚くマリだが、キサラギの瞳を見て何も言えなくなった。
秘密の関係である税務管キサラギと女王マリが抱き締め合うのを見ても、兵士達やメリーは何も言わない。
分かっているからだ。
これが最後の別れになるかもしれないと。
「はいはい、陛下もキサラギ殿もそれぐらいにして下さいね。 最後の別れにはなりませんよ? 私の立てた作戦通りに進めば何とかなります」
しかし、ルカが平然と2人を引き剥がす。
「ふふ、そうねルカ。 ヨハネ……気を付けてね」
「ああ、必ず大臣殿に言われた任務は果たしてみせよう」
「キサラギ、ジャックを頼む」
メリーに請われ、キサラギは馬車の中で未だに項垂れるジャックを見てため息を吐いた。
「ふ~……やれやれ、まぁ無理矢理連れて行くさ」
キサラギが項垂れるジャックを抱え込み、笑顔でマリに手を振る。
「じゃあ、またね。 マリ」
マリも笑顔で返答する。
「うん、またね。 ヨハネ」
必ず生きて会おうと誓って。
マリの笑顔を見て満足したキサラギは、ジャックを抱えたまま城壁へと向かった。
「はい! じゃあ、ここからが正念場です! とにかく見付からずに目的地に向かいますよ。 陛下、メリーさん馬車に乗って下さい。 護衛の皆は、周囲の警戒を怠らないよう気を付けて下さいね!」
場の空気を変える様に、ルカがテキパキと指示を出す。
足早に準備を進めた一行は、目的地に向かって走り出した。
エントン王国とゴルメディア帝国の国境に位置する城、アーサー男爵の領地に向かって。
マリの馬車には、作戦の確認をする為にメリーとルカが同乗している。
「それで、ルカ。 この作戦ならエントン王国は何とかなるんだよね?」
真剣な表情のルカと、複雑な顔のメリーがマリを見る。
「はい、エントン王国が生き延びる為には……留守を預かるルーデウス様が生き残るにはこれしか有りません」
ルカの返答にマリは満足そうに微笑む。
「そっか! ならいい!! やろう!」
「陛下……やはり、私は反対です! 余りにも無謀過ぎます!」
メリーは狭い馬車内で思わず立ち上がり抗議する。
「そうだね、メリーさん。 でも、王国の皆やルーたんを守る為だから。 それに……えっと、あの武装したメイドさんって名前何て言うの?」
「あれは、ファーストです。 私が率いるメイド暗部部隊で1番の実力者です」
「そう! そのファーストさんが作戦を遂行してくれたらかなり楽になるし……きっと何とかなるよ」
笑うマリに、メリーはそれ以上抗議する事は出来なかった。
現在、マリの護衛部隊は10人程まで減っている。 ルカの作戦遂行の為に、護衛隊長が89人の精鋭となる部下達を連れドック王国へと向かったからだ。
ルカの予想では、エントン王国を滅ぼす為にドック王国とキャット王国は殆どの兵を差し向けている筈なのだ。
無謀にも思える作戦を遂行すべく、護衛隊長達は少数でドック王国に向かっている。
そして、たったの1人でキャット王国にはメイド暗部部隊のファーストが向かっているのだ。
以前キサラギを見失ったファーストに本当に任せて大丈夫かとマリは心配していたが、メリー曰く相手がキサラギ程の実力者で無ければ絶対に失敗しないそうだ。
「後は……伝令が母上とルニア辺境軍を連れて王都に着けば確実に私達の勝ちです」
「あはは……ルカ、ルニアさんを信用してるんだね」
「勿論です。 母上に勝てる生命体は存在しません。 赤い死神が現れた時点で、戦争は終わります」
「そんなに!? 赤いと3倍早いとか?」
「陛下、何のお話しですか? おや? 馬車が止まりましたね」
マリが地球でしか通用しない冗談を言ったタイミングで馬車が止まった。
コンコンコン
「私です、陛下」
馬車の扉をノックしたのは絶賛マリが気まずい相手、ジャックだ。
「ジャック……その、は、入っていいわよ」
挙動不審なマリが許可を与えると、ジャックが馬車の扉を開ける。
「失礼します、王都が見えました。 王都を囲む城壁に火の手が上がっております」
「っ!? 王城は……街はまだ無事なのね?」
ルカの進言が的中し一瞬強張るが、身体を震い立たせる。
「はい、まだ敵は城壁で足止めを食らっているのでしょう。 急げば間に合います! ルーデウス様と合流しましょう!」
「ジャック殿、少々お待ちください。陛下……迂回し、変更した目的地に移動すべきです。今はまだ昼時、城壁を囲む敵に見つかれば我等は終わりです」
猛るジャックをルカが止め、冷静に進言する。 しかし、ジャックは止まらない。
「陛下! 私はルカ殿の作戦には賛同出来ません! 今すぐ城壁の味方と合流し、そのまま王城に入るべきです!」
馬車の中に乗り込み、思わずマリの肩を掴み叫ぶ。
「ジャック……」
「ジャック、不敬ですよ。 今すぐその手を離しなさい」
メリーに諌められ、ようやく我に返ったジャックは手を離す。
「あ、陛下……も、申し訳ありません」
謝るジャックの顔は見るに堪えない。
まるで、濡れた子犬の様に主人であるマリを見つめている。
行かないでくれ、安全な城に居てくれ、頼む、お願いだ、貴女を失いたくない、そうジャックの顔には書いてあった。
マリは胸が締め付けられる。
まだ、ジャックへの不可思議なモヤモヤも晴れてない。 何故、恋人が出来た事を知られたくないと思ったのかも分からない。 しかし、これだけは分かる。
ジャックをマリはそっと抱き締めた。
「ありがとう、ジャック。 幼い頃から私に仕えてくれてありがとう。 きっと、きっと、生きて帰るから。 ルーたんを、ルーデウスをお願い」
主に諭され嗚咽するジャックを置いて、マリ達は馬車を降りる。
周囲には残った護衛の兵士達と恋人のキサラギが待っていた。
遠征に連れていた一般メイドや執事達は帰路の道中にあった村に避難させている。
「いよいよだね……我が主」
キサラギの問にマリは笑う。
「ふふ……何その呼び方。 マリで良いよ……ヨハネ」
「あはは、ずっと公の場ではこう呼んでたんだけどね。 さて、ジャックを連れて行こうか」
「ありがとう……ルーデウスをお願い」
「勿論だ。 そういう……契約だからね。 でも、必ず迎えに行く。 約束だ」
「うん、待ってる」
キサラギは愛おしそうにマリを優しく抱きしめた。
周囲の目がある状況で抱きしめられ驚くマリだが、キサラギの瞳を見て何も言えなくなった。
秘密の関係である税務管キサラギと女王マリが抱き締め合うのを見ても、兵士達やメリーは何も言わない。
分かっているからだ。
これが最後の別れになるかもしれないと。
「はいはい、陛下もキサラギ殿もそれぐらいにして下さいね。 最後の別れにはなりませんよ? 私の立てた作戦通りに進めば何とかなります」
しかし、ルカが平然と2人を引き剥がす。
「ふふ、そうねルカ。 ヨハネ……気を付けてね」
「ああ、必ず大臣殿に言われた任務は果たしてみせよう」
「キサラギ、ジャックを頼む」
メリーに請われ、キサラギは馬車の中で未だに項垂れるジャックを見てため息を吐いた。
「ふ~……やれやれ、まぁ無理矢理連れて行くさ」
キサラギが項垂れるジャックを抱え込み、笑顔でマリに手を振る。
「じゃあ、またね。 マリ」
マリも笑顔で返答する。
「うん、またね。 ヨハネ」
必ず生きて会おうと誓って。
マリの笑顔を見て満足したキサラギは、ジャックを抱えたまま城壁へと向かった。
「はい! じゃあ、ここからが正念場です! とにかく見付からずに目的地に向かいますよ。 陛下、メリーさん馬車に乗って下さい。 護衛の皆は、周囲の警戒を怠らないよう気を付けて下さいね!」
場の空気を変える様に、ルカがテキパキと指示を出す。
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