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第2話
しおりを挟む「お嬢様、お茶とお菓子をこちらに置いておきますね」
「ええ、ありがとう」
そう言うと、侍女は部屋から出ていく。
私はそれを確認すると、持っていた本を開いて、一人読書を始めた。
読書が特別好きだというわけでもないが、読書をしている間は、侍女を下げて一人の時間を過ごせるから、セシリアはこの時間を好んでいた。
本に熱中し過ぎるわけでもなく、淡々と読み進めていく。
そして、ページをめくったその時だった――
突然ピカ!!と部屋の中が明るくなった事に驚いて、本から顔を上げた――
目の前には見知らぬ少年がいた。少年と私は一瞬目を合わせたと思ったが、すぐに少年は顔をキョロキョロさせ言った。
「あれ?ここどこ!?」
黒のローブを着た格好から察するに、魔術師といった所だろうか。
「やっば!急いで帰らないと師匠に怒られる!!」
少年はすぐ様、指を何か書くように振ると、少年がなぞった通りに空中に光る文字が浮かび上がり、少年はその文字を握って「転移!」と言った。
だが――
その場から少年が消えることはなく、代わりに……
グー
と少年のお腹が鳴った。
「は、腹が減って魔力が足りない?」
そう言った少年はやっと私の方を見た。
「えーと、すみません。怪しい者じゃないんで、すぐ出ていくんで……」
部屋の右にある扉の方に、ジリジリと向かいながら言うと、扉のノブを持って開けた。
「そこは衣装室よ」
「え?」
少年は開けた部屋の中を見て、数秒止まるとパタンと扉を締めた。
「ハ、ハハッ。間違えちゃったみたいです」
と今度は部屋の反対側にある扉の方へ向かって行って
「では、お騒がせしました」
と言って扉を開ける。
「そっちは浴室だけど」
またしても、扉の先を確認した少年は静かに扉を締めると言った。
「どうやったら外に出られるんだー!!」
頭を抱える少年に、私は少年の後ろにある扉を指差した。
「あなたの後ろにある扉が、廊下へ繋がっているけれど、今、この部屋からあなたが出たらきっと不審者扱いで捕まると思うわよ」
飛びついて、開けようとした扉からそっと離れて少年は言った。
「ええ!?どうしよう!?俺捕まりたくないよー!!」
その少年の慌てふためく様子に、セシリアは驚いて目をパチパチさせる。
変わった魔術師ね……
「あなた、ここに突然現れたんだから、また突然消える事もできるのよね?」
「そうなんだけど、お腹が空いてて魔力切れで……」
と少年はお腹を擦るとまたしてもグーとお腹が鳴った。
よく鳴るお腹ね。とっても空いているのかしら?
「よかったらこれ、どうぞ」
セシリアは、自分用に用意されたお茶とお菓子を少年に差し出した。
「え!?いいの!?めっちゃ美味しそうだけど」
少年は、瞳をキラキラさせてテーブルの上に並ぶお茶とお菓子を見た。
「ええ。どうぞ」
「じゃあ、いただきまーす!」
そう言うと少年は、1番大きなケーキを口に運んだ。
「うっま!」
本当に美味しそうに食べるのね……。
そして、少年はそのままぺろりとお茶とお菓子を平らげてしまった。
「ふう。これで、魔力回復!じゃあ、お世話になりましたー」
少年はさっきのように空中に文字を書き、光った文字を拳で握ると「転移」と言った。その瞬間少年の姿は跡形もなく、消えてしまった。
本当に消えてしまったわ……。
そして、セシリアはおもむろに心臓を押さえた。
どうしてかしら……。心臓がドクドクいってるわ……。
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