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同棲
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「え!?絶倫!?」
俺は驚いて、ここが公園だと言うのを忘れて大きな声を出してしまった。そんな俺をシーっと指を立てて注意したのが、同じオメガの近藤だ。
さっき、近藤が財布をスラれそうになっていて、思わず声をかけた。
声をかけたら、そいつの首に歯型があった。こんな平凡な顔のオメガ初めて見たなっと思っていたら、そいつも俺の首輪を見て驚いた。まぁ、こんなガチムキなオメガいないもんな。
近藤はお礼にと缶ジュースを奢ってくれたので、公園のベンチに座って世間話をした。
俺は今まで、誰かに東吾の・・・アルファの事を話した事はなかった。
だけど、近藤があまりにあっけらかんと話す様子を見て、思わず俺も話し出していた。
「アルファの執着って凄くない?気が付いたら手の上で踊らされている感。」
「俺も。いつの間にか出口がなくて怖いわ。」
それも分かる!と近藤も言う。
そうか。やっぱり、アルファってそういう生き物なんだな。
「でもさ、絶倫は凄いな・・・。」
俺がそういうと、近藤はえ?という顔をした。
「六の番は違うの?」
アルファは絶倫が多いらしい。・・・初めて知った。
「・・・。」
東吾は俺に合わせてくれている。普段の生活もそうだけど、性行為は尚更丁寧だ。
多分、東吾は手加減いっぱいしてくれている。
そもそも、俺、挿れられるだけでイってしまう“ところてん”だ・・・とは言えない。しかも、毎回。
自分でも本当におかしいとは思っているんだ。
気持ちよすぎて東吾がイク1回もしくは2回(俺は何度もイク)で失神してしまう。
「いや。俺、そのレベルに至ってないわ。お前、レベル高い。」
そう言うと、近藤はえ!?まさかキスどまり!?とか物凄い勘違いしていたけど、訂正すると恥ずかしすぎるから黙っておいた。
「俺、マンションに越してきたばかりで今日から一緒に住むんだけど、近藤も今から遊びに来ねぇ?」
すると、近藤が物凄い神妙な顔をした。
「六。俺もオメガっぽくないけど、お前も相当だな。いいか。アルファとの住まいに他人を入れるな!後でどうなっても知らないぞ。俺も昔親友を部屋に招いたんだ・・・その日から朝も昼も夜も暫くベッドの住人になったんだ。」
怖かった。ヤリ殺されるかと思った。と近藤が頭を抱える。近藤の番ってどんなアルファなんだ?
・・・まぁ、アルファって生き物はどいつもこいつもねちっこい奴って事は分かった。
なんだか、近藤と話していて自分を客観的に見る事が出来て良かった。誰かに話しを聞いて共感されたかったのかもしれない。
近藤とは結構住まいが近い事が分かり、また近々会う話をしてわかれた。
マンションに着き、俺は、自分たちの部屋のドアをじっと見た。
「はーー・・・。」
それから、グッと腹に力を入れた。
ドアを開けたら、東吾はいなかった。大学へ行っている時間か。
玄関からさらに部屋に入ると、微かに東吾の匂いがする。俺は、鼻をつまんで急いで買ってきていたファブ〇ーズをしゅっしゅっと吹きかけた。
「はーーーー。はぁ。はぁ。しんど。」
息止めてた。
東吾が俺と一緒に暮らす為に用意した部屋。昨日確認したけど、やっぱりデカい。家賃いくらだよ。
俺が以前暮らしていたアパートは引き払った。
あのアパートには東吾が押しかけてくるようになった。東吾の大学から片道2時間の距離なのに、毎日来た。
狭いアパートにガタイのいい男二人。
「よく、そんなので7月まで俺を放置(?)してたよな。」
ちょっと落ち着いた時に東吾に聞いてみた。コイツ、会いに来たすぐの頃やたらピリピリしてたから。
でも、東吾ならすぐに会いに来れたはずだろ。
「可愛い奴には旅をさせろ。と言うだろう。」
初めが無理やりだったから、お前の意志も尊重したかった。と付け加えた。
なんか、余裕か。なんか余裕で見守られていたのか!?
ぐぬぬぬっと悔しがっていたら、俺が苦しくないとでも思うのか?と東吾が言った。
「・・・。」
「逃がすつもりは毛頭なかったがな。」
そんな事を言いながら、東吾がこのぼろいアパートに本格的に住むとか言い出した。
もう、諦めるしかないだろう。
仕事を辞める時、あぁ、東吾さんが迎えに来たんだねっと爺さんが言っていた。この町工場、東吾会社の下請けで部品を作っていたんだって。もう、知らねぇよ。
それから、新居については言い合ってたけど、結局東吾に押されて(負けて)この部屋に住むことになった。
部屋は予め、寝具も家具も用意されていた。
昨日、俺は自分の荷物だけサッと置きに来た。住むのは今日からだ。
これから、毎日ここで暮らすのか。この東吾の匂いのする部屋で・・・。
「憂鬱だ。」
ソファに座って求人冊子をパラパラめくっていたら、雨が降ってきた。
「あ、アイツ洗濯物干してんじゃんっ!!」
俺は、急いで洗濯物を部屋に入れた。洗濯物は乾いていたから畳んでやろうと思った。
東吾の服か・・・。
シンプルだけど素材がいい服ばかりだ。
気が付いたら、東吾の服をスンっと嗅いでいた。あー・・・全然匂いしない。
ってコレ、本当にヤバい。
変質者になった気分だ。服が石鹸のいい匂いしかしない事が不満だなんておかしいだろ。
頭を振って、洗濯物をたたんで、昨日教えてもらった寝室横のクローゼットに向かった。
寝室に入ると、他の部屋より東吾の匂いがした。
布団。ここにいつも東吾が寝てんのか。
洗濯物をクローゼットの中に入れて、また布団を見た。
一緒に暮らしたら、色々ボロが出てしまいそうで嫌なんだ。嫌なんだけど・・・
でも、少しなら・・・。少しだけなら、いいよな?
それから、ベッドの布団をめくり、がばっと顔をひっつけた。
「・・・っ。」
東吾のいい匂いがする。しばらく、嗅ぎまくってしまっていた。
「はっ!ダメだ!何をやっているんだっ!?俺は変態か。変態なのか。」
ダメだ。これから毎日一緒に住むなんて考えられない。日中は出来るだけ仕事しよう!!
離れようとするけど、でも、やっぱり好きな匂いがする。
まだ、東吾は帰って来ないし、もう少しだけこうしててもいいよな。
そうして、上布団を被り頭まですっぽり入った。
しばらくのつもりだった。
でも、気が付いたら物凄く安心して寝てしまった。
パラパラっと紙が擦れる音がする。
「?」
寝ぼけた頭で目を開けると、東吾がベッドの端に座って本を読んでいた。
「起きたか。」
ひっ!
俺はがばっと起き上がった。あ、なんで東吾の枕を抱きしめてんだっ!?
寝るつもりなんかなかったのに、東吾の匂いが気持ちよくて寝てたなんてキモすぎる。ドン引きだ。
「すまん。お前のベッドの方が気持ちよさそうで寝てた。」
気まずい。番とは言え他人なのに入居初日から勝手にベッドに入り込むなんて。
「六のベッドと全く同じだが。」
くくっと笑う東吾。なんかご機嫌だな。
「一緒に住むとはいい事尽くめだな。」
すると、東吾は俺に覆いかぶさってきた。
「おい。」
「俺にはしないのか。」
「?」
何をするって?
「その枕に抱き着いて匂いを嗅いでいるみたいに俺にはしないのか。」
「!?」
ぐあぁああっと一気に顔に血が昇った。
なんて恥ずかしい奴だ。寝ながら何やってるんだ!俺は変態か。
「し、しないっ!!というか、どけ。夕飯作るからっ!」
穴があったら入りたい。というか、俺この先、一緒に住んで大丈夫だろうか。
どけどけっとグイグイ押していると、東吾が俺のシャツの中に手を伸ばしてくる。
「わ、や・・・やめろ。」
胸をやわやわと揉まれ、乳首が尖りだしてくる。それを指先でカリッとされるだけで下もすぐに反応してしまう。
やめろしか言わない俺の唇を東吾が防ぐ。
「・・・っん。」
なんか、今日は優しいキスなのが嫌だ。
キスしながらも、東吾の手は止まらない。あっという間に俺の抵抗力が奪われてしまう。
「ふっ・・・ん。ん。」
胸をいじられながら、尻の窪みに手を這われる。
自分でも嫌になる。それだけで期待して気持ちよくなれる。東吾が入ってくる期待に内部が溢れてしまう。
「あ・・・あのさ、俺っあ、ちょっと待て。俺、長く持たないから、あんまり愛撫しなくてもいい。」
俺の肌に口づけしていた東吾が俺の方を見た。
「お前は内部の感覚が鋭いから、よく慣らさず挿れるとそれだけで感じて意識失うだろう。覚えていないのか?」
「へ・・・え?」
そうだっけ?そういえば、高校の時にエッチしだした時は、そんな事もあったような・・・。
俺、本当に残念な奴。
東吾が必要以上に丁寧な愛撫なのは、俺のせいだったんだ。
「め、面倒くさくて悪かったなっ!?」
「何がだ。俺のモノを挿れただけでイってしまう番の姿には愛おしさしか感じない。」
くそ・・・そのギラギラした目でなんつーこと言うんだよ。いつもは好きだの一言なのに急にどうしたんだよ。
それとも、東吾も俺と同じで興奮しているのか?
東吾はいつものように馬鹿丁寧に愛撫をして俺を高めていく。
なんだろう。いつも以上に気持ちいい。
「変っだ!ご、ごめ・・・ん。も、ホント入れて。」
我慢出来なくて、東吾の首に抱き着いてねだった。今日は、おかしい。なんでだ?
東吾も俺の様子が伝わったようで、自身をゆっくりと俺の中に押し込んでいく。
「ひっくっ、んっ・・・っ!」
巻きつけた腕に力を入れて、物凄い衝動が巡っていくのを耐えているのに、俺の意志とは関係なくイってしまう。
「ひぅ・・・う。あ、あ。」
びくびくと痙攣している身体を東吾が優しく抱きしめる。その匂い・・・。
「っ!」
そうだ!東吾の寝室で東吾に囲まれているからだ。だから、こんなにっ・・・!?
東吾が俺にキスしながら、「大丈夫か?」と聞いてきた。
はーっはーっと答えられずにいるが、ようやく頷けた。
すると、東吾がようやく動き出す。
動かされる度、自分の内部がうねる。ずっと止まらない。
東吾が気持ちよくなっているのが匂いで分かった。むせ返る匂い!!
頭がおかしくなりそうだ。
「と、東吾っ!んうぅーー・・・っ東吾っ!!」
気持ちよさが怖いと思ったのは初めてだった。空間全部が東吾の匂いで身体がおかしくなっている。
そんな俺の身体をぎゅうっと抱きしめた。
・・・まだ、首を噛まれない。
そう思うと気持ちよさの中で寂しさを感じた。
「か・・・噛んで。」
聞こえるか聞こえないか小さい声だった。
東吾の喉が鳴る音が聞こえる。肉食獣みたいだ。
それから、俺の首輪を外した。
「噛むぞ。六。」
いつもは確認なんかしないのに。
いつもは勝手に噛んでいるのに。なんで?俺が噛んでと言ったから?
「・・・んで。」
噛んで。
そう言うと、東吾は俺の首に唇をあて、グッと力を入れた。
点滅する光と快感。
俺の意識が途切れそうな時、東吾が好きだと抱きしめてきた。
「東吾ぉ・・・。」
あの時、お前から離れた時、バラバラに感じた手足が戻ってきた気がした。
おわり
俺は驚いて、ここが公園だと言うのを忘れて大きな声を出してしまった。そんな俺をシーっと指を立てて注意したのが、同じオメガの近藤だ。
さっき、近藤が財布をスラれそうになっていて、思わず声をかけた。
声をかけたら、そいつの首に歯型があった。こんな平凡な顔のオメガ初めて見たなっと思っていたら、そいつも俺の首輪を見て驚いた。まぁ、こんなガチムキなオメガいないもんな。
近藤はお礼にと缶ジュースを奢ってくれたので、公園のベンチに座って世間話をした。
俺は今まで、誰かに東吾の・・・アルファの事を話した事はなかった。
だけど、近藤があまりにあっけらかんと話す様子を見て、思わず俺も話し出していた。
「アルファの執着って凄くない?気が付いたら手の上で踊らされている感。」
「俺も。いつの間にか出口がなくて怖いわ。」
それも分かる!と近藤も言う。
そうか。やっぱり、アルファってそういう生き物なんだな。
「でもさ、絶倫は凄いな・・・。」
俺がそういうと、近藤はえ?という顔をした。
「六の番は違うの?」
アルファは絶倫が多いらしい。・・・初めて知った。
「・・・。」
東吾は俺に合わせてくれている。普段の生活もそうだけど、性行為は尚更丁寧だ。
多分、東吾は手加減いっぱいしてくれている。
そもそも、俺、挿れられるだけでイってしまう“ところてん”だ・・・とは言えない。しかも、毎回。
自分でも本当におかしいとは思っているんだ。
気持ちよすぎて東吾がイク1回もしくは2回(俺は何度もイク)で失神してしまう。
「いや。俺、そのレベルに至ってないわ。お前、レベル高い。」
そう言うと、近藤はえ!?まさかキスどまり!?とか物凄い勘違いしていたけど、訂正すると恥ずかしすぎるから黙っておいた。
「俺、マンションに越してきたばかりで今日から一緒に住むんだけど、近藤も今から遊びに来ねぇ?」
すると、近藤が物凄い神妙な顔をした。
「六。俺もオメガっぽくないけど、お前も相当だな。いいか。アルファとの住まいに他人を入れるな!後でどうなっても知らないぞ。俺も昔親友を部屋に招いたんだ・・・その日から朝も昼も夜も暫くベッドの住人になったんだ。」
怖かった。ヤリ殺されるかと思った。と近藤が頭を抱える。近藤の番ってどんなアルファなんだ?
・・・まぁ、アルファって生き物はどいつもこいつもねちっこい奴って事は分かった。
なんだか、近藤と話していて自分を客観的に見る事が出来て良かった。誰かに話しを聞いて共感されたかったのかもしれない。
近藤とは結構住まいが近い事が分かり、また近々会う話をしてわかれた。
マンションに着き、俺は、自分たちの部屋のドアをじっと見た。
「はーー・・・。」
それから、グッと腹に力を入れた。
ドアを開けたら、東吾はいなかった。大学へ行っている時間か。
玄関からさらに部屋に入ると、微かに東吾の匂いがする。俺は、鼻をつまんで急いで買ってきていたファブ〇ーズをしゅっしゅっと吹きかけた。
「はーーーー。はぁ。はぁ。しんど。」
息止めてた。
東吾が俺と一緒に暮らす為に用意した部屋。昨日確認したけど、やっぱりデカい。家賃いくらだよ。
俺が以前暮らしていたアパートは引き払った。
あのアパートには東吾が押しかけてくるようになった。東吾の大学から片道2時間の距離なのに、毎日来た。
狭いアパートにガタイのいい男二人。
「よく、そんなので7月まで俺を放置(?)してたよな。」
ちょっと落ち着いた時に東吾に聞いてみた。コイツ、会いに来たすぐの頃やたらピリピリしてたから。
でも、東吾ならすぐに会いに来れたはずだろ。
「可愛い奴には旅をさせろ。と言うだろう。」
初めが無理やりだったから、お前の意志も尊重したかった。と付け加えた。
なんか、余裕か。なんか余裕で見守られていたのか!?
ぐぬぬぬっと悔しがっていたら、俺が苦しくないとでも思うのか?と東吾が言った。
「・・・。」
「逃がすつもりは毛頭なかったがな。」
そんな事を言いながら、東吾がこのぼろいアパートに本格的に住むとか言い出した。
もう、諦めるしかないだろう。
仕事を辞める時、あぁ、東吾さんが迎えに来たんだねっと爺さんが言っていた。この町工場、東吾会社の下請けで部品を作っていたんだって。もう、知らねぇよ。
それから、新居については言い合ってたけど、結局東吾に押されて(負けて)この部屋に住むことになった。
部屋は予め、寝具も家具も用意されていた。
昨日、俺は自分の荷物だけサッと置きに来た。住むのは今日からだ。
これから、毎日ここで暮らすのか。この東吾の匂いのする部屋で・・・。
「憂鬱だ。」
ソファに座って求人冊子をパラパラめくっていたら、雨が降ってきた。
「あ、アイツ洗濯物干してんじゃんっ!!」
俺は、急いで洗濯物を部屋に入れた。洗濯物は乾いていたから畳んでやろうと思った。
東吾の服か・・・。
シンプルだけど素材がいい服ばかりだ。
気が付いたら、東吾の服をスンっと嗅いでいた。あー・・・全然匂いしない。
ってコレ、本当にヤバい。
変質者になった気分だ。服が石鹸のいい匂いしかしない事が不満だなんておかしいだろ。
頭を振って、洗濯物をたたんで、昨日教えてもらった寝室横のクローゼットに向かった。
寝室に入ると、他の部屋より東吾の匂いがした。
布団。ここにいつも東吾が寝てんのか。
洗濯物をクローゼットの中に入れて、また布団を見た。
一緒に暮らしたら、色々ボロが出てしまいそうで嫌なんだ。嫌なんだけど・・・
でも、少しなら・・・。少しだけなら、いいよな?
それから、ベッドの布団をめくり、がばっと顔をひっつけた。
「・・・っ。」
東吾のいい匂いがする。しばらく、嗅ぎまくってしまっていた。
「はっ!ダメだ!何をやっているんだっ!?俺は変態か。変態なのか。」
ダメだ。これから毎日一緒に住むなんて考えられない。日中は出来るだけ仕事しよう!!
離れようとするけど、でも、やっぱり好きな匂いがする。
まだ、東吾は帰って来ないし、もう少しだけこうしててもいいよな。
そうして、上布団を被り頭まですっぽり入った。
しばらくのつもりだった。
でも、気が付いたら物凄く安心して寝てしまった。
パラパラっと紙が擦れる音がする。
「?」
寝ぼけた頭で目を開けると、東吾がベッドの端に座って本を読んでいた。
「起きたか。」
ひっ!
俺はがばっと起き上がった。あ、なんで東吾の枕を抱きしめてんだっ!?
寝るつもりなんかなかったのに、東吾の匂いが気持ちよくて寝てたなんてキモすぎる。ドン引きだ。
「すまん。お前のベッドの方が気持ちよさそうで寝てた。」
気まずい。番とは言え他人なのに入居初日から勝手にベッドに入り込むなんて。
「六のベッドと全く同じだが。」
くくっと笑う東吾。なんかご機嫌だな。
「一緒に住むとはいい事尽くめだな。」
すると、東吾は俺に覆いかぶさってきた。
「おい。」
「俺にはしないのか。」
「?」
何をするって?
「その枕に抱き着いて匂いを嗅いでいるみたいに俺にはしないのか。」
「!?」
ぐあぁああっと一気に顔に血が昇った。
なんて恥ずかしい奴だ。寝ながら何やってるんだ!俺は変態か。
「し、しないっ!!というか、どけ。夕飯作るからっ!」
穴があったら入りたい。というか、俺この先、一緒に住んで大丈夫だろうか。
どけどけっとグイグイ押していると、東吾が俺のシャツの中に手を伸ばしてくる。
「わ、や・・・やめろ。」
胸をやわやわと揉まれ、乳首が尖りだしてくる。それを指先でカリッとされるだけで下もすぐに反応してしまう。
やめろしか言わない俺の唇を東吾が防ぐ。
「・・・っん。」
なんか、今日は優しいキスなのが嫌だ。
キスしながらも、東吾の手は止まらない。あっという間に俺の抵抗力が奪われてしまう。
「ふっ・・・ん。ん。」
胸をいじられながら、尻の窪みに手を這われる。
自分でも嫌になる。それだけで期待して気持ちよくなれる。東吾が入ってくる期待に内部が溢れてしまう。
「あ・・・あのさ、俺っあ、ちょっと待て。俺、長く持たないから、あんまり愛撫しなくてもいい。」
俺の肌に口づけしていた東吾が俺の方を見た。
「お前は内部の感覚が鋭いから、よく慣らさず挿れるとそれだけで感じて意識失うだろう。覚えていないのか?」
「へ・・・え?」
そうだっけ?そういえば、高校の時にエッチしだした時は、そんな事もあったような・・・。
俺、本当に残念な奴。
東吾が必要以上に丁寧な愛撫なのは、俺のせいだったんだ。
「め、面倒くさくて悪かったなっ!?」
「何がだ。俺のモノを挿れただけでイってしまう番の姿には愛おしさしか感じない。」
くそ・・・そのギラギラした目でなんつーこと言うんだよ。いつもは好きだの一言なのに急にどうしたんだよ。
それとも、東吾も俺と同じで興奮しているのか?
東吾はいつものように馬鹿丁寧に愛撫をして俺を高めていく。
なんだろう。いつも以上に気持ちいい。
「変っだ!ご、ごめ・・・ん。も、ホント入れて。」
我慢出来なくて、東吾の首に抱き着いてねだった。今日は、おかしい。なんでだ?
東吾も俺の様子が伝わったようで、自身をゆっくりと俺の中に押し込んでいく。
「ひっくっ、んっ・・・っ!」
巻きつけた腕に力を入れて、物凄い衝動が巡っていくのを耐えているのに、俺の意志とは関係なくイってしまう。
「ひぅ・・・う。あ、あ。」
びくびくと痙攣している身体を東吾が優しく抱きしめる。その匂い・・・。
「っ!」
そうだ!東吾の寝室で東吾に囲まれているからだ。だから、こんなにっ・・・!?
東吾が俺にキスしながら、「大丈夫か?」と聞いてきた。
はーっはーっと答えられずにいるが、ようやく頷けた。
すると、東吾がようやく動き出す。
動かされる度、自分の内部がうねる。ずっと止まらない。
東吾が気持ちよくなっているのが匂いで分かった。むせ返る匂い!!
頭がおかしくなりそうだ。
「と、東吾っ!んうぅーー・・・っ東吾っ!!」
気持ちよさが怖いと思ったのは初めてだった。空間全部が東吾の匂いで身体がおかしくなっている。
そんな俺の身体をぎゅうっと抱きしめた。
・・・まだ、首を噛まれない。
そう思うと気持ちよさの中で寂しさを感じた。
「か・・・噛んで。」
聞こえるか聞こえないか小さい声だった。
東吾の喉が鳴る音が聞こえる。肉食獣みたいだ。
それから、俺の首輪を外した。
「噛むぞ。六。」
いつもは確認なんかしないのに。
いつもは勝手に噛んでいるのに。なんで?俺が噛んでと言ったから?
「・・・んで。」
噛んで。
そう言うと、東吾は俺の首に唇をあて、グッと力を入れた。
点滅する光と快感。
俺の意識が途切れそうな時、東吾が好きだと抱きしめてきた。
「東吾ぉ・・・。」
あの時、お前から離れた時、バラバラに感じた手足が戻ってきた気がした。
おわり
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