[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
87 / 231

第85話 メイド暗部部隊と暗躍する猛禽類

しおりを挟む
 「くぴくぴくぴ……ぷはぁ~、美味しいぃぃぃ」

 鬼殺しをワイングラスに並々注いだマリは一気に飲み干し、幸せそうに呟いた。

 「陛下……続けてもよろしいですか?」

 「うん、いいよ~」

 メリーは半目でマリを見ながら、残りの者に自己紹介を促す。

 「うふふ、良い飲みっぷりですね。 初めて……では無いですが、多分陛下はご存知無いと思いますので自己紹介しますね。 スィクススと申します。 序列6位の普通のメイドですよ~。エントン王国では給仕メイドとして陛下にお食事をいつも運んでたんですよー?」

 何とも可愛らしい少女メイドがお辞儀をした。
 容姿は茶髪で口元にホクロがあるぐらいで、他の一般メイドに混ざると判別は難しいだろう。

 現に、エントン王国ではマリの食事の給仕は全てスィクススが行っていたがマリの記憶には全く無かった。

 メリー曰く、メイドとして紛れ込む才能が飛び抜けておりこの帝国でも当たり前の様に初日から帝城の給仕メイドとして働いているそうだ。

 「次は私だね。 初めましてマリ女王陛下、さっきのスィクススは言ってなかったけど私もメイド暗部部隊の支援要員の1人、序列7位のセヴンスだよ。 主な任務は潜入かな? 今は近衛師団に潜入して陛下の監視に抜擢されてるぜ? 中々やるだろ?」

 少し男勝りな黒髪メイドだ。 体格もそれなりに筋肉質だが、それは戦闘では無くメイドとしての雑用等をこなした結果である。今は近衛師団に潜入している為に鎧を着ているが普段はメイド服を着ているそうだ。

 セヴンスも言っていたが、既にこの帝国に近衛師団の一員として溶け込んでおりキャベル女皇帝からの勅命であるマリの監視を任される程だ。

 メリー曰く、メイド暗部部隊で一番の情報収集力を持っておりエントン王国でも仕事の時は確実な情報を入手してくるそうだ。

 そして、残りの3人か一斉にお辞儀をし、顔を上げた3人をしっかり確認したマリは驚いた。

 「「「お久しぶりです、陛下。 ルーデウス殿下の女装見れなくて残念でしたね。 あ、すみません。 私達はエイトス、ナインス、テンスでございます。 ご存知の通り、エントン王国ではメリー隊長と共にお着替え等のお世話をさせて頂いておりました。 序列は最下位の8位と」9位と」10位でございます」

 3人が同時に喋るが、違和感なく混乱する。

 容姿が全然違う所を見るに、三姉妹とかでは無く連携が神業レベルなのだ。

 左から金髪メイドのエイトス、真ん中が銀髪メイドのナインス、右側に白髪メイドのテンスだ。

 マリが女王に就任する際に、無理矢理正装ドレスに着替えさせていたメイドの3人である。

 メリー曰く、支援要員達は潜入の達人であり序列の各位関係無く皆がその道のプロだと云う。

 しかし、マリはそんな説明はどうでも良かった。

 鬼殺しの瓶をテーブルに叩きつけ、3人の下に近寄る。

 「陛下、以上がメイド暗部ぶ「それどころじゃないよ!」

 メリーの言葉を遮り、マリは凄まじい剣幕で3人に掴みかかる。

 「ルーたんの女装って何?! 聞いてないんだけど!? 詳しく、今すぐ詳しく教えて! 推しからの供給を逃すとかオタクとして万死なの! 即死なのよ!! 教えて、早く早く教えろぉぉぉぉぉ!!」

 嫉妬の炎が燃え上り、推しの女装という最高のご褒美を逃したマリの雄叫びが部屋に木霊した。

 ◆◇◆

 マリの雄叫びが木霊している頃、キャベル女皇帝は執務室でマリから提出された羊皮紙を見ていた。

 「おい、ブラック宰相を呼べ」

 「はっ! 直ちに」

 兵士が執務室を退出し、直ぐにブラック宰相が猛禽類の様な目を細めながら入ってきた。

 「女皇帝陛下、お呼びですかな」

 「来たか……座れ」

 ブラックはキャベル女皇帝が非常に不機嫌なのを瞬時に悟った。座ったブラックの前に羊皮紙が置かれる。

 「これは……不正、腐敗、横領、職権乱用、殺人、誘拐、人身売買。 この羊皮紙に記されたリストは本当ですか?」

 「あぁ、お前の言う通りマリに裏切り者を探す様に命令した。 この帝国で何も力を持たぬ小娘に肩書きすら与えてな。 少し……演技が過ぎたかも知れぬが、マリは本当に一月も過ぎぬ内にこれだけの女貴族達処刑リストとやらを作りおった」

 「ふふ、やはり私の予想通りですか。 それで? デラン団長を嵌めた者の事は書かれて無いようですが?」

 ブラックは笑った。
 やはり、自分の判断は間違っていなかったと。

 「ふんっ……我を誰だと思っている。 初めから友である黒騎士団団長デランを嵌めた者が誰かも分かっておるし、カエサルが裏切り者であるアバンに肩入れしているのも知っている」

 「分かっていながらデラン団長の仇を討たないのは……御子息だからですかな?」

 「皆まで言うな。 友と息子……天秤に掛ければ息子が勝つのが親の情よ。 それより、ブラックの言う通りマリの情報収集力は異常だ。 何か隠しているのか……だが、監視からの報告では問題は無いのだ」

 キャベルは苛立ちながらテーブルを叩く。

 「ですが、このリストは有用でございます。 折角、亡国の女王が身を粉にして働いたのです。 使って差し上げましょう」

 「だが、これ程の人数を処刑すれば不義を働いていない女貴族達から反感を買うぞ?」

 「問題ございません。 この処刑リストに無慈悲にもサインしたのはキャベル女皇帝陛下ではございません。 マリ元女王陛下に全てを押し付け、忠義厚い女貴族達のガス抜きに利用しましょう」

 「だが……一応は面倒を見ると我が口にしたのだぞ?」

 「このリストを作る情報収集力を見るに、恐らく本当は裏切り者にも見当が付いているのでしょう。 正直に報告しない所を見るに、脅すか何か良からぬことを考えているのかも……」

 ブラックの言葉にキャベルは顔を顰めた。

 全てはゴルメディア帝国の繁栄の為。

 これまでも、多くの犠牲を払ってきたのだ。 長年の友を失った怒りよりも、息子アバンが帝国最強の黒騎士団団長デランを嵌めて死なせた事が広まる方が一大事なのだ。

 キャベルは深く考え、ため息を吐いた後。

 ブラックに命令した。

 「このリストの女貴族達を処刑せよ。 財産、土地全てを没収しろ。 それが終わったら……マリを、エントン フォル マリをゴルメディア帝国に対しての反逆者として広場での斬首を命じる」

 その命令にブラックは猛禽類の様な目を細めて微笑んだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~

八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。 しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。 それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。 幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。 それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。 そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。 婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。 彼女の計画、それは自らが代理母となること。 だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。 こうして始まったフローラの代理母としての生活。 しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。 さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。 ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。 ※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります ※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

処理中です...