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第72話 ヘタレ皇子と偽物カエサル
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「おい、どういう事だカエサル!! 母上は、死んだデランを反逆者として扱うと言ったではないか!」
アバンは朝食会から自室に戻ると同時に、待機させていた近衛師団団長カエサルに怒鳴る。
「アバン皇子ご安心を。 キャベル女皇帝陛下は少し乱心されただけ……直ぐにデランの事等忘れるでしょう。 それに、裏切り者の捜索を頼まれたのはあの小娘なのでしょう? でしたら、私とアバン皇子に辿り着ける筈がありませんよ」
爽やかイケメンスマイルで答えられ、アバンは押し黙る。
(確かに……昨日の時点では母上はマリを敵対する価値無しと言っておられた。 だからこそ、あの後にカエサルに誘われたデラン暗殺の話を受けたのだ)
アバンは深呼吸し、心を落ち着かせる。
「そうよな……すまない、取り乱した。 警戒する必要も無いのであれば……この後の計画も進めるんだろうな」
「はっ! 既に黒騎士団の中にはデランを討った私を疑っている者も居ります。 予定通り、そういった者から戦死や事故に見せかけ消します。 数が減れば……最終的に帝国に残る最強の戦力はアバン皇子に忠誠を誓う近衛師団のみとなるでしょう」
カエサルの微笑みに安堵し、アバンはようやく席に座った。
「うむ、そうなれば将来私が初めての男の皇帝の席に就いた暁にはカエサル団長は名誉も褒美も欲しいままとなるだろう」
「はっ! 必ずや勅命を達成してみせましょう!」
カエサルは一礼し、部屋を退出した。
1人となったアバンは先程安堵したのも束の間、直ぐに不安に襲われる。
「や、やややっぱりバレるかも。 どうしよう、どうしよう! もしかしたら、カエサルが私を裏切るかも。 やばいやばいやばい、このままカエサルを本当に信用できるのか? さっきは頼もしい事を言ってたが、嘘だったら私は終わりだぞ?」
アバンはどうしようも無い程に小心者だった。
この世界の正史では、恋人のエナと共に成長し立派な皇帝となる筈だった青年は残念な事にヘタレ皇子のままだった。
「そうだ、もしカエサルに裏切られた時の為に自分で何か考えとかなきゃ! あははは、そうだそれがいい!」
アバンはベッドに潜り、独り言を呟き続けた。
◆◇◆
部屋を退出したカエサルは廊下を進み、近衛師団の詰め所へと向かう。
その道中、新しくメイド長となったファーストとすれ違い様に紙を受け取る。
(んふふ~、なるほどなるほどそうですか~。 マリ陛下さんが特別改革大臣さんになったから、どんどん黒騎士団の兵士や家族を地下街に送れと。 犯人探しをする人が味方なら私が動き易くなりますもんね~。 でもでも、久し振りの外出ですからね~。 楽しく頑張りますか~)
カエサルに変装しているサードは、書かれた内容に内心で微笑む。
ヘタレ皇子からの雑な報告より、やはり信頼できる同僚やメリーからの報告の方が信用できるのだ。
詰め所の部屋に到着すると、直ぐに1人の近衛兵が駆け寄る。
「団長、ようやくお戻りで! 昨晩の戦闘で戦死した遺族への見舞金の処理と、朝から何度も怒鳴り込んでくる黒騎士団の奴等を何とかして下さい! そろそろ死人がでます!」
切羽詰まったこの近衛兵は近衛師団の副団長をしているピレンだ。
サードはカエサルの記憶を辿り、ピレンの事を思い出す。
「留守にしてすまないねピレン。 アバン皇子に呼ばれていたんだ。 直ぐに見舞金の事は処理しよう……正義の為に戦ってくれた団員達が安らかに眠れるように」
「……ぐすっ、流石カエサル団長です! よろしくお願いします!」
デランを本当に反逆者と信じている他の団員に見えるよう、わざとらしく涙を拭くピレンをサードは冷たい瞳で見ていた。
(こいつ~知ってるのに白々しいですね~。 この身体と同じくゴミさんですね~。 マリ陛下さんの許可が出たら処分しないといけませんね~)
ピレンや他の団員は知る由もない。
自分達が信頼する団長は既に死んでおり、眼の前に居る爽やかイケメンのカエサルが肉体を変形したサード等と。
アバンは朝食会から自室に戻ると同時に、待機させていた近衛師団団長カエサルに怒鳴る。
「アバン皇子ご安心を。 キャベル女皇帝陛下は少し乱心されただけ……直ぐにデランの事等忘れるでしょう。 それに、裏切り者の捜索を頼まれたのはあの小娘なのでしょう? でしたら、私とアバン皇子に辿り着ける筈がありませんよ」
爽やかイケメンスマイルで答えられ、アバンは押し黙る。
(確かに……昨日の時点では母上はマリを敵対する価値無しと言っておられた。 だからこそ、あの後にカエサルに誘われたデラン暗殺の話を受けたのだ)
アバンは深呼吸し、心を落ち着かせる。
「そうよな……すまない、取り乱した。 警戒する必要も無いのであれば……この後の計画も進めるんだろうな」
「はっ! 既に黒騎士団の中にはデランを討った私を疑っている者も居ります。 予定通り、そういった者から戦死や事故に見せかけ消します。 数が減れば……最終的に帝国に残る最強の戦力はアバン皇子に忠誠を誓う近衛師団のみとなるでしょう」
カエサルの微笑みに安堵し、アバンはようやく席に座った。
「うむ、そうなれば将来私が初めての男の皇帝の席に就いた暁にはカエサル団長は名誉も褒美も欲しいままとなるだろう」
「はっ! 必ずや勅命を達成してみせましょう!」
カエサルは一礼し、部屋を退出した。
1人となったアバンは先程安堵したのも束の間、直ぐに不安に襲われる。
「や、やややっぱりバレるかも。 どうしよう、どうしよう! もしかしたら、カエサルが私を裏切るかも。 やばいやばいやばい、このままカエサルを本当に信用できるのか? さっきは頼もしい事を言ってたが、嘘だったら私は終わりだぞ?」
アバンはどうしようも無い程に小心者だった。
この世界の正史では、恋人のエナと共に成長し立派な皇帝となる筈だった青年は残念な事にヘタレ皇子のままだった。
「そうだ、もしカエサルに裏切られた時の為に自分で何か考えとかなきゃ! あははは、そうだそれがいい!」
アバンはベッドに潜り、独り言を呟き続けた。
◆◇◆
部屋を退出したカエサルは廊下を進み、近衛師団の詰め所へと向かう。
その道中、新しくメイド長となったファーストとすれ違い様に紙を受け取る。
(んふふ~、なるほどなるほどそうですか~。 マリ陛下さんが特別改革大臣さんになったから、どんどん黒騎士団の兵士や家族を地下街に送れと。 犯人探しをする人が味方なら私が動き易くなりますもんね~。 でもでも、久し振りの外出ですからね~。 楽しく頑張りますか~)
カエサルに変装しているサードは、書かれた内容に内心で微笑む。
ヘタレ皇子からの雑な報告より、やはり信頼できる同僚やメリーからの報告の方が信用できるのだ。
詰め所の部屋に到着すると、直ぐに1人の近衛兵が駆け寄る。
「団長、ようやくお戻りで! 昨晩の戦闘で戦死した遺族への見舞金の処理と、朝から何度も怒鳴り込んでくる黒騎士団の奴等を何とかして下さい! そろそろ死人がでます!」
切羽詰まったこの近衛兵は近衛師団の副団長をしているピレンだ。
サードはカエサルの記憶を辿り、ピレンの事を思い出す。
「留守にしてすまないねピレン。 アバン皇子に呼ばれていたんだ。 直ぐに見舞金の事は処理しよう……正義の為に戦ってくれた団員達が安らかに眠れるように」
「……ぐすっ、流石カエサル団長です! よろしくお願いします!」
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(こいつ~知ってるのに白々しいですね~。 この身体と同じくゴミさんですね~。 マリ陛下さんの許可が出たら処分しないといけませんね~)
ピレンや他の団員は知る由もない。
自分達が信頼する団長は既に死んでおり、眼の前に居る爽やかイケメンのカエサルが肉体を変形したサード等と。
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