最弱のネクロマンサーを追放した勇者たちは、何度も蘇生してもらっていたことをまだ知らない

玖遠紅音

文字の大きさ
18 / 19
第2章

1話 ネクロマンサー、神を訪ねる

しおりを挟む
「さて、早速だがお前たちにはあるお方に会ってもらう」

 先の戦いの余韻が未だ収まらないこのタイミングで、魔人フォルニスは俺達へそう言い放った。
 フィルカ、ミスト、ミルア、ヴィクト、そして俺レイル。
 皆ヴァルファール王国復興のために忙しく動いていたのだが、フォルニスが引っ張ってでも全員を連れてこいというので無理言って集まってもらったのだ。

「あるお方? それは一体誰? わたしたちの、知らない人?」

「既にお前には聞きたいことが山ほどあるんだが、またさらに俺たちの疑問を増やすつもりか?」

「否。むしろその逆だ。我が今まで隠し続けていたこと、それを話す時が来た。ただ――」

「……ただ?」

「話すのは我ではない。お前たちに真実を告げるのは我が主――」

 スッと、左腕を高く掲げた。その手の内には、アビスストーンに酷似した塊。
 フォルニスが軽く口角を上げると、その塊から強い紫色の光が発して一瞬のうちに俺達を包み込んだ。
 そして視界が開けると、そこは――

人族神じんぞくしんアルティマ様だ」

 狭間はざま神塔しんとう
 アイツ・・・はこの場所を、そう呼んでいた。

 物理的にあり得ない、奈落に向かって伸びる美しい巨塔。
 その入り口で、腕を組みながら待つ少年が一人。
 魔界へ旅立とうとする俺たちの前に立ちはだかり、一時フォルニスをけしかけて殺そうとしてきたアイツ・・・がいた。

「やぁ、久しぶりだね。ネクロマンサーくんとそのお仲間さんたち。元気そうで何よりだよ」

 彼は子供のような無邪気な笑顔で小さく手を振り迎えてくれたが、強制的に連れてこられたばかりの俺達は状況の整理が追い付いていない。
 人族神――つまりは、人間族を生み出した種族神ということか。
 やはり黒フードが言っていた神はコイツだったという事だな。
 何となく察してはいたけれど、今ここではっきりと知ることが出来た。

「あぁ、この姿については気にしないでね。ボクの力で作った映像みたいなものだから。こうでもしないとキミたちはボクを満足に認識する事すらできない。それだと落ち着かないだろうしね」

 相変わらずの尊大な口ぶりだ。
 だけどきっとその言葉に偽りはないのだろう。
 現に依然ここを訪れた時は、アルティマの姿形をとらえる事が出来なかった。
 目の前に立っているはずなのに、そこに本物はいないとすら感じたくらいだ。

「フォルニス。ご苦労だったね。後の事はボクがやろう」

「はい。ありがとうございます」

「さて、どこから話したものか。まずはボクの眷属、聖竜アズラゴンの件に関しては感謝しているよ。まさか魔界でそんなことが起きているとは思わなかった」

「……ああ、あの竜は本当に手ごわかった。少しでも作戦が嚙み合わなかったらこっちが死んでいた」

「それだけじゃなく、彼を魔障に堕とした張本人と対峙したそうだね」

「……ああ、あの黒フードか」

 ――人間界をいただく。そのためには戦争だ。

 魔障竜との戦いを終えた俺達の前に現れたあの奇妙な男。
 聖竜を魔障に堕とした張本人と名乗り、人間界に攻め込むと言っていた。
 
「何者なんだ、アイツは? 自らを魔族の解放者とか名乗っていたが」

「これは推測も混じるけれど、恐らく奴はボクと対を成す神――魔族神まぞくしんディアブレル、もしくは彼の手の者だと思っていい」

「魔族神ディアブレル、だと?」

「……あれがわたしたち魔族の、神?」

「ちょ、ちょっと待ってくれ! レイルくんもみんなも! いきなり神とか言われても唐突過ぎて何が何だかさっぱり分からないんだけど……」

 ああ、そうだった。ヴィクトの事をすっかり忘れていた。
 ヴィクトは俺達と違いこの場所に来たこともなければ、アルティマと話した事すらない。
 そもそも今どういう状況にあるのかすらも全く理解できていない事だろう。

「……再確認の意味も込めて、一から説明してもらえるか?」

「そうだね。ではまず改めて自己紹介から行こうか。ボクはこの世界を生み出した二大神の片割れにして、人間族の生みの親。人族神アルティマだ。そして――」

「人族神アルティマ様と魔族神ディアブレル様の二神によって生み出された原初の種族――魔人族のフォルニスだ」

「そう。フォルニスは人間族と魔族のハーフではなく、ボクたち二人がさいしょにつくりだした知性ある種族、と言う訳だ」

 ハーフではなく原始種オリジナル
 俺がフォルニスにハーフなのかと聞いた時に、遠くはないが根本が間違っていると言っていた理由がこれか。
 見誤っていた。ただのハーフが神の使いになるわけもない、か。

「そしてここは人間界と魔界を繋ぐダンジョンの中間層、狭間の世界。キミたちは既にあの黒フードからこの世界のことをいろいろ聞かされたそうだけど、大方それは真実であると認めよう・・・・・・・・・・

「――っ!!」

「そしてそれについて語るには、遥か昔。ボクたちがまだ地上にいた頃の話をしなければいけない」

 さて、どこから話したものか。
 そう言ってアルティマは一呼吸置き、ゆっくりと口を開いた。

しおりを挟む
感想 75

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい

夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。 彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。 そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。 しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。