無能聖女は呪いを解かない

もりのたぬき

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4.無能聖女、森に棄てられる

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森に馬車がついて直ぐに、トルテの正面に座っていた騎士が馬車を降りる。

「おい、降りろ」
先に降りた騎士が、トルテを急かす。

「手を縛られている女性が、この段差を一人で降りれるとお思いになって?」
後ろ手に縛られているとはいえ、トルテの運動神経ならば降りられなくはない。しかしこの状態で馬車から一人で降りるのはゴメンこうむりたい。

「ッチ!」

騎士は苦虫をつぶしたような顔で舌打ちをするが、渋々といった感じでトルテの降車を手伝った。

「感謝しますわ騎士様」
「お前のような無能聖女に感謝などされても嬉しくない」

(無能聖女ねぇ…一応、国を護る結界はしっかり張ってたんだけどなぁ…)

多分、この騎士も含めて多くの国民が、トルテが聖女の役目を果たさないで遊び惚ける、性格の悪い我が儘な令嬢だと思っているのだろう。

そう仕向けたのが、ミーシャ・ウェハースなのか、アルファド殿下なのか、国王陛下なのか、はたまた全員なのかは分からないが…。

馬車を降りたトルテの前には、どや顔をしたコタゲーノが立っていた。

「あら宰相様もいらっしゃっていたのですね」
「お前をこの結界に閉じ込めるのを確認せねばならんからな」

コタゲーノは、ニヤリと笑みを浮かべる。

「そうですか。ま、そんな事はどうでもいいです。私をこの森の結界内にとどめ置きたいとおっしゃいますけど、私は聖女であり、人間ですわ。この森の結界など問題にはなりませんわよ」

「ふふふ、そうだな。お前が人間のままであればこの森の結界など関係ない」

コタゲーノは騎士に何か合図をすると、何をするつもりなのか騎士がトルテの縄を解いた。

「私の拘束を解いてよろしかったの?」

少し呆気にとられるトルテだったが、そんな彼女の左手首をコタゲーノが乱暴につかみ、魔力をまとった腕輪をつけた。つけられた瞬間、トルテは体が溶けるような縮まるような感覚に陥った。

「うっ…!?」

私はその奇妙な感覚にうずくまった。
(何この感覚!?)

目の前がゆらゆらと歪み意識が遠のいていく。
「な…にをしたの…」

「おお、そうだった、お前が付けている装飾品は全て回収させてもらおう。王子からの指示だからな!!お前に贈られた宝飾品は、全て王子の手元に戻るのだ、憐れだな無能聖女め!!」

どさりと倒れ込むトルテをよそに、コタゲーノが笑いながらネックレスやブローチを奪い取っていく。

「はははは!!黙って聖女の役目を果たせば王妃にもなれたものを!!この森で後悔しながら死ぬがいい!!」

コタゲーノの笑い声を聞きながら、トルテは意識を手放した。
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