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第208話 間もなく超巨大新幹線が参ります
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無数の黒い触手がルニアを襲うが、手に持つ大剣でそれらを難無く斬り飛ばす。
「『へ、へぇ! やるじゃなぁぁぁい! アンタ……本当に人間? 何でこんな規格外が居るのよぉぉぉ!』」
黒の触手を幾ら生み出し、ルニアに向けても一瞬で細切れにされる事にマリは焦り始める。
しかし、マリは知らない。
ルニアは身体を無理矢理動かす事で、既に傷口は開き凄まじい出血を鎧の中で流していた。
それを勘付かれない様に、ルニアは己の限界と戦っているのだ。
「どうした! 所詮は元が羽虫だからか? まるで小蠅の様な攻撃だな! ふははははは!」
余裕を見せながら、マリの後方に見える味方が大砦に攻撃をしている自動兵器を破壊し始めたのを確認し笑みを浮かべる。
(耐えれても後、数分といった所か。 ふっ……一矢は報いてやろう!)
ルニアは地面が抉れるほどに踏み込み、マリに向けて急接近した。 突然の事にマリは驚き、後ろに下がろうとしたが遅い。
「……しっ!! なっ!」 ルニアの大剣がマリを斬り裂く瞬間、突然マリの表情が醜い笑いから何時もの笑顔に変わった。
「ねぇ……私を斬るの?」
頭では分かっていた。 もう、仕えていた主はこの世に居ないのだと。 マリ様は死んだのだと言い聞かせていたが、ルニアは躊躇ってしまった。
ほんの一瞬、その一瞬が命取りとなる。 マリの顔は頬まで裂け醜い笑顔に戻り、黒い触手がルニアの胸を貫いた。 そして、マリは別の黒い触手で鎧を剥ぎ取り血だらけのルニアを見て笑う。
「『あははははは! 騙されたぁ~! どうせ斬られても死なないんだけど、斬られるのは嫌だからさぁ~! あれぇ? どうしたのぉ? 私が殺す前から死に掛けじゃなぁぁあい』」
「がはぁっ……! ふははは……赤い死神もここまでか」
力無く触手に宙吊りにされ、そんなルニアを見たマリは良い事を思い付いたとはしゃぎ始めた。
「『あはぁ~……そうだ、お前の死体をあの大砦に投げ込んで上げるぅ。 そしたら、中に閉じ籠もってる兵士達が絶望するでしょぉぉぉ? あはははは!』」
マリはルニアを投げる為に、触手をしならせ自身から離した。 すると、ルニアが笑い始める。
「ふははは! 予想より……早かったじゃないか」
「『はぁ? 何よ、何でガガガガガガガガッ! この死に損なガガガガガガガガガガッ! さっさと死ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ! さっきからうっさいわね! 一体何よこの音……は?』」
けたたましい音を立てながら超巨大新幹線が高速で大砦の周りを囲みそのままマリを吹き飛ばした。
「『にぎゃぁぁぁぁ?! 何よソレふざけんじゃないわよおぉぉぉぉぉぉ!』」
◆◇◆
マリが吹き飛ばされる少し前。 エントン王国の側を超巨大新幹線が高速で移動していた。
「アテス、そろそろエントン王国じゃ。 速度を緩めよ」
「はいは~い、分かってるよ~。 メリーさ~ん? 魔族達の準備はどうだい?」
アテスは速度を減速させながら、後ろに立つメリーに問う。
「獣人族の酔冷ましの実を分けて下さったおかげで、全員絶好調ですよ! 本当に感謝します、ラガン殿」
「大丈夫だ。 これから、最後の戦いだからな」
「ふふ、そうだね。 今度こそ最後にしないとね」
ヨハネが減速した景色を眺めながら呟く。
「アテス殿、向こうに王都が見えました。 進路はあってます! このまま進んで下さい!」
「了解だよ~!」
比較的に穏やかな速度で進んでいると、ルルの通信機が鳴り始めた。 ルルは慌てて通信機を取り、恋仲のルカへと呼び掛ける。
「む?! ルカからじゃ! 減速したおかげで通信が届いたのじゃな……どれ、もしもし? 儂じゃ、ルルじゃ! 聞こえるか、ルカよ! 無事か!」
『ザザザ……ザザ、聞こえ、ザザザ、母上が、既に父ザザザ、ルルさザザザ……ブツッ!』
殆ど聴き取れないまま通信は切れてしまい、ルルは真っ青になる。
「アテス! アテス!! 速度を上げておくれ、頼むのじゃ! 早く!!」
ルルに急かされたアテスは、もう一度速度を上げる。
「はいよー! ヨハネ兄! 風の精霊に頼んで先の安全を確認出来ないか!?」
「短時間しか無理だよ? それでも良いならいけるよ!」
ヨハネが精霊魔法を発動し、風の精霊に進路上の生き物を確認させる。
「大丈夫! 人間は居ない!」
「了解、全速力でいくよーーー!」
景色が更に加速し、激しい振動音が超巨大新幹線から聞こえ始めた。
「頼むのじゃ、頼むのじゃ! ルカ! 義母上様、義父上様、どうか無事でいてくれなのじゃー!」
そして、大砦に着いた時。
少し減速し、見えた先の光景は乗っ取られたマリが黒い触手で義母である血だらけのルニアを投げようと振りかぶっている所だった。
「アテス! このまま大砦を囲んで、そのままマリを乗っ取ってるルミニスを轢いてしまうのじゃーーー!!」
「はっ! いいねぇ! りょうかーーいっ!」
「『へ、へぇ! やるじゃなぁぁぁい! アンタ……本当に人間? 何でこんな規格外が居るのよぉぉぉ!』」
黒の触手を幾ら生み出し、ルニアに向けても一瞬で細切れにされる事にマリは焦り始める。
しかし、マリは知らない。
ルニアは身体を無理矢理動かす事で、既に傷口は開き凄まじい出血を鎧の中で流していた。
それを勘付かれない様に、ルニアは己の限界と戦っているのだ。
「どうした! 所詮は元が羽虫だからか? まるで小蠅の様な攻撃だな! ふははははは!」
余裕を見せながら、マリの後方に見える味方が大砦に攻撃をしている自動兵器を破壊し始めたのを確認し笑みを浮かべる。
(耐えれても後、数分といった所か。 ふっ……一矢は報いてやろう!)
ルニアは地面が抉れるほどに踏み込み、マリに向けて急接近した。 突然の事にマリは驚き、後ろに下がろうとしたが遅い。
「……しっ!! なっ!」 ルニアの大剣がマリを斬り裂く瞬間、突然マリの表情が醜い笑いから何時もの笑顔に変わった。
「ねぇ……私を斬るの?」
頭では分かっていた。 もう、仕えていた主はこの世に居ないのだと。 マリ様は死んだのだと言い聞かせていたが、ルニアは躊躇ってしまった。
ほんの一瞬、その一瞬が命取りとなる。 マリの顔は頬まで裂け醜い笑顔に戻り、黒い触手がルニアの胸を貫いた。 そして、マリは別の黒い触手で鎧を剥ぎ取り血だらけのルニアを見て笑う。
「『あははははは! 騙されたぁ~! どうせ斬られても死なないんだけど、斬られるのは嫌だからさぁ~! あれぇ? どうしたのぉ? 私が殺す前から死に掛けじゃなぁぁあい』」
「がはぁっ……! ふははは……赤い死神もここまでか」
力無く触手に宙吊りにされ、そんなルニアを見たマリは良い事を思い付いたとはしゃぎ始めた。
「『あはぁ~……そうだ、お前の死体をあの大砦に投げ込んで上げるぅ。 そしたら、中に閉じ籠もってる兵士達が絶望するでしょぉぉぉ? あはははは!』」
マリはルニアを投げる為に、触手をしならせ自身から離した。 すると、ルニアが笑い始める。
「ふははは! 予想より……早かったじゃないか」
「『はぁ? 何よ、何でガガガガガガガガッ! この死に損なガガガガガガガガガガッ! さっさと死ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ! さっきからうっさいわね! 一体何よこの音……は?』」
けたたましい音を立てながら超巨大新幹線が高速で大砦の周りを囲みそのままマリを吹き飛ばした。
「『にぎゃぁぁぁぁ?! 何よソレふざけんじゃないわよおぉぉぉぉぉぉ!』」
◆◇◆
マリが吹き飛ばされる少し前。 エントン王国の側を超巨大新幹線が高速で移動していた。
「アテス、そろそろエントン王国じゃ。 速度を緩めよ」
「はいは~い、分かってるよ~。 メリーさ~ん? 魔族達の準備はどうだい?」
アテスは速度を減速させながら、後ろに立つメリーに問う。
「獣人族の酔冷ましの実を分けて下さったおかげで、全員絶好調ですよ! 本当に感謝します、ラガン殿」
「大丈夫だ。 これから、最後の戦いだからな」
「ふふ、そうだね。 今度こそ最後にしないとね」
ヨハネが減速した景色を眺めながら呟く。
「アテス殿、向こうに王都が見えました。 進路はあってます! このまま進んで下さい!」
「了解だよ~!」
比較的に穏やかな速度で進んでいると、ルルの通信機が鳴り始めた。 ルルは慌てて通信機を取り、恋仲のルカへと呼び掛ける。
「む?! ルカからじゃ! 減速したおかげで通信が届いたのじゃな……どれ、もしもし? 儂じゃ、ルルじゃ! 聞こえるか、ルカよ! 無事か!」
『ザザザ……ザザ、聞こえ、ザザザ、母上が、既に父ザザザ、ルルさザザザ……ブツッ!』
殆ど聴き取れないまま通信は切れてしまい、ルルは真っ青になる。
「アテス! アテス!! 速度を上げておくれ、頼むのじゃ! 早く!!」
ルルに急かされたアテスは、もう一度速度を上げる。
「はいよー! ヨハネ兄! 風の精霊に頼んで先の安全を確認出来ないか!?」
「短時間しか無理だよ? それでも良いならいけるよ!」
ヨハネが精霊魔法を発動し、風の精霊に進路上の生き物を確認させる。
「大丈夫! 人間は居ない!」
「了解、全速力でいくよーーー!」
景色が更に加速し、激しい振動音が超巨大新幹線から聞こえ始めた。
「頼むのじゃ、頼むのじゃ! ルカ! 義母上様、義父上様、どうか無事でいてくれなのじゃー!」
そして、大砦に着いた時。
少し減速し、見えた先の光景は乗っ取られたマリが黒い触手で義母である血だらけのルニアを投げようと振りかぶっている所だった。
「アテス! このまま大砦を囲んで、そのままマリを乗っ取ってるルミニスを轢いてしまうのじゃーーー!!」
「はっ! いいねぇ! りょうかーーいっ!」
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