《瞑想小説 狩人》

同種喰い

断末魔

…
…

む
く
り

…
…


かの乙女
何とか
何とか
起き上がり
ゆらり
ふらりと千鳥足

かちこちと
時計の音が
響く部屋

纏うものなく
頼るものなく
立てどその身の
預けるものなし

心なくした
その身体
先ずは腰骨
ぐるりと回す

おだやか、なめらか
その動き
２時から６時を
彷徨う腰つき

腰が回れば
背骨が揺れる
つられて回る
首の根までも

胸鎖を繋ぐ
肉の緩みは
き・すい・けつの
流れ道

かの娘
誰や知らずと
くびすじ回し
がきり
がきりと
音が鳴る

音が鳴る度
花、美しく
流れすみやか
おだやかに

裸身を晒し
残ったものは
足の付け根に
最後の着衣

氣をつけ
氣をつけ
氣の流れ

山並み深く
森深く
大きな獣と
澄んだ水

汲んで戻れば
村は潤い
音にたそがれ
気持ちが緩む

そんな景色に
見惚れる乙女
水面に蓮が
咲いている

小石が流れる
水の底
その出どころや
誰も知らずと

たおやか
しとやか
言葉とともに
乙女は揺れる
色はムラサキ

時折、鳴るは
不遇の骨ぼね
折衷案とは
如何なるものぞや

流れ流れる
澄んだ水面に
愛しいあの人
現れるなら

結ぶ小指は
自発動
こいの行方は
氣とともに

：：：：：：：：：

ガチャリと不意に
開いた扉に
驚く様子も
無い心

心とどめぬ
そのカラダ
誰とも聞かず
動きをやめず

ソファに両手を
ついたのち
背骨を弓に
逆側に

がきりがきりと
背骨が鳴れば
内なる獣が
眼を覚ます

本能
官能
運動神経

自発の動きは
やまずして
その顔貌は
獣の如く

発する言葉は
人語に非ず
動きは機敏で
瞳はきらり

うつろ
うつろと
彼に寄りつき
腰紐ほどく
指先は

乙女の仕草
其れにそぐわず
恥じらうものも
ない様子

５本の指は
左右で１０本
それら全てを
器用に使い

先ずはくびすじ
そこから肩へ
一度、戻って
鎖骨のあたり

うなじに手を添え
妖しく見つめ
両手を彼の
首の後ろへ

交わす唇
唾液の交換
吐息は深く
月は恥じらう

糸引くままに
離れて触れて
ごくりと何かを
飲み込む２人

戯れ支度を
もっと
もっとと

腹から胸まで
舌を這わせて
指先、彼の
オトコを愛でる

暫時そのまま
暫時そのまま
焦らす仕草も
オトナの嗜み

：：：：：：：：：

彼の一物
口に咥えて
手を添え
素早く
動かす彼女

舌を大きく
口を大きく
なるべく速く
そして優しく

ひざまずき
上目使いで
甘えた目つき
ぺろ
ぺろ
ぺろりと
舌先、這えば

オトコは
大きく
なるものぞ

大きさ
角度に
満足すれば
ベッドに戻って
一呼吸

小指たたんで
唇、添えて
おいで
おいでと
誘う君

遊郭オンナ
よろしく佇み
見えぬ番傘
かねめの匂ひ

既に
乳首は
勃っており

同じく
其の股、濡れている

雨水垂れる
ぽた
ぽた
ぽたと

花びら揺れる
はら
はら
はらり

濡れた舌先
唇、濡らす
梅雨の長雨
しっとりと

足先舐める
好好爺
君の吐息が
色を付ければ
灯る明かりが
一つ消えゆく

ここは春の間
淫靡なお部屋
酸素は薄い
山の上より

彼の唇
突起を噛めば
嗚呼、と、吐息は
喘ぎに変わる

噂ひそやか
ひそ
ひそ
ひそと

身体しなやか
もぞ
もぞ
もぞと

あでやかな
秘密の儀式は
蜜の味
彼の肉塊
刺さるのは

うしろ、まえ、
まえ、うしろ、
そのどちらもと
求める爺や

身体はゆれる
ずん
ずん
ずんと

吐息が漏れる
葉ぁ
葉ぁ
葉ぁと

漏れる喘ぎが
気密を保てず
互いの火照りを
昂ぶらせ

蕾の芯まで
到着すれば
裂け目
割れ目に
肉のケダモノ

後ろの蕾は
指の餌食と

誰が言ったか
食物連鎖
それは繋がり
自然の成り行き

オトコとオンナが
共にいるのだ
時に獣を
放つも良かろう

引き絞られた
細い腰骨
さらに捻られ
断末魔

もいちど、せいと
爺やは言うが
乙女の心
ここには在らず

夕暮れ過ぎた
春の間に
祈り女の喘ぎ
木霊する

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