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第9話 近付く距離
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数日後、エドワルド様からティータイムのお誘いを受け、私はフレシアム公爵邸に伺った――
「わあ、ありがとうございます」
私はエドワルド様からリリック先生の本を受け取ると、笑顔で顔を上げた。
すると、すぐ近くにエドワルド様の顔があり、微笑み返してくれたのだが――
近い!近いです!エドワルド様!
前までは向かい合わせに座っていたのに、今日は隣に座っているし、なんか視線もよく合うのよね……。
婚約者としての扱いってこういう事なの!?
これは……、物凄く照れるんですがあああ!
急に距離が近くなったエドワルドに、シルヴィアはそろりと距離をとってみたり、視線を感じてもエドワルドの方を見ないようにしたりと、なんとかその場をやり過ごした。
◇
「ふう……、今日のティータイム、物凄く疲れたわ……」
シルヴィアは、部屋で一人ソファの背もたれに寄りかかり、やっと今日のエドワルドとのティータイムの緊張から解き放たれた。
「だって、今日のエドワルド様、距離が近過ぎるんだもの!!小説では、主人公の二人が接近するとキュンキュンしてたのに、実際に男性に近付かれるって、そんな可愛いもんじゃないわ!心臓が破裂するんじゃないかってくらいドクンドクンするし、すっごくすっごく恥ずかしかったわ。私、絶対にずっと顔が赤かっただろうし、熱くて汗まで滲んでしまって……。もう嫌!こんなの、恥ずかしすぎるわ!明日も会う事になってるのに、このままじゃ、身が持たないわよ!」
シルヴィアは、また赤くなった顔を覆ってしばらく微動だにしなかったが、急に立ち上がった。
「こういう時こそ、本を読みましょう。本を読んで落ち着くのよ!」
シルヴィアは、今日借りてきたリリック・アリーの小説を読み始め、暫くは集中していたのだが、中盤に差し掛かり主人公が両想いになると、ページをめくるたびにシルヴィアの顔がどんどん赤くなっていった。
「どうしましょう……。ヒーローの台詞が全て、エドワルド様がいっているように変換されて聞こえてくるわ!しかも、よりにもよって、リリック先生の甘々な話!駄目だわ!今日はもう寝ましょう!」
ベッドに入ったシルヴィアだったが、頭の中はエドワルドの事ばかり考えてしまい、眠れぬ夜を過ごす事になってしまったのだった――
◇
翌日――
「危ない!」
気が付くと、私はエドワルド様に後ろから抱きかかえられていた。
目の前には、池……、どうやら私は庭園の池に突進していこうとしていたようだ。
「あ、ありがとうございます」
て、手がお腹に!!
「なんだか、今日はボーッとしているみたいだけど、どうしたんだ?」
エドワルド様に覗き込まれると、途端に顔が熱くなる。
「ね、寝不足なんです!」
「寝不足?あ、さてはリリック先生の本を読んでいて、夜更しをしたんだな?」
エドワルド様が普段はしないような意地悪い笑みを浮かべるから、途端にリリック先生の小説の甘い台詞を言うエドワルド様が脳裏を過る。
「い、いえ!そんなんじゃ、そんなんじゃないんです!」
思い切り、後ろへ退こうとして、今度は腕を掴まれた。
「今度は背中から池に飛び込むつもりか?」
「す、すみません……」
すると、シュンとしたシルヴィアの手をエドワルド様が優しく握った。
「寝不足なら、散歩は辞めて部屋でのんびりしよう」
そう言って、エドワルド様は私の手を引いて屋敷に向かっていく。
エドワルド様って、やっぱり優しい……。それに、握られている手が、何だか守られてるみたいで、恥ずかしいのに嬉しい……。
シルヴィアは寝不足のボーッとする頭で、少し前を歩くエドワルドの背中から目が離せないでいた――
「わあ、ありがとうございます」
私はエドワルド様からリリック先生の本を受け取ると、笑顔で顔を上げた。
すると、すぐ近くにエドワルド様の顔があり、微笑み返してくれたのだが――
近い!近いです!エドワルド様!
前までは向かい合わせに座っていたのに、今日は隣に座っているし、なんか視線もよく合うのよね……。
婚約者としての扱いってこういう事なの!?
これは……、物凄く照れるんですがあああ!
急に距離が近くなったエドワルドに、シルヴィアはそろりと距離をとってみたり、視線を感じてもエドワルドの方を見ないようにしたりと、なんとかその場をやり過ごした。
◇
「ふう……、今日のティータイム、物凄く疲れたわ……」
シルヴィアは、部屋で一人ソファの背もたれに寄りかかり、やっと今日のエドワルドとのティータイムの緊張から解き放たれた。
「だって、今日のエドワルド様、距離が近過ぎるんだもの!!小説では、主人公の二人が接近するとキュンキュンしてたのに、実際に男性に近付かれるって、そんな可愛いもんじゃないわ!心臓が破裂するんじゃないかってくらいドクンドクンするし、すっごくすっごく恥ずかしかったわ。私、絶対にずっと顔が赤かっただろうし、熱くて汗まで滲んでしまって……。もう嫌!こんなの、恥ずかしすぎるわ!明日も会う事になってるのに、このままじゃ、身が持たないわよ!」
シルヴィアは、また赤くなった顔を覆ってしばらく微動だにしなかったが、急に立ち上がった。
「こういう時こそ、本を読みましょう。本を読んで落ち着くのよ!」
シルヴィアは、今日借りてきたリリック・アリーの小説を読み始め、暫くは集中していたのだが、中盤に差し掛かり主人公が両想いになると、ページをめくるたびにシルヴィアの顔がどんどん赤くなっていった。
「どうしましょう……。ヒーローの台詞が全て、エドワルド様がいっているように変換されて聞こえてくるわ!しかも、よりにもよって、リリック先生の甘々な話!駄目だわ!今日はもう寝ましょう!」
ベッドに入ったシルヴィアだったが、頭の中はエドワルドの事ばかり考えてしまい、眠れぬ夜を過ごす事になってしまったのだった――
◇
翌日――
「危ない!」
気が付くと、私はエドワルド様に後ろから抱きかかえられていた。
目の前には、池……、どうやら私は庭園の池に突進していこうとしていたようだ。
「あ、ありがとうございます」
て、手がお腹に!!
「なんだか、今日はボーッとしているみたいだけど、どうしたんだ?」
エドワルド様に覗き込まれると、途端に顔が熱くなる。
「ね、寝不足なんです!」
「寝不足?あ、さてはリリック先生の本を読んでいて、夜更しをしたんだな?」
エドワルド様が普段はしないような意地悪い笑みを浮かべるから、途端にリリック先生の小説の甘い台詞を言うエドワルド様が脳裏を過る。
「い、いえ!そんなんじゃ、そんなんじゃないんです!」
思い切り、後ろへ退こうとして、今度は腕を掴まれた。
「今度は背中から池に飛び込むつもりか?」
「す、すみません……」
すると、シュンとしたシルヴィアの手をエドワルド様が優しく握った。
「寝不足なら、散歩は辞めて部屋でのんびりしよう」
そう言って、エドワルド様は私の手を引いて屋敷に向かっていく。
エドワルド様って、やっぱり優しい……。それに、握られている手が、何だか守られてるみたいで、恥ずかしいのに嬉しい……。
シルヴィアは寝不足のボーッとする頭で、少し前を歩くエドワルドの背中から目が離せないでいた――
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