[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
212 / 231

第210話 向かう先は帝国

しおりを挟む
 超巨大新幹線がまだ停止する前、車両の中では魔王ダイが魔族達に檄を飛ばしていた。

 「聞け、我が同胞達よ。 我等はこれまで奪い、殺し、数多の血を流してきた。 全ては、我等が祖先の過ちが発端である。 しかし、今やその罪は赦された! もう我等は自由だ! コレは自由を手にする為に、新たな仲間達を守る為の戦いだ! 全ての力を出せ! 敵を滅ぼせ! 我等の為に心を砕いた人間の少女を殺めた敵を絶対に許すな! 行くぞぉぉぉぉぉ!!」

 「「「「「「おぉぉぉぉぉうっ!!」」」」」」

 車両が停止したと同時に魔族達は外へと飛び出し、精霊人形へと襲い掛かる。

 「各四天王は部隊を引き連れ、砦の味方へと合流を目指せ! 上級魔族達は好きに暴れろ! レーヨン、我は手筈通りヨハネ殿達と共に帝国へと向かう。 後は頼んだぞ」

 「はっ! お任せ下さいませ、陛下。 ですが……1人だけ共の許しを願います」

 「構わん。 連れて来い!」

 大臣レーヨンに連れられて来たのは、魔王城にてマリとヨハネに食って掛かったサードの恋人エブラノであった。

 「陛下……お願いします! ユアンを……ユアンの身体を取り戻しに行かせて下さい!」

 「生きて帰れる保証は無いぞ?」

 「構いません! 彼女が安らかに眠れる為なら、私の命など要りませぬ!」

 「良い覚悟だ。 付いて来い!」

 「はい!!」

 ダイとエブラノは先頭車へと向かった。

 ◆◇◆

 「来たね~。 さぁ、行こうか」

 先頭車には、ヨハネ、ジャック、メリー、ファースト、セカンド、フォース、フィフスが待っていた。

 「すまん、待たせた」

 ダイの謝罪に、ヨハネは笑顔で応える。

 「キサラギ、本当に運転出来るのですか?」

 「ふふ、任せてよ。 その為に、アテスから聞いてるんだから」

 不安そうなメリー達にヨハネは笑う。

 「ほいっと! ヨハネ兄、車両は切り離したよ!」

 すると、先頭車両以外を切り離したアテスが顔を出した。

 「アテス殿、皆をお願いします」

 「あはは、分かってるよジャック殿。 それより、皆しっかりと捕まっててね。 ヨハネ兄の運転はきっと凄いよ~? なんたって、精霊魔法の達人だから。 まぁ……私なら絶対に乗らないかな~……じゃあね~!」

 最後に不吉な事を言ったアテスは車両から飛び降りた。

 「え~~~?! ねぇ、ジャック平気かしら」

 「メリー、座って手すりを持つんだ。 早く!!」

 ジャックに言われ、全員が何かに捕まったと同時に凄まじい速度で超巨大新幹線の先頭車両が走り出した。

 「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」

 魔王ダイとジャック以外は泣き叫び、運転しているヨハネ真剣な瞳で前を見ていた。

 「うん、早すぎて全然見えないや」

 「キサラギーーーー?!」

 あり得ない速度で向かう先は、ゴルメディア帝国である。

 ◆◇◆

 「『いったーーーい! くそ、ここ何処よ!』」

 跳ね飛ばされたマリは、廃墟となった大砦近くまで飛ばされていた。 それほどまで遠くに飛ばされたのにも関わらず、マリはまだ生きていた。 

 黒い靄が身体を包み、折れたり曲がったり千切れた所を直ぐ様治療する。

 すると、視線の先から爆走しながら向かって来る何かが見えた。

 「『よくもやったわねぇぇぇ! あれ? さっき私を跳ね飛ばした箱じゃなぁぁい? あははは、絶対に許さないんだからぁぁぁ!』」

 マリは進路上に巨大な黒い壁を出現させ、待ち構える。

 「『あははは! これなら、絶対に止めれるわぁ~! 止まったが最後、乗ってる奴を殺してやるぅぅぅ!』」

 そして、突如として出現した黒い壁に超巨大新幹線は激突し横転しながら大砦へと突っ込んだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

処理中です...