[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
135 / 231

第133話 アマンダ達到着

しおりを挟む
 「へ、陛下! 良かったでずー! ご、ご無事で良かったでずよー!」

 アーサー城の前にようやく亡命する民達が到着した。

 ルーデウスと共に到着を待っていたマリに気付いたアマンダが泣きながら走り出す。 

 「アマンダ! 貴女も無事で良かったー! 待ってたよー!」

 マリはアマンダと抱き合い再開を喜ぶ。
 喜ぶマリを見てルーデウスも満面の笑みだ。

 「わ、私ちゃんと陛下の言いつけ通りドワーフの皆さんをお連れしました!」

 アマンダの後ろからはドワーフ達がぞろぞろと歩いて来ていた。 マリを見るだけで皆一様に嫌な顔をする。

 「ふん! なんだい、やっぱり真っ先に逃げてたんじゃないか。 これだから……」

 未だにマリを悪人だと信じ込んでいる褐色肌の美少女ドワーフのルーフが悪態をつきながらやって来た。

 「あはは……ルーフさんも無事で良かったよ」

 「はっ! 心にも無いことを言うんじゃないよ! 言っとくけど、アマンダを傷付けたら容赦しないからね!」

 2人の様子をルーデウスは黙って見つめる。
 事前にマリから事情は聞いているからだ。

 弟としては、大好きな姉を悪く言うルーフに対し思う事はあるが今は耐える。

 エントン王国の王都まで帰ればルーフ達が泣いて叫ぶとっておきのサプライズが待っているのだから。

 「もう、ルーフさん! ちゃ、ちゃんと私説明しましたよね?! 陛下は悪い方では無いです!」

 「……流石にアマンダの言葉でも信じれないね」

 ルーフはそっぽを向き、他のドワーフ達の下に戻って行った。
 アマンダは悲しそうな顔をしていたが、脱出させる為に悪役になる必要があったのだからとマリは割り切っている。
 
 「いいよ、アマンダ。 今は皆が無事にエントン王国側まで逃げれたのを喜ぶべきだよ。 ありがとう、アマンダ」

 マリに優しく撫でられたアマンダは嬉しそうに笑っていた。

 「皆さん、私はエントン王国の代理国王エントン フォル ルーデウスと申します。 事情は聞きました。 皆様を全員受け入れますので騎士達の案内に従って下さい」

 少し離れた所ではルーデウスが騎士達を従え、亡命する民達に説明をしている。

 本当に受け入れられるか半信半疑だった民達から喝采が上がった。

 「へ、陛下。 弟のルーデウス様も凄い方なのですね。 あのお年であんなに凛々しく話せるなんて」

 他の民達も見惚れる様にルーデウスを見つめていた。
 修羅場をくぐり、ルーデウスはまだ少年でありながら着ている立派な鎧に負けないほどの凛々しさを持ち合わせている。

 「そうなの! 私の推しであるルーたんは凄いんだから! だから……エントン王国を治めるのはルーたんがした方が良いんだよ」

 「……陛下?」

 マリは清々しい笑顔でルーデウスを褒めるが、どこか意味深なマリの発言にアマンダは違和感を感じる。

 「陛下、到着した皆さんの食事の準備が完了しました。 アーサー城の広場にて配膳する予定です」

 其処にメリーがやって来た為、マリの違和感をアマンダは追求する事が出来なかった。

 というか、それどころでは無くなったのだ。

 「メリーさんのご飯?! た、食べたいですーー!!」

 アマンダは跳ね跳び喜びの舞を踊る。

 この数日、美味しくない携行食のみの食事だったのだ。
 胃袋をメリーに掴まれているアマンダの脳内は美味しい食事を食べる事でいっぱいになった。

 「ふふ、アマンダ無事で何よりです。 沢山作りましたから、しっかり食べて下さいね」

 「ありがとうございますメリーさーーーん!!」

 涎を垂らしたアマンダが我1番に城の中へと走って行った。

 「あはは……皆の分残ると良いね」

 「流石に大丈夫だとは思うのですが……不安になるぐらいにアマンダは食べますからね」

 マリは急いで城に向かう民達の後ろ姿を見ながら笑った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

処理中です...