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第204話 開戦
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マリ死亡の知らせが兵士達に伝わり、激震が走ってから2日。 遂に敵軍発見の伝令が司令室に到着した。
「偵察隊より報告! ゴルメディア帝国方面より、夥しい数の精霊人形が向かって来ております! その数、40万は超えているとの事!」
「ご苦労。 陛下、ルカ……時間の様です」
ルニア侯爵が玉座に座るルーデウスと大臣ルカに促す。
「はい……そのようですね。 ルカさん、準備はどうですか?」
「完璧とは言えませんが……できる限りの準備は出来ております。 それと、母上……コレを飲んでおいて下さい」
ルカは机に羊皮紙を広げ、ルニアに一本のポーションを渡した。 そのポーションは、現在この新大砦に残された唯一の回復薬だ。
「コレは……ダメだルカ受け取れない。 ただでさえ、亡命民達に殆どのポーションを使い果たしたのだ。 コレは必要になった者の為にとっておいてくれ」
ルニアは受け取ろうとせずに拒否する。 今も、ポーションが不足しているせいで治療が間に合わずに重傷の兵士達が死んでいるのだ。 その者達を差し置いて自身を優先させる等、兵士達を指揮するルニアには到底出来なかった。
「駄目です。 陛下……」
「ルニア侯爵殿……お願いです。 まだ貴女の力が必要になるのです。 貴女が多くの敵を屠れば、味方の士気は上がり勝機が見えます」
国王と大臣に説得され、ルニアは渋々ポーションを飲み干す。 ハイポーション程では無いが、エルフのルルと神童ルカで改良して作られたポーションはかなりの効果がある。
惜しまれるのは、決戦の為に準備してきたポーションを全て亡命民達に使用する事を余儀なくされた事だろう。
それほどに、精霊人形達による亡命民への攻撃は苛烈で残虐であった。
「ありがとうございます、陛下。 それと母上、傷の度合いから見ても……気休め程度に考えてください。 傷口は塞がりますが、本当に塞がるだけです」
身体から白い煙を吹くルニアは獰猛に笑う。
「ふふ、充分さ。 それでは陛下、先ずは我等、新重近衛団が先手を打ち奴等の勢いを止めて参ります」
「お願いします、ルニア侯爵殿。 私も皆を守れる様に全力を尽くします!」
ルニアはルーデウスと固い握手を交わした。
「ルカ。 お前ならやれる……母は信じてる。 お前の考えた策、全てをぶつけ数の差等ひっくり返してやれ!」
「はい、母上。 ですが、忘れないで下さいよ? 新重近衛団の皆さんは、策の終盤に大活躍していただく予定です。 それまでに敵を皆殺しにしない様に気を付けて下さい」
戯けるルカの頭をルニアは撫で回す。
「ふははは! 分かったよ。 息子の活躍を奪ってはいけないな。 さて、では赤い死神……参る!」
立て掛けた巨大な大剣を手にルニアは外へと向かった。
その後ろ姿を見送ったルカは直ぐに動き出す。
「メル伯爵とイサミ伯爵に伝令を! この羊皮紙を渡して下さい! スィクスス! 貴女達は絶対に前線に出ないで下さい、負傷した者達の回収と治療を衛生兵達とお願いします! あ、其処の君! ドワーフの皆さんに防衛兵器起動の指示を伝えて下さい。 それと、貴方は黒騎士団の団長デラン殿にこの羊皮紙をーー
ルカが慌ただしくも的確に指示を飛ばし始め、テーブルの上に置かれた地図に書き込みを始める。
「ふ~……姉上。 皆に伝えましたよ……皆、悲しみ怒っています。 ですが、誰も絶望していません! これは、貴女が残した物のおかげです。 どうか、どうか見ていて下さい! この命尽きようとも、妻達と民達が居る王国は必ず守りますから」
ルーデウスは懐から出したマリの似顔絵を取り出す。
コレはマリの訃報を聞いたエイトス達がルーデウスの拠り所になればと書いてくれた物だ。
羊皮紙には、笑顔で笑うマリの似顔絵が書いてあり、姉の頬を指先で撫でてからルーデウスは剣を手に取った。
「偵察隊より報告! ゴルメディア帝国方面より、夥しい数の精霊人形が向かって来ております! その数、40万は超えているとの事!」
「ご苦労。 陛下、ルカ……時間の様です」
ルニア侯爵が玉座に座るルーデウスと大臣ルカに促す。
「はい……そのようですね。 ルカさん、準備はどうですか?」
「完璧とは言えませんが……できる限りの準備は出来ております。 それと、母上……コレを飲んでおいて下さい」
ルカは机に羊皮紙を広げ、ルニアに一本のポーションを渡した。 そのポーションは、現在この新大砦に残された唯一の回復薬だ。
「コレは……ダメだルカ受け取れない。 ただでさえ、亡命民達に殆どのポーションを使い果たしたのだ。 コレは必要になった者の為にとっておいてくれ」
ルニアは受け取ろうとせずに拒否する。 今も、ポーションが不足しているせいで治療が間に合わずに重傷の兵士達が死んでいるのだ。 その者達を差し置いて自身を優先させる等、兵士達を指揮するルニアには到底出来なかった。
「駄目です。 陛下……」
「ルニア侯爵殿……お願いです。 まだ貴女の力が必要になるのです。 貴女が多くの敵を屠れば、味方の士気は上がり勝機が見えます」
国王と大臣に説得され、ルニアは渋々ポーションを飲み干す。 ハイポーション程では無いが、エルフのルルと神童ルカで改良して作られたポーションはかなりの効果がある。
惜しまれるのは、決戦の為に準備してきたポーションを全て亡命民達に使用する事を余儀なくされた事だろう。
それほどに、精霊人形達による亡命民への攻撃は苛烈で残虐であった。
「ありがとうございます、陛下。 それと母上、傷の度合いから見ても……気休め程度に考えてください。 傷口は塞がりますが、本当に塞がるだけです」
身体から白い煙を吹くルニアは獰猛に笑う。
「ふふ、充分さ。 それでは陛下、先ずは我等、新重近衛団が先手を打ち奴等の勢いを止めて参ります」
「お願いします、ルニア侯爵殿。 私も皆を守れる様に全力を尽くします!」
ルニアはルーデウスと固い握手を交わした。
「ルカ。 お前ならやれる……母は信じてる。 お前の考えた策、全てをぶつけ数の差等ひっくり返してやれ!」
「はい、母上。 ですが、忘れないで下さいよ? 新重近衛団の皆さんは、策の終盤に大活躍していただく予定です。 それまでに敵を皆殺しにしない様に気を付けて下さい」
戯けるルカの頭をルニアは撫で回す。
「ふははは! 分かったよ。 息子の活躍を奪ってはいけないな。 さて、では赤い死神……参る!」
立て掛けた巨大な大剣を手にルニアは外へと向かった。
その後ろ姿を見送ったルカは直ぐに動き出す。
「メル伯爵とイサミ伯爵に伝令を! この羊皮紙を渡して下さい! スィクスス! 貴女達は絶対に前線に出ないで下さい、負傷した者達の回収と治療を衛生兵達とお願いします! あ、其処の君! ドワーフの皆さんに防衛兵器起動の指示を伝えて下さい。 それと、貴方は黒騎士団の団長デラン殿にこの羊皮紙をーー
ルカが慌ただしくも的確に指示を飛ばし始め、テーブルの上に置かれた地図に書き込みを始める。
「ふ~……姉上。 皆に伝えましたよ……皆、悲しみ怒っています。 ですが、誰も絶望していません! これは、貴女が残した物のおかげです。 どうか、どうか見ていて下さい! この命尽きようとも、妻達と民達が居る王国は必ず守りますから」
ルーデウスは懐から出したマリの似顔絵を取り出す。
コレはマリの訃報を聞いたエイトス達がルーデウスの拠り所になればと書いてくれた物だ。
羊皮紙には、笑顔で笑うマリの似顔絵が書いてあり、姉の頬を指先で撫でてからルーデウスは剣を手に取った。
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