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第11話 これが恋?
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「お嬢様、お久しぶりです!」
前と変わらず、微笑むシーアにシルヴィアは、思わず抱きつこうとして、思いとどまった。
「シーア、久しぶりね!子供も無事に生まれて、良かったわ。おめでとう」
「ありがとうございます。お嬢様もご婚約が決まったと聞きました。おめでとうございます」
ニッコリと微笑んだシーアに、シルヴィアの瞳はウルウルと潤んで「シーア!助けてー」と言って泣き出したのだった――
子供を寝かしつけたシーアは、シルヴィアの向かいに座ると、元気のない様子のシルヴィアを見つめた。
「シーア、ごめんなさいね。引き止めちゃって」
「いいえ、夫もゆっくり挨拶して来なさいと言っておりましたから、お気になさらないで下さい。それより、ご婚約が決まったと聞いておりましたが、お元気がないのはそれが原因ですか?やはり、好意を持てない相手との結婚は気が進みませんわよね」
シーアは、兼ねてからシルヴィアが恋をしてみたいと思っていた事も知っていた。
「お相手は……フレシアム公爵のご令息エドワルド様ですよね?端正な顔立ちの真面目な殿方だと侍女の間でも人気の方でしたから、いいお相手と婚約されたとばかり思っておりましたが……。噂とは違い、酷いお方だったんですか?」
シーアは、心配そうにシルヴィアを見つめた。
「ち、違うの!エドワルド様は、とっても優しい方よ!真面目だし、目が合うとついつい魅入ってしまうくらい魅力的な方なのよ!」
「まあ、そうなんですね!」
シーアはシルヴィアの話を微笑んで聞いていた。
「それに、エドワルド様とは、婚約する前から友達だったの。エドワルド様も恋愛小説がお好きで、私からお友達になって欲しいってお願いしたのよ」
シルヴィアが少し得意気に言うものだから、シーアはフフッと笑みを浮かべた。
「まあ、そうでしたか!では、どうしてそんなに困ってらっしゃるのですか?」
さっきまで、意気揚々としていたシルヴィアは、少し視線を落とすと頬を染める。
「エドワルド様、婚約した途端に恋愛しようって言い出したり、距離も凄く近くなって、隣に座ったり、手を握ってきたり……。私、凄く恥ずかしいし、緊張するしでもうどうして良いか分からないの!!しかも小説を読むとヒーローの台詞がエドワルド様が言ってるみたいに聞こえてきちゃうし、一晩中エドワルド様の事が頭から離れなくて、寝不足になっちゃうし、そのせいでエドワルド様の前で寝ちゃったのよ!嫌われたかもしれない!!」
シルヴィアの必死の訴えにシーアは、我慢できず、笑いをこぼした。
「フッフフフ。お嬢様、今のお嬢様、凄く可愛らしいです」
「……え?」
「頬を赤く染めて、一生懸命エドワルド様の事をお話になるお嬢様は、とっても可愛らしいですわ」
シーアは、ニッコリと微笑むとシルヴィアを優しく見つめて言った。
「お嬢様、エドワルド様とお話したり、一緒にいるのが嫌だと思った事はありますか?」
「そんな事、思った事無いわ。あ、でも近くに来られると恥ずかしくて困るわ……」
シルヴィアは、視線を逸して、恥ずかしそうに答えた。
「お嬢様、それはお嬢様がエドワルド様を意識されているからですわ」
「意識……?そういえば、エドワルド様が自分を意識して欲しいって言っていたわ」
「まあ。フフッ、では、エドワルド様はお嬢様を口説いている最中なんですね」
「え!?口説いてる?それは好きな人にする事でしょう?」
「ええ、そうですよ。小説でも主人公を好きになったヒーローが、優しくしたり、気に掛けたり、困っている時に助けてくれたりしますでしょう?あれは、全部、好きな女性に振り向いてもらう為ですよ。そうそう、今日、エドワルド様がいらして、お花と今度の舞踏会用のアクセサリーをプレゼントして下さったようですよ」
すると、ブワッとシルヴィアの顔は真っ赤になる。
気が付いてしまったのだ。エドワルドの気持ちに……。
今までのエドワルドとの時間が、走馬灯のようにシルヴィアの頭を駆け巡る。
待って、待って……。じゃあ、エドワルド様って、私の事!?
ドクンドクンと心臓が早鳴る。
エドワルドの気持ちが自分に向けられていると思うと嬉しくて気恥ずかしくて、ムズムズとした気持ちでいっぱいになる。そして、思い出すのは、一番シンプルな自分の気持ちに気付いた昨日の事――
「この人とずっとこうして一緒にいたい」という気持ち……。
ああ……、今までこんな気持ちになった男性はいなかった……。
シルヴィアは、真っ赤な顔を手で挟んで、呟いた。
「これが……恋?」
シーアは、嬉しそうに微笑んで頷くと
「お嬢様、良かったですね」
と優しく言ったのだった――
前と変わらず、微笑むシーアにシルヴィアは、思わず抱きつこうとして、思いとどまった。
「シーア、久しぶりね!子供も無事に生まれて、良かったわ。おめでとう」
「ありがとうございます。お嬢様もご婚約が決まったと聞きました。おめでとうございます」
ニッコリと微笑んだシーアに、シルヴィアの瞳はウルウルと潤んで「シーア!助けてー」と言って泣き出したのだった――
子供を寝かしつけたシーアは、シルヴィアの向かいに座ると、元気のない様子のシルヴィアを見つめた。
「シーア、ごめんなさいね。引き止めちゃって」
「いいえ、夫もゆっくり挨拶して来なさいと言っておりましたから、お気になさらないで下さい。それより、ご婚約が決まったと聞いておりましたが、お元気がないのはそれが原因ですか?やはり、好意を持てない相手との結婚は気が進みませんわよね」
シーアは、兼ねてからシルヴィアが恋をしてみたいと思っていた事も知っていた。
「お相手は……フレシアム公爵のご令息エドワルド様ですよね?端正な顔立ちの真面目な殿方だと侍女の間でも人気の方でしたから、いいお相手と婚約されたとばかり思っておりましたが……。噂とは違い、酷いお方だったんですか?」
シーアは、心配そうにシルヴィアを見つめた。
「ち、違うの!エドワルド様は、とっても優しい方よ!真面目だし、目が合うとついつい魅入ってしまうくらい魅力的な方なのよ!」
「まあ、そうなんですね!」
シーアはシルヴィアの話を微笑んで聞いていた。
「それに、エドワルド様とは、婚約する前から友達だったの。エドワルド様も恋愛小説がお好きで、私からお友達になって欲しいってお願いしたのよ」
シルヴィアが少し得意気に言うものだから、シーアはフフッと笑みを浮かべた。
「まあ、そうでしたか!では、どうしてそんなに困ってらっしゃるのですか?」
さっきまで、意気揚々としていたシルヴィアは、少し視線を落とすと頬を染める。
「エドワルド様、婚約した途端に恋愛しようって言い出したり、距離も凄く近くなって、隣に座ったり、手を握ってきたり……。私、凄く恥ずかしいし、緊張するしでもうどうして良いか分からないの!!しかも小説を読むとヒーローの台詞がエドワルド様が言ってるみたいに聞こえてきちゃうし、一晩中エドワルド様の事が頭から離れなくて、寝不足になっちゃうし、そのせいでエドワルド様の前で寝ちゃったのよ!嫌われたかもしれない!!」
シルヴィアの必死の訴えにシーアは、我慢できず、笑いをこぼした。
「フッフフフ。お嬢様、今のお嬢様、凄く可愛らしいです」
「……え?」
「頬を赤く染めて、一生懸命エドワルド様の事をお話になるお嬢様は、とっても可愛らしいですわ」
シーアは、ニッコリと微笑むとシルヴィアを優しく見つめて言った。
「お嬢様、エドワルド様とお話したり、一緒にいるのが嫌だと思った事はありますか?」
「そんな事、思った事無いわ。あ、でも近くに来られると恥ずかしくて困るわ……」
シルヴィアは、視線を逸して、恥ずかしそうに答えた。
「お嬢様、それはお嬢様がエドワルド様を意識されているからですわ」
「意識……?そういえば、エドワルド様が自分を意識して欲しいって言っていたわ」
「まあ。フフッ、では、エドワルド様はお嬢様を口説いている最中なんですね」
「え!?口説いてる?それは好きな人にする事でしょう?」
「ええ、そうですよ。小説でも主人公を好きになったヒーローが、優しくしたり、気に掛けたり、困っている時に助けてくれたりしますでしょう?あれは、全部、好きな女性に振り向いてもらう為ですよ。そうそう、今日、エドワルド様がいらして、お花と今度の舞踏会用のアクセサリーをプレゼントして下さったようですよ」
すると、ブワッとシルヴィアの顔は真っ赤になる。
気が付いてしまったのだ。エドワルドの気持ちに……。
今までのエドワルドとの時間が、走馬灯のようにシルヴィアの頭を駆け巡る。
待って、待って……。じゃあ、エドワルド様って、私の事!?
ドクンドクンと心臓が早鳴る。
エドワルドの気持ちが自分に向けられていると思うと嬉しくて気恥ずかしくて、ムズムズとした気持ちでいっぱいになる。そして、思い出すのは、一番シンプルな自分の気持ちに気付いた昨日の事――
「この人とずっとこうして一緒にいたい」という気持ち……。
ああ……、今までこんな気持ちになった男性はいなかった……。
シルヴィアは、真っ赤な顔を手で挟んで、呟いた。
「これが……恋?」
シーアは、嬉しそうに微笑んで頷くと
「お嬢様、良かったですね」
と優しく言ったのだった――
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