《瞑想小説 狩人》

瞑想

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交差

羞恥心の庭

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消える気配の中に確かに彼が居る。
連続的に襲う快楽の嵐。
同感覚を轍に並べて見分する頃合ひ。

『苦』それはある。浮遊し遊ぶ肉体感覚の中に確かにそれはある。『苦』は言う。自分を無視することはやめたまへと。『苦』は『不安』と蜜月関係にあり互いに連絡をとりあっている。同回路は片側一車線道路よりも狭いが故に走行速度は速く量子力学のとおり阿吽(あうん)の呼吸を顕現する也。

『苦』が彼方(かなた)を指させば『不安』も彼方(かなた)の空気を瞬間に感じるものであるし…同様に『苦』が反転しようと回廊を必死に藻掻く場合にのみ『不安』はホテルの支配者階級が住む部屋にある非常ベルを停止することに肯定的になる。

狭いことと速いことは同義である。集中力を担保物件とすれば脳内様式はθ波を優位に示す。それはミハイ教授の示す「幸せと直結する」回路であるというが如何に。

『一級河川で約1ヶ月前に起こった事件の解決策/索の使用方法を知らぬ輩め/大きな顔をするでないぞよ』脳内のとある領域が独り言を言う。

同様に彼女の脳内回路を旅行しやう。綺麗な庭に羞恥心をたっぷり蓄えた綺麗な花が咲いている。
花の名前は無い。花の名前は無い。花の名前は無い。

人見知りで土壌養分に『恥』を蓄えているのがよくわかるだろう。ならば、それに相応しい花名を個人ゝで付すのが嗜みというものさね。

『……』娘は正気を保てない
『……』妖精村の第3子/大事な大事な
『……』妖精村の秘蔵っ子は攫われ/組み敷かれ
『……』奴隷市場の蝙蝠に爪を託されて久しい

『……』鉄部屋に誰でも構わないから
『……』自称絵画師を呼びたいが如何か

『……』目を醒ましたまへよ/必要最小限度の
『……』生きる為のアドバイスをくれてやる。

脳内にオーバードライブとファズがかかる
煙突から『もく/もく/もく』三度
深い誰かの息継ぎの様な煙があがる

先程と同様の処置を施すならばその煙の色は自分で決定することのできる形而上の存在であり/旅費を必要としない旅であり/骸骨3体との甘露味の接吻の往来でもある。

『朱/橙/黄/緑/青/紺/紫…その中から3色を選びパレットで混合作業をしたまへよ。自分だけの色が出来たと思った瞬間に手を挙げるんだ。いいね』煙を見つめる未来先生が右手を優しく握ってそう言った。

『……?』蝙蝠は娘を組み敷いたまま意識の中へ
『……?』より深い藍色の中へ/触手を延ばす
『……?』熱砂の夜に潜む陰を旅するものと共に
『……?』蝙蝠は時間の概念を崩し/笑った
『……?』熱射航路を便宜上の居住区とする輩
『……?』奴隷市場の王の親族にして
『……?』蝿の王、バルゼバブの親友と手を組む
『……?』マネーシュミレーターの開発者集団
骸骨旅団/無骨な骨どもが脳内で暴れ出す

『ようこそ』
市場の王は深い瞑想状態の中で彼らと出会い握手を交わす。其の所作は落ち着いており泰然自若。いかにも彼らしい覚悟を宿した所作だった。

『成程』
隣席の親友は物珍しそうにしている。奴隷市場の王と同じく呼吸の様相が乱れないのは流石といえる。

『…嗚、呼…』
蝙蝠に四肢を捕縛された娘だけが気配に震えていた。同娘の羞恥心の庭には赤貝の様な花が咲いている。

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