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第8話 混乱
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婚約が決まって、早々と顔合わせが行われた――
フレシアム公爵家、プレーヘム伯爵家と互いの家族の挨拶が一通り終わると、私達は視線で会話をする。
(婚約の事、知っていたんですか?)
(いいや、俺も舞踏会から帰って聞かされたんだ)
「なんだ?なんだ?さっそく二人でアイコンタクトか?私等がいては邪魔だろう。二人で、散歩でもしながら話してきなさい」
フレシアム公爵に急かされて私達は二人で、庭園を歩き始めた。
「まさか、私達が婚約する事になるとは思いませんでした」
「ああ、そう……だな」
エドワルドはシルヴィアの方を見て答える事が出来ず、斜め上を見て答えた。
前の舞踏会で俺がシルヴィアをバルコニーに連れ出したって噂は、父上の耳にも入っていただろうし、俺が何度もシルヴィアを屋敷に呼んでいた事もバレてるだろうから、父上にしてやられたか。まあ、いい。早いか遅いかの違いだし。
エドワルドがそんな事を考えているとは知らず、シルヴィアは足を止めると
「エドワルド様……、私が婚約者で本当にすみません!」
と頭を下げた。
「何言ってるんだ!俺は……この婚約に何の不満もない!」
するとシルヴィアの表情がパッと明るくなる。
「良かった!実は私も最初は驚いたんですけど、よく考えたらエドワルド様がお相手なら、いつでも小説のお話が出来て、良いかなって思ってたんです!エドワルド様もそう思って頂けてたなら良かったわ!」
「ああ……うん……、そうだな」
不味いな。このままだと友達の域を出られそうにないのだが……
「そ、それより、シルヴィア嬢の方こそ婚約者候補は好きになれなかったと言っていたが、それは俺も含まれているのか?」
「何言ってるんですか!エドワルド様は大事なお友達ですよ。それに元々、恋は諦めてましたからいいんです」
「本当に?」
「それは……ちょっとは心残りですけど……、でもその分エドワルド様と恋愛小説の話が出来れば……」
楽しそうに話しながら、エドワルドを見ると、いつになく真剣に自分を見つめてくるエドワルドの視線とぶつかり、シルヴィアはその後の言葉を飲み込んだ。
な、なんだろう。エドワルド様どうしたの?
二人の間に沈黙が訪れる。風に揺られる木々のサワサワとする音がやけに大きく聞こえて、シルヴィアはまた、エドワルドの碧い瞳に魅せられていた。
「シルヴィア嬢……俺と恋愛してみないか?」
いつになく真剣な口ぶりのエドワルドにシルヴィアの頬はみるみる赤くなる。
「……え?」
エドワルドは視線を外すと照れくさいのを誤魔化すように頭をかく。
「婚約したのだから、このまま友人というわけにもいかないだろ?結婚したら一緒に寝る事だってあるんだ」
「寝!?あ……そ、そうですよね……」
思わず大きな声が出てしまったわ。エドワルド様、急にどうしたのかしら?
そうだ。エドワルド様は誠実な方だから、婚約したからには良好な関係を築こうと……。あれ?でも私達、お友達なんだし元々良好な関係なんじゃない?じゃあ、どうしてエドワルド様は私と恋愛しようなんて言ってるの?
シルヴィアの頭が混乱している事を察したエドワルドは、コホンと咳払いする。
「シルヴィア嬢。そんなに難しく考えなくていいから。今までみたいに、楽しく話したり、お茶したりするだけだよ。ただ、俺はこれから婚約者としてシルヴィア嬢に接していくから、シルヴィア嬢もその覚悟をして欲しいというか……。それで少しでも俺の事を意識してみてくれたらいい」
「は、はい!」
あまりに急な展開にシルヴィアの思考は付いていけず、エドワルドに言われるまま返事をする事しか出来なかった――
フレシアム公爵家、プレーヘム伯爵家と互いの家族の挨拶が一通り終わると、私達は視線で会話をする。
(婚約の事、知っていたんですか?)
(いいや、俺も舞踏会から帰って聞かされたんだ)
「なんだ?なんだ?さっそく二人でアイコンタクトか?私等がいては邪魔だろう。二人で、散歩でもしながら話してきなさい」
フレシアム公爵に急かされて私達は二人で、庭園を歩き始めた。
「まさか、私達が婚約する事になるとは思いませんでした」
「ああ、そう……だな」
エドワルドはシルヴィアの方を見て答える事が出来ず、斜め上を見て答えた。
前の舞踏会で俺がシルヴィアをバルコニーに連れ出したって噂は、父上の耳にも入っていただろうし、俺が何度もシルヴィアを屋敷に呼んでいた事もバレてるだろうから、父上にしてやられたか。まあ、いい。早いか遅いかの違いだし。
エドワルドがそんな事を考えているとは知らず、シルヴィアは足を止めると
「エドワルド様……、私が婚約者で本当にすみません!」
と頭を下げた。
「何言ってるんだ!俺は……この婚約に何の不満もない!」
するとシルヴィアの表情がパッと明るくなる。
「良かった!実は私も最初は驚いたんですけど、よく考えたらエドワルド様がお相手なら、いつでも小説のお話が出来て、良いかなって思ってたんです!エドワルド様もそう思って頂けてたなら良かったわ!」
「ああ……うん……、そうだな」
不味いな。このままだと友達の域を出られそうにないのだが……
「そ、それより、シルヴィア嬢の方こそ婚約者候補は好きになれなかったと言っていたが、それは俺も含まれているのか?」
「何言ってるんですか!エドワルド様は大事なお友達ですよ。それに元々、恋は諦めてましたからいいんです」
「本当に?」
「それは……ちょっとは心残りですけど……、でもその分エドワルド様と恋愛小説の話が出来れば……」
楽しそうに話しながら、エドワルドを見ると、いつになく真剣に自分を見つめてくるエドワルドの視線とぶつかり、シルヴィアはその後の言葉を飲み込んだ。
な、なんだろう。エドワルド様どうしたの?
二人の間に沈黙が訪れる。風に揺られる木々のサワサワとする音がやけに大きく聞こえて、シルヴィアはまた、エドワルドの碧い瞳に魅せられていた。
「シルヴィア嬢……俺と恋愛してみないか?」
いつになく真剣な口ぶりのエドワルドにシルヴィアの頬はみるみる赤くなる。
「……え?」
エドワルドは視線を外すと照れくさいのを誤魔化すように頭をかく。
「婚約したのだから、このまま友人というわけにもいかないだろ?結婚したら一緒に寝る事だってあるんだ」
「寝!?あ……そ、そうですよね……」
思わず大きな声が出てしまったわ。エドワルド様、急にどうしたのかしら?
そうだ。エドワルド様は誠実な方だから、婚約したからには良好な関係を築こうと……。あれ?でも私達、お友達なんだし元々良好な関係なんじゃない?じゃあ、どうしてエドワルド様は私と恋愛しようなんて言ってるの?
シルヴィアの頭が混乱している事を察したエドワルドは、コホンと咳払いする。
「シルヴィア嬢。そんなに難しく考えなくていいから。今までみたいに、楽しく話したり、お茶したりするだけだよ。ただ、俺はこれから婚約者としてシルヴィア嬢に接していくから、シルヴィア嬢もその覚悟をして欲しいというか……。それで少しでも俺の事を意識してみてくれたらいい」
「は、はい!」
あまりに急な展開にシルヴィアの思考は付いていけず、エドワルドに言われるまま返事をする事しか出来なかった――
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