158 / 231
第156話 農業地帯視察とイサミ伯爵
しおりを挟む
立派な城壁を抜けると、拍子抜ける程の穏やかな景色が広がっていた。
「うわ~! メリーさん、見て! 凄い広い畑だー!」
「先の戦争でかなり荒らされたと聞きましたが、もう此処まで畑を整えたとは。 流石、イサミ伯爵ですね」
先の戦争の被害は見る影も無く、多くの農民達が畑に種を蒔いている。 幾人かは見覚えがあるので、イサミの下に就かせた女貴族達も農業に汗水たらしているようだ。
「良かった、おかしいのは城壁だけで他の家や館は普通だね」
「陛下が釘を刺して下さったのと、イサミ伯爵の手腕かと。 イサミ伯爵は現実主義者ですから」
「うん、凄く冷静で頼りになるんだよね。 あ、例の物持ってきてる?」
「勿論です。 どうぞ」
マリはメリーから受け取った羊皮紙を懐に入れ、イサミ伯爵の館に到着するのを待った。
◆◇◆
「陛下、到着致しました」
馬車が止まり、マリが降りると館の前にはイサミ伯爵と女貴族達が待っていた。
「はるばる王都よりお越しいただき、ありがとうございます陛下。 帰還、心よりお祝い申し上げます」
イサミ伯爵が頭を下げると、後ろの者達も一斉に頭を垂れる。
「ありがとう、イサミ伯爵。 他の皆もありがとう。 これからイサミ伯爵と今後の打ち合わせするから、仕事に戻っていいよ~」
「心遣い感謝します。 皆、仕事に戻っていいわよ」
イサミの案内で館に入る。
館の見た目は質素だが、調度品は豪華な所をみるとやはりドワーフ謹製なのだろう。
職人気質のドワーフ達が色々必死に我慢しながら作っているのを想像してマリは苦笑いした。
「此方へどうぞ。 陛下の心遣いで派遣して下さったドワーフの皆さんのおかげでようやく落ち着く事が出来ました。 本当にありがとうございます」
因みにドワーフ達の姿は無く、短時間で館に家々を建て更に城壁を建てた後は逃げるように王都に帰ったらしい。
「うん、いいよ~。 まぁ、城壁の事はびっくりしたけどね。 あはは……それに、この場は公式じゃないからもっと柔らかく話していいよ?」
「えっと……その、はい。 ありがとうございます。 城壁は私もびっくりしました。 アテスさんという、ドワーフのリーダーに森から猪等の害獣が出るから柵をお願いしたら……あっという間にあんな物が」
既にメル伯爵の所で目の当たりにしているマリとメリーは苦笑いだ。
復興計画以外の仕事を頼まれ、テンションが上がり過ぎたのだろう。
「あはは……まぁ、無いよりはいいんじゃないかな?」
「そ、そうですよ。 それより、陛下……打ち合わせの方を」
「そうだね。 イサミ伯爵、まずはコレとコレね。 リストに載ってる農作物と種を10台の荷馬車に積めて欲しい。 何時出来るかな?」
イサミはマリに渡された羊皮紙の束を素早く確認する。
「承りました。 2ヶ月は必要になりますね」
「うん、じゃあお願い。 それと、同盟国の貿易リストね。 珍しい野菜や果物があるから、メル伯爵から届いたら育ててみて」
メルは更に積まれた羊皮紙を嫌な顔一つせずに手早く分けて確認していく。
「分かりました。 セバス! コレとコレを開発担当者に渡して」
部屋で待機する執事が羊皮紙を受け取り、早々に退出する。
「うんうん、イサミ伯爵は本当に頼りになるね。 だから、下にいる人達も真面目なのかな」
「ふふ、お褒めの言葉ありがとうございます。 ですが、私だけの力では無理です。 皆の頑張りがあっての農業地帯ですから」
「そうだね。 あ、そうだ先の戦争での事で個人的にご褒美を贈りたいんだけど何がいい?」
マリの言葉にイサミは目を見開き硬直する。
「……イサミ伯爵?」
「す、すみません! まさか、陛下からそのような事を言って頂けるとは」
「あはは……ずっと会えてなかったからね。 怖いイメージが強かった?」
「恐れながら……そうですね。 それと、私個人では何も必要ございません。 何かを頂けるなら、農業地帯全体の為になる事でお願い致します」
イサミの返答にマリは悩む。
「ん~……じゃあ、働いてる女貴族達と農民達のお給金増やしとくね。 メリーさんお願い」
「畏まりました」
「ありがとうございます、陛下。 皆、喜ぶと思います」
「ん、じゃあ……ちょっと相談があるんだけど良いかな?」
打ち合わせも終わり、話が一段落した所でマリはイサミに選挙の事を説明した。
しかし、イサミ伯爵は渋い顔で答える。
「お話は分かりましたが、申し訳ありません陛下。 私はエントン王国の支配者は女王陛下がされるのがよろしいかと思います」
「それは……何でかな?」
「陛下のされた改革で皆の考え方は確かに変わりました。 先の戦争での活躍でルーデウス代理国王陛下の名声が高まったのは確かです。 しかし、男が国を統治するというのはリスクが高いかと思います。 今は良くても他国がどう考え行動を起こすか未知です」
「ふむふむ、メリーさん他国の皆から貰った承認状頂戴」
「はっ此方です」
メリーが出した羊皮紙を読み、イサミ伯爵は驚愕する。
「な、凄い。 ウッド王国、レオン王国、ウルフ王国、ピッグ共和国、亜人連合。 ゴルメディア帝国以外の主だった国がルーデウス代理国王が正式な国王となる事を承認したのですか!? これは……歴史が変わりますよ!」
「うんうん、そうだね。 因みに、メル伯爵からは協力を約束してもらった。 主要な貴族である、イサミ伯爵も協力してくれると嬉しいんだけどな~」
「で、ですが……国民が本当はどう思っているか分かりませんし」
マリは懐に入れていた羊皮紙を差し出す。
「協力してくれるなら……コレ、あげるけど?」
その羊皮紙を見たイサミは顔色を変え答えた。
「協力します! 絶対にします! ルーデウス代理国王陛下を正式な国王にしましょう! 絶対しましょう! ふわわわわーーーー! 可愛いーー!」
イサミ伯爵の協力を得ることに成功した。
「流石……ルーたんの女装姿の似顔絵。 効果抜群だったね」
「うわ~! メリーさん、見て! 凄い広い畑だー!」
「先の戦争でかなり荒らされたと聞きましたが、もう此処まで畑を整えたとは。 流石、イサミ伯爵ですね」
先の戦争の被害は見る影も無く、多くの農民達が畑に種を蒔いている。 幾人かは見覚えがあるので、イサミの下に就かせた女貴族達も農業に汗水たらしているようだ。
「良かった、おかしいのは城壁だけで他の家や館は普通だね」
「陛下が釘を刺して下さったのと、イサミ伯爵の手腕かと。 イサミ伯爵は現実主義者ですから」
「うん、凄く冷静で頼りになるんだよね。 あ、例の物持ってきてる?」
「勿論です。 どうぞ」
マリはメリーから受け取った羊皮紙を懐に入れ、イサミ伯爵の館に到着するのを待った。
◆◇◆
「陛下、到着致しました」
馬車が止まり、マリが降りると館の前にはイサミ伯爵と女貴族達が待っていた。
「はるばる王都よりお越しいただき、ありがとうございます陛下。 帰還、心よりお祝い申し上げます」
イサミ伯爵が頭を下げると、後ろの者達も一斉に頭を垂れる。
「ありがとう、イサミ伯爵。 他の皆もありがとう。 これからイサミ伯爵と今後の打ち合わせするから、仕事に戻っていいよ~」
「心遣い感謝します。 皆、仕事に戻っていいわよ」
イサミの案内で館に入る。
館の見た目は質素だが、調度品は豪華な所をみるとやはりドワーフ謹製なのだろう。
職人気質のドワーフ達が色々必死に我慢しながら作っているのを想像してマリは苦笑いした。
「此方へどうぞ。 陛下の心遣いで派遣して下さったドワーフの皆さんのおかげでようやく落ち着く事が出来ました。 本当にありがとうございます」
因みにドワーフ達の姿は無く、短時間で館に家々を建て更に城壁を建てた後は逃げるように王都に帰ったらしい。
「うん、いいよ~。 まぁ、城壁の事はびっくりしたけどね。 あはは……それに、この場は公式じゃないからもっと柔らかく話していいよ?」
「えっと……その、はい。 ありがとうございます。 城壁は私もびっくりしました。 アテスさんという、ドワーフのリーダーに森から猪等の害獣が出るから柵をお願いしたら……あっという間にあんな物が」
既にメル伯爵の所で目の当たりにしているマリとメリーは苦笑いだ。
復興計画以外の仕事を頼まれ、テンションが上がり過ぎたのだろう。
「あはは……まぁ、無いよりはいいんじゃないかな?」
「そ、そうですよ。 それより、陛下……打ち合わせの方を」
「そうだね。 イサミ伯爵、まずはコレとコレね。 リストに載ってる農作物と種を10台の荷馬車に積めて欲しい。 何時出来るかな?」
イサミはマリに渡された羊皮紙の束を素早く確認する。
「承りました。 2ヶ月は必要になりますね」
「うん、じゃあお願い。 それと、同盟国の貿易リストね。 珍しい野菜や果物があるから、メル伯爵から届いたら育ててみて」
メルは更に積まれた羊皮紙を嫌な顔一つせずに手早く分けて確認していく。
「分かりました。 セバス! コレとコレを開発担当者に渡して」
部屋で待機する執事が羊皮紙を受け取り、早々に退出する。
「うんうん、イサミ伯爵は本当に頼りになるね。 だから、下にいる人達も真面目なのかな」
「ふふ、お褒めの言葉ありがとうございます。 ですが、私だけの力では無理です。 皆の頑張りがあっての農業地帯ですから」
「そうだね。 あ、そうだ先の戦争での事で個人的にご褒美を贈りたいんだけど何がいい?」
マリの言葉にイサミは目を見開き硬直する。
「……イサミ伯爵?」
「す、すみません! まさか、陛下からそのような事を言って頂けるとは」
「あはは……ずっと会えてなかったからね。 怖いイメージが強かった?」
「恐れながら……そうですね。 それと、私個人では何も必要ございません。 何かを頂けるなら、農業地帯全体の為になる事でお願い致します」
イサミの返答にマリは悩む。
「ん~……じゃあ、働いてる女貴族達と農民達のお給金増やしとくね。 メリーさんお願い」
「畏まりました」
「ありがとうございます、陛下。 皆、喜ぶと思います」
「ん、じゃあ……ちょっと相談があるんだけど良いかな?」
打ち合わせも終わり、話が一段落した所でマリはイサミに選挙の事を説明した。
しかし、イサミ伯爵は渋い顔で答える。
「お話は分かりましたが、申し訳ありません陛下。 私はエントン王国の支配者は女王陛下がされるのがよろしいかと思います」
「それは……何でかな?」
「陛下のされた改革で皆の考え方は確かに変わりました。 先の戦争での活躍でルーデウス代理国王陛下の名声が高まったのは確かです。 しかし、男が国を統治するというのはリスクが高いかと思います。 今は良くても他国がどう考え行動を起こすか未知です」
「ふむふむ、メリーさん他国の皆から貰った承認状頂戴」
「はっ此方です」
メリーが出した羊皮紙を読み、イサミ伯爵は驚愕する。
「な、凄い。 ウッド王国、レオン王国、ウルフ王国、ピッグ共和国、亜人連合。 ゴルメディア帝国以外の主だった国がルーデウス代理国王が正式な国王となる事を承認したのですか!? これは……歴史が変わりますよ!」
「うんうん、そうだね。 因みに、メル伯爵からは協力を約束してもらった。 主要な貴族である、イサミ伯爵も協力してくれると嬉しいんだけどな~」
「で、ですが……国民が本当はどう思っているか分かりませんし」
マリは懐に入れていた羊皮紙を差し出す。
「協力してくれるなら……コレ、あげるけど?」
その羊皮紙を見たイサミは顔色を変え答えた。
「協力します! 絶対にします! ルーデウス代理国王陛下を正式な国王にしましょう! 絶対しましょう! ふわわわわーーーー! 可愛いーー!」
イサミ伯爵の協力を得ることに成功した。
「流石……ルーたんの女装姿の似顔絵。 効果抜群だったね」
17
あなたにおすすめの小説
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉
狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。
「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。
フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。
対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。
「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」
聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。
「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」
そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。
イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。
ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼
そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ!
イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。
しかし……。
「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」
そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる