[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

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第206話 決死の防衛とマリ襲来

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 「第1部隊、前線を維持! 城壁を上がってきた精霊人形のみを倒せ! おい其処のお前! 大砦の正面以外に兵を集めさせるな!!」

 大砦の城壁では激しい攻防戦が繰り広げられていた。 

 第1部隊は黒騎士団団長デランが指揮を採っており、愛用の大斧片手に奮戦していた。

 「団長! そろそろヤバいですぜ、ルカ様の予想通り城壁に上がる奴等だけと戦ってるから死人は其処まで出てないっすけど皆の体力が尽き掛けてきてます!」

 副団長の報告にデランは舌打ちをし、司令室の屋上を見上げる。

 「ちっ、予定より消耗が激しいな。 だが、ラリー師匠に鍛えられた俺達以外に奴等の相手が出来るのか?」

 「そりゃ、厳しいでしょうが……その為に黒騎士達を他の部隊にも分けてるんでしょう。 さぁ、決断を!」

 「分かった……おい! 第1部隊撤退の旗を上げろ!」 

 黒騎士が旗を振ると、直ぐに司令室の屋上に第2部隊出陣の旗が上がった。

 「……すまん、どうか耐えてくれ!!」

 直ぐに現れた第2部隊と戦闘をデラン達は交代する。

 「はっ! 何や何や、まるでうちらが捨て石みたいな顔してはるなぁ」

 メル伯爵の率いる部隊が城壁の上へと躍り出て、そのまま精霊人形達と戦闘を開始する。

 「はっはぁー! 世界中から集まった傭兵共出番やでー!」

 第2部隊は人海戦術である。 登ってきた精霊人形に対して長い槍で一斉に刺し殺すのだ。 幾ら精霊人形が強くとも、登ってきた直後は無防備。 其処に強さは関係なく、ただ命令された事しか出来ない精霊人形の弱点とも云えるだろう。

 当然、この作戦を考えていたのは神童ルカである。

 「メル伯爵様、一箇所抜かれちまった! 味方が一気に殺られちまってます!」

 「アホンダラぁ! 直ぐに黒騎士を向かわせんかい! うちらだけじゃ絶対に勝てん!」

 しかし、この作戦にも弱点は有り。 止めきれないと、其処で殺戮が始まってしまうのだ。 その為の人海戦術なのだが、人間は精霊人形と違い疲れ恐怖する。

 ただの時間稼ぎにしか過ぎない作戦を分かっていながらやり続けるしかないのだ。

 ◆◇◆

 第2部隊が防衛を始めて数時間、限界が近づいてきた。

 「あかん……押さえ切れんくなってきたで」

 メル伯爵の新調した黄金の鎧は既にボロボロだ。 城壁の上にも倒れる味方が増え始めている。

 味方の数十倍は精霊人形達を倒している筈なのに、城壁の下には減ったとは思えない数の精霊人形達が城壁を登る為に無機質な顔で順番待ちをしているのが見える。

 「くそが……どんだけおんねん! 撤退や! 旗を上げぇ!」

 メル伯爵の合図で徹底の旗が上げられ、気付いたルカは直ぐに動いた。

 「第2部隊より撤退許可の合図を確認! イサミ伯爵達に交代の指示をお願いします!! セヴンス、衛生兵達に第2部隊の怪我人の回収と治療の準備をさせて下さい!」

 「了解です!」 「分かりました!!」

 部下達が動き、セヴンスも屋上から飛び降りる。 ルカは司令室から持ってきた地図に書き込みを続け、予定よりも消耗が早い事に歯ぎしりをする。

 「くそ……まだ来てないのにこの状況ですか。 このままだと、明日を迎える事無く押し切られる……どうしますかね。 ルルさんとは通信が取れない、他国からの援軍も無し……はは、絶体絶命ですね」

 ペンを走らせながらルカは笑う。

 「まぁ、それでも諦めるつもりは毛頭ありませんがね。 ルニア侯爵殿と新重近衛団に通達、出陣の準備をしておいて下さい! そろそろ来ますよ!」

 ルカの指示が届いたルニア達は医務室から飛び出し鎧を纏う。 そして、精霊人形達が攻めている南の門とは別の出入り口へと向かった。

 「ルカ様! ドワーフのルーフ殿より連絡! 自動兵器の大軍が南より接近中との事!」

 「やはり、来ましたか……」

 ◆◇◆

 ルーフの持つ双眼鏡には大量の自動兵器が列を成して向かって来ているのが見えた。 ルーフはルカに報告をした後も注意深く監視をしている。

 そして、距離が近くなり人影を確認したルーフは下唇を噛み締めた。

 「っ!? 嘘でしょ……。 ルカ様に通達! 自動兵器の先頭に人影有り! ……マリ様よ。 いえ、マリ様を殺し身体を乗っ取ったルミニスが来てる! 総員、迎撃準備!」

 自動兵器の上には頬まで裂けた口で笑うマリが立っていた。
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