秘密の洋館

本編 洋館での出会い

7話

  守永は寝室の外から、部屋の中の女性が、発した質問に対して、答えた。

「お、俺は守永です。」

 女性は部屋の中から少し扉を開けて顔を覗かせて返事をした。

「ちょっと、私はたて込んでいるから、後で。今は構えないわ。」
「分かりました。（……って、大きな物音出てるけど、大丈夫かな？ 今、どうなってるんだ？） 」

 守永は寝室の室内から聞こえる物音のせいで、女性が何をしていたのか？ 興味を持ち始めた。

 ──そうだなぁ……。

 守永は「分かりました……分かり……。」と、再度自身に言い聞かせるような小声で唱えるように、口に出した。足音や気配を悟られないように、注意を払いながら寝室3より少し離れた場所を行き来して、なんとか室内を覗き見する方法を考えていた。



＊＊＊

「あぁー！ もうっ。イライラする！」

 寝室3に居る女性はどうやら苛立いらだっていて、頭に血が昇っていた。ベッドメイキングされたベッドに置かれた枕を思いっきり壁に投げたり殴り付けていた。終しまいには、室内に置かれた小物類などを投げつけて、整えられた室内をぐちゃぐちゃに荒らしてしまっていた。

 散々暴れた女性の顔は、見る限り明らかに興奮で、紅潮していた。そして暴れた為に衣服に皺しわがたくさん付いてよれてみすぼらしい身なりをしていた。

「フゥー。これだけ好き放題したら、少しはこんな場所も居心地がよいわ。」

 女性もどうやらこんな閉鎖的な場所に連れ去られたらしい。女性は散々暴れて満足した為か、寝室の部屋からのっそりと出てきた。

「そういや、もり……なが……さんだっけ？ 私が好き放題している所、聞かれてなかったら良いけど……。」

 
 守永は、寝室の部屋からぎぃっと扉を開けて出てきた女性の姿に気付かず、ずっと近くを徘徊はいかいして考えに耽ふけっていた。