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8. 洞窟
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翌日薪を拾いに裏山に登った僕たちは、大量の薪を手に入れたあと山の頂上から村を見下ろした。僕たちの車は、相変わらず農道の真ん中に停められている。ふと、視線の遥か先、村の入り口から離れた場所にある鳥居が目に入る。神社でお参りをした後にタイムスリップをした人、あの鳥居の奥の祠にお参りをしたあとこの村に迷い込んだ僕たち——。理由は謎だが、神がかった場所には時空の裂け目があるのか。だとしたら、条件が揃えば帰れる可能性はある。僕はふとあのカーラジオで聞いた話を思い出した。
「なあ、あのカーラジオで言ってた神社ってあるだろう?」
僕は権田に言った。
「ん? そんなこと言ってたっけか?」
「神社にお参りをしたあとタイムスリップしたとか言ってたぞ」
「ああ、そうだったな。その神社って何なんだろな?」
「多分だけど……大黒天ってやつを祀ってるんじゃないかな?」
「何だそりゃ?」
「これはネットの噂に過ぎないが、関西のあるお参りするとかなり低い確率でタイムリープができる神社があるらしいんだ。そこで祀ってるのがその神様なんだよ。もしあのラジオで言ってた神社で祀ってる神様ってやつがあの僕達がお参りした祠で祀ってた神様と同じだったら、僕達がここにいる理由も説明がつく」
権田はしばらくアフロに両手の人差し指を突っ込んだりして何か考えている様子だった。側から見たらかなり滑稽だが、こうしていると良い考えが浮かぶとでも思っているのだろうか。
「じゃあよ、どうやったら元いた場所に帰れんだ? 過去に戻る方法があるなら、未来に戻る方法だってあるんじゃねーか?」
「それが、過去から帰る方法は書いてなかったんだ」
「駄目じゃん!」
「とりあえず、あの神様にもう一回お参りしてみよう」
未来へ戻るためにもっといい考えはないかと考えながら、果たして僕は本当に元いた場所に帰りたいんだろうかという疑問も浮かんできた。全てがアナログな生活に不便を感じることはあるが、幸や松と暮らすうちにだんだんとこっちの暮らしが楽しくなってきた。元の世界に戻って突きつけられるのは目標を叶えられず大学を中退したニートの自分だ。もう一度あの生活に戻るくらいなら、このままここに留まったほうがずっと幸せに思える。
下山している途中、僕は道に置き去りにした車のことが気になり始めた。おろしたての新車をあそこに置きっぱなしにしていたら、何者かに悪戯されたり壊されたりしかねない。
「あの車、幸の家まで持っていけないだろうか」と僕が言うと、「まじ? あれ押してくっていったら1時間以上がかるぞ」と権田は言った。
「お前力強いだろ? 押してくことくらい何でもないだろうよ」
「まあ、いいけどさ~」と答えながら権田は全く乗り気ではなさそうだ。こいつは面倒くさい、嫌だという感情がもろに顔に出る。だが確かに、あの車を僕たち二人だけで交代で幸宅まで押していくのはきつい。
「なあ、あのカーラジオで言ってた神社ってあるだろう?」
僕は権田に言った。
「ん? そんなこと言ってたっけか?」
「神社にお参りをしたあとタイムスリップしたとか言ってたぞ」
「ああ、そうだったな。その神社って何なんだろな?」
「多分だけど……大黒天ってやつを祀ってるんじゃないかな?」
「何だそりゃ?」
「これはネットの噂に過ぎないが、関西のあるお参りするとかなり低い確率でタイムリープができる神社があるらしいんだ。そこで祀ってるのがその神様なんだよ。もしあのラジオで言ってた神社で祀ってる神様ってやつがあの僕達がお参りした祠で祀ってた神様と同じだったら、僕達がここにいる理由も説明がつく」
権田はしばらくアフロに両手の人差し指を突っ込んだりして何か考えている様子だった。側から見たらかなり滑稽だが、こうしていると良い考えが浮かぶとでも思っているのだろうか。
「じゃあよ、どうやったら元いた場所に帰れんだ? 過去に戻る方法があるなら、未来に戻る方法だってあるんじゃねーか?」
「それが、過去から帰る方法は書いてなかったんだ」
「駄目じゃん!」
「とりあえず、あの神様にもう一回お参りしてみよう」
未来へ戻るためにもっといい考えはないかと考えながら、果たして僕は本当に元いた場所に帰りたいんだろうかという疑問も浮かんできた。全てがアナログな生活に不便を感じることはあるが、幸や松と暮らすうちにだんだんとこっちの暮らしが楽しくなってきた。元の世界に戻って突きつけられるのは目標を叶えられず大学を中退したニートの自分だ。もう一度あの生活に戻るくらいなら、このままここに留まったほうがずっと幸せに思える。
下山している途中、僕は道に置き去りにした車のことが気になり始めた。おろしたての新車をあそこに置きっぱなしにしていたら、何者かに悪戯されたり壊されたりしかねない。
「あの車、幸の家まで持っていけないだろうか」と僕が言うと、「まじ? あれ押してくっていったら1時間以上がかるぞ」と権田は言った。
「お前力強いだろ? 押してくことくらい何でもないだろうよ」
「まあ、いいけどさ~」と答えながら権田は全く乗り気ではなさそうだ。こいつは面倒くさい、嫌だという感情がもろに顔に出る。だが確かに、あの車を僕たち二人だけで交代で幸宅まで押していくのはきつい。
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