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捨てられ令嬢、騎士団に入る
アティ、夜逃げに置いていかれる
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アティは迎えを待ち続けた。
しかし、日が暮れ始めた頃になっても来ない迎えに、アティは自分で帰ることを決心する。
学校が長期休暇に入ることを忘れているのかも知れない。彼女はそう考えることにしたのだ。
まず、アティはどうやって帰るかを考えた。そして先生に頼み、辻馬車を呼んでもらうことにした。
代金は、アティがポーションの販売から出た利益を使うつもりだ。
アティが寮の管理室にいた先生に馬車を呼ぶことを頼むと、大げさに驚かれた。
しかし、優等生であるアティが大げさに嘆いてみせると、渋々ながら学園御用達の辻馬車を呼んでもらえた。演劇部に所属するエミリアの演技を何度か見た成果だ。
先生に代金の心配をされたが、アティはお小遣いがあると言って、先生を安心させた。少し良心が痛んだが、仕方のないことだと割り切ることにしようと、彼女は思うことにする。
辻馬車に乗って10分後、アティは家に着いた。お嬢様学校の可憐な少女が辻馬車を使ったことに興味津々な御者に、彼女は通常より多いチップを払った。相場を知らない彼女のために、先生が事前に教えてくれていたことが役に立ったと、彼女は胸を撫で下ろす。
それはアティにとって痛い出費だったが、口止め料と思えば必要経費だ。名門であるフラメル家が辻馬車を使ったことが社交界に知られれば、彼女は父に怒られてしまうだろう。
アティが屋敷の中に入ると、中はシンと静まり返っていた。
いつもならたくさんの使用人が働いているため、家のどこにいても人の気配を感じるはずだ。それが全く感じられない。
アティは首をかしげながら、挨拶するために父の書斎に向かった。そして、ノックもせずに部屋の扉を開ける。
いつもなら、そんなレディにあるまじきことはしない。しかし、人の気配を感じられなかったため、彼女は焦っていたのだ。
「お父様、ただいま帰りました……?」
書斎には本や書類が置いてあるのだが、1つもなくなっている。アティは不思議に思いながら、書斎に入る。すると、備え付けの家具と執務机の上に置いてある壺(つぼ)以外、何もなくなっていた。
アティは壺をジックリと見た。その壺は陶器でできており、模様は生き生きとした緑が大胆に、そして繊細に描いてある。大きさはアティが胸に抱えてしっくりくるサイズだった。
引き寄せられたように執務机に近寄る。よく見ると、壺の隣には手紙が置いてあった。アティはそれを手に取り、宛名を確かめる。
宛名には、アティの名前が書いてある。彼女は不思議に思いながらも、手紙を読んでみることにした。
『アティへ
お前は幸運をもたらす者として、我が家へ養子として迎え入れられたことを覚えているか。そのおかげか、傾いていた我が家は再び繁栄を取り戻した。
しかし、この壺が送られたとき、我が家の時勢が変わった。
このフラメル家は失墜しかけようとしている。私たちは地に堕ちる前に、撤退することを決めた。使用人と共に別の国にでも行こうと思っている。
さらばだ。この呪いの壺のことは頼んだ。
フラメル家一同より』
アティは2つの彼女に、体をワナワナと震わせる。あまりに身勝手な言い分に怒りを、置いていかれたことに悲しみを感じた。
「あんまり愛されていないことは分かっていたつもりだったけれど、これはあんまりだわ……しかも呪われているかも知れない壺と置いていかれるなんて……あ!」
アティはあることに気づくと、書斎を飛び出し、2階にある自分の部屋に向かう。
彼女の部屋は白とピンクを基調とした可愛らしい部屋だった。アティはその部屋に駆け入ると、天蓋付きの上品なベッドの上に飛び乗る。
この部屋は書斎と違って荒れており、チェストの引き出しは飛び出していて中には何も入っていなかった。
やはり夜逃げしたときに、備え付けの家具以外、全てを持ち去ったようだ。
「あった! ……よかったぁ」
アティはベッドの枕元に置いてあったぬいぐるみを抱きしめ、深く息をついた。
このぬいぐるみは、アティが孤児院にいた頃から持っているぬいぐるみだ。額に宝石がついている、真っ白な竜の可愛らしいぬいぐるみは、アティの宝物だった。誰かに持ち去られても、必ずアティの元に帰ってくる不思議さすら、彼女にとって愛しさが募る理由の1つだ。
「今回もちゃんと帰ってきてくれたのね……でも、これからどうしよう……」
そして、アティはベッドに寝転がり、考えた。
自分ができることなど限られているし、そもそも手持ちのお金もない。お金といえば、ポーションを販売したお金は……
「そうよ、学校でしていたように、ポーションを売ればいいんだわ!」
アティは飛び起きて、考えを口に出す。
このルピス王国で高等教育を受けた者は、ポーションの作成の仕方を必ず習う。
アティはそのポーション作りがとにかく上手で、先生から許可をもらい、学校内で販売している程だ。だから彼女は学校外でも販売できるのでは、と考えた。
「そうと決まれば、ポーションを作りましょう。お鍋は残っているかしら?」
アティはベッドから降り、キッチンへ向かう。彼女は見た目より存外、逞しかったのだ。
しかし、日が暮れ始めた頃になっても来ない迎えに、アティは自分で帰ることを決心する。
学校が長期休暇に入ることを忘れているのかも知れない。彼女はそう考えることにしたのだ。
まず、アティはどうやって帰るかを考えた。そして先生に頼み、辻馬車を呼んでもらうことにした。
代金は、アティがポーションの販売から出た利益を使うつもりだ。
アティが寮の管理室にいた先生に馬車を呼ぶことを頼むと、大げさに驚かれた。
しかし、優等生であるアティが大げさに嘆いてみせると、渋々ながら学園御用達の辻馬車を呼んでもらえた。演劇部に所属するエミリアの演技を何度か見た成果だ。
先生に代金の心配をされたが、アティはお小遣いがあると言って、先生を安心させた。少し良心が痛んだが、仕方のないことだと割り切ることにしようと、彼女は思うことにする。
辻馬車に乗って10分後、アティは家に着いた。お嬢様学校の可憐な少女が辻馬車を使ったことに興味津々な御者に、彼女は通常より多いチップを払った。相場を知らない彼女のために、先生が事前に教えてくれていたことが役に立ったと、彼女は胸を撫で下ろす。
それはアティにとって痛い出費だったが、口止め料と思えば必要経費だ。名門であるフラメル家が辻馬車を使ったことが社交界に知られれば、彼女は父に怒られてしまうだろう。
アティが屋敷の中に入ると、中はシンと静まり返っていた。
いつもならたくさんの使用人が働いているため、家のどこにいても人の気配を感じるはずだ。それが全く感じられない。
アティは首をかしげながら、挨拶するために父の書斎に向かった。そして、ノックもせずに部屋の扉を開ける。
いつもなら、そんなレディにあるまじきことはしない。しかし、人の気配を感じられなかったため、彼女は焦っていたのだ。
「お父様、ただいま帰りました……?」
書斎には本や書類が置いてあるのだが、1つもなくなっている。アティは不思議に思いながら、書斎に入る。すると、備え付けの家具と執務机の上に置いてある壺(つぼ)以外、何もなくなっていた。
アティは壺をジックリと見た。その壺は陶器でできており、模様は生き生きとした緑が大胆に、そして繊細に描いてある。大きさはアティが胸に抱えてしっくりくるサイズだった。
引き寄せられたように執務机に近寄る。よく見ると、壺の隣には手紙が置いてあった。アティはそれを手に取り、宛名を確かめる。
宛名には、アティの名前が書いてある。彼女は不思議に思いながらも、手紙を読んでみることにした。
『アティへ
お前は幸運をもたらす者として、我が家へ養子として迎え入れられたことを覚えているか。そのおかげか、傾いていた我が家は再び繁栄を取り戻した。
しかし、この壺が送られたとき、我が家の時勢が変わった。
このフラメル家は失墜しかけようとしている。私たちは地に堕ちる前に、撤退することを決めた。使用人と共に別の国にでも行こうと思っている。
さらばだ。この呪いの壺のことは頼んだ。
フラメル家一同より』
アティは2つの彼女に、体をワナワナと震わせる。あまりに身勝手な言い分に怒りを、置いていかれたことに悲しみを感じた。
「あんまり愛されていないことは分かっていたつもりだったけれど、これはあんまりだわ……しかも呪われているかも知れない壺と置いていかれるなんて……あ!」
アティはあることに気づくと、書斎を飛び出し、2階にある自分の部屋に向かう。
彼女の部屋は白とピンクを基調とした可愛らしい部屋だった。アティはその部屋に駆け入ると、天蓋付きの上品なベッドの上に飛び乗る。
この部屋は書斎と違って荒れており、チェストの引き出しは飛び出していて中には何も入っていなかった。
やはり夜逃げしたときに、備え付けの家具以外、全てを持ち去ったようだ。
「あった! ……よかったぁ」
アティはベッドの枕元に置いてあったぬいぐるみを抱きしめ、深く息をついた。
このぬいぐるみは、アティが孤児院にいた頃から持っているぬいぐるみだ。額に宝石がついている、真っ白な竜の可愛らしいぬいぐるみは、アティの宝物だった。誰かに持ち去られても、必ずアティの元に帰ってくる不思議さすら、彼女にとって愛しさが募る理由の1つだ。
「今回もちゃんと帰ってきてくれたのね……でも、これからどうしよう……」
そして、アティはベッドに寝転がり、考えた。
自分ができることなど限られているし、そもそも手持ちのお金もない。お金といえば、ポーションを販売したお金は……
「そうよ、学校でしていたように、ポーションを売ればいいんだわ!」
アティは飛び起きて、考えを口に出す。
このルピス王国で高等教育を受けた者は、ポーションの作成の仕方を必ず習う。
アティはそのポーション作りがとにかく上手で、先生から許可をもらい、学校内で販売している程だ。だから彼女は学校外でも販売できるのでは、と考えた。
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