見逃してください、邪神様 落ちこぼれ聖女は推しの最凶邪神に溺愛される

イシクロ

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番外編

番外編 神様ゲーム 1

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ニナから差し出された、木でできたクジを前にリベリオは首を傾げた。

「ニナ様、これなんです?」
「神様ゲームです!」
 作った本人であるニナは、どやっと胸を張った。

 ここ数日しとしと雨が降り続いて、何もすることがない神殿での午後に、精霊たちを引き連れて遊びましょうとニナが誘ってきたのはつい先程のこと。

 クジはごく普通の細い木の棒だ。
 片方に1から6の数字、1本だけ羽のマークを書いてそれを丸筒の中に入れているだけのシンプルなものである。

「棒をみんなで一斉に引いて、羽のマークを引いたヒトの命令は絶対、な遊びです」
「へぇ」
 ーーキュウ。

 ニナは羽マークのついた棒をリベリオとダンゴムシの精霊の目の前にかざした。

「……王様ゲーム……!」
 正式名称をペコラが呟く。
 自分は前世で遊んだことはないが、漫画や噂ではよく聞くお約束アイテムである。

 

「さすがに王様が身近にいるので、不敬罪と難癖つけられても面倒なのでやめておこうかと」
「神様もいるけど……」
 ちらりとペコラは振りあおいで邪神を見た。
 ちなみに今、リベリオの膝の上にいる。ガシャガシャと丸筒をニナが揺すった。

「ということで早速やってみましょう」

 場にいるのはペコラとニナ、リベリオ、ダンゴムシ、そしてニナの精霊たちのうち、土、水、火の3人だ。
 ジャンケンでゲーム参加者を決めたという、3人の見目麗しい精霊を惚れ惚れ見ていると、リベリオが後ろからペコラの目を手で覆った。
 そっと耳元で低い声でささやかれる。

「精霊の浮気はダメですよ」
「み、見てるだけです!」
 単純な目の保養である。
 彼らが参加すると聞くやいなやリベリオに膝に乗せられたペコラであった。

「でも遊ぶって、これで?」
「もちろん」
 ニナがにっこりと笑う。

 ――キュッキュ!
 ダンゴムシもやる気らしく、いつもよりも小さく指先サイズになって腕まくりーー服は着てないがーーする仕草をした。

「よしじゃあいきますよ、神様だーれだ!」

 パッと6人の手が棒に伸ばされる。ダンゴムシもぴょんと飛び上がって棒の頂上にしがみついた。

「……」

 場にいる全員が、なんとも言えない表情で顔を見合わせた。
 リベリオと3精霊が1本の棒を掴んでいるためだ。

 ――キュ?
 その中でダンゴムシだけが違う棒の上にしがみついて、小首を傾げた。

「……もしかして4人とも、棒に何が書いてあるかわかったりします?」
 ペコラが聞けば、人外たちがそっと視線を逸らした。

「それは知らな……っこほん、始まる前に言ってくださいよ!」
「いやだって腐っても精霊だし」
「なぁ」
「神様ですし」
「くっ、能力チートたちめ!」

 ーーキュウウ……

「ダンゴムシくんはズルしなかったんだね」
「良い子です」
 思わずペコラとニナで、汚いものを見るような視線を同族に向けるダンゴムシを撫でた。
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