《瞑想小説 狩人》

交差

奴隷市場…東の蝙蝠

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おうどいろ
どれいのわんぴ
そのあんぴ
うずまくよくぼう
そのないようぶつ

おいどいろ
まえのつぼみを
ほばくした
もがたさまさま
めざましどけい

おうどいろ
といきなないろ
おうどいろ
かなしみふかい
どれいのいろづき

おつきさま
そのめをわらふ
かかか・の・か
げっしょくをまつ
あくまの,たいまつ

こうもりが
とうざいなんぼく
いちわづつ
氷をくわえて
だまっておった

飛び立つ蝙蝠(こうもり)
其の飛翔価値(ひしょうかち)
其の希少価値(きしょうかち)
其の非情砂嘴(ひじょうかち)
嘴に似た形(かたち)
爪,秘め事の轍(わだち)

こうもりは
氷をくわへて
とびたった
よんひきいるな
よんひきいるな

こうもりは
香車を落とすと
叫ぶのだ

こうもりは
角道ふさぐと
いきまいて
おまつり騒ぎ
おまつり騒ぎさ

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東,蝙蝠,何を言う
東,蝙蝠,何を言う
東,蝙蝠,飛び立てば
東,微塵の塵も無し

『嗚呼…俺には知識欲が在ってな
　誰よりも深い深い知識欲が在ってな
　未知を既知とする事にしか興味が持てぬ
　既知のものは習慣に落とし込むだけ
　継続する事で獲得出来るもの
　離脱する事で獲得出来るもの
　其の両面が俺を支配している』

『嗚呼…タイムラインはとても長い
　永久(とこしえ)という導水路が在ってな
　一瞬,一瞬が其の連続の一部といふ訳
　一瞬,一瞬が其の連続の一部といふ訳
　瞬間,瞬間の連続性が此の世界を規定している』

東,蝙蝠,飛び立てば
東,蝙蝠,飛び立てば
陽炎,揺らぐ,冬の陣
御仁に手渡す,氷の塊(かたまり)
爪切り一緒に,爪切り一緒に

ぱちりぱちりと,おとがなる
むいみで,むげな,おとがなる
それはかなしみ,おうどいろ
奴隷市場の,おうどいろ

東,空白,其の暇(いとま)
誰が埋めるか,誰が埋めるか
東,空白,其の暇(いとま)
誰と埋めるか,誰と埋めるか

めざましどけいが,ないている
かなしいものだと,ないている
うしろつぼみに,氷が挿さる
めざましどけいが,時間を告げる

乗らない気分を,無理に上げるな
乗らないリズム,現実踏破
断捨離趣味も,ほどほどまでに
万事は陰陽(ばらんす),太極図の中

かちこち／かちこち／おおどけい
かちこち／かちこち／おおどけい

東,蝙蝠,何を言う
東,蝙蝠,何を言う
東,蝙蝠,飛び立てば
東,微塵の塵(ちり)も無し

『此の氷に呪縛を掛けておいたのだ
　此の氷に陰の言葉を掛けておいたのだ
　此れを娘に這わせ楽しむが良い
　絶対零度に近い温度の輻射と対流
　おっと,忘れるな,蝋燭責めは続けろ
　其の対比で絵図は完成を迎える』

『只,没頭し其処に在る価値を知れ
　只,没頭し其処に在る価値を識れ
　只,陥没する海の波間に揺蕩う様に
　只,ラダーの突端が横滑りせぬ様に
　只,脳内コンパスの示すとおりに
　…私は東。東の蝙蝠。』

むすめのつぼみにあてがへば
じゅーじゅー／なにかのやけるおと
ひだりのとっきにとりつけば
かなしみ,おんど,きゅうてんちょっか

一切皆苦／諸行無常／阿鼻叫喚
迷路の吐息が朱色に染まり
剥ぎ取る暇,女体のイロハ
嬲る温度は[マイナス摂氏]
東,蝙蝠,陰の韻／東,蝙蝠,知恵の印

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