獣人王の想い焦がれるツガイ

モト

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愛欲※

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「あ……あのさ、王様……ん」
「コバ、名前で呼んで欲しい」
「ケ、イネス……」

 チャプン。と目を覚ましたら、ケイネスによって風呂に入れられ身体を洗われていた。





 ケイネスと和解して、一週間。
 彼は俺を見るとすぐに傍にきて甘い言葉で口説いてくる。
 現在別々の部屋に寝ているが、同室を希望されていた。俺は無理だと拒否をしたが、彼は何かとしつこく二言目には「気が変わらないだろうか」と聞いてくる。

「では、今日は部屋に来て欲しい」
「……う~ん」
「来て欲しいな」

 廊下の真ん中で抱き上げられ、頬をスリスリ寄せてくる。そんな彼にまだ慣れず緊張してしまう。

「離してよ……」

 彼の胸を押して、地面について数歩後退る。
 廊下なので勿論召使いもいる。俺達の様子を全く気にする素振りはないが、どうしても視線が気になる。

「少しいい? 俺とのこと少し決めておこう!」

 王には公務がある。忙しい時間を割いて自分の時間を作ろうとしないでほしい。
 それに毎回、来て欲しいと強請られることにも羞恥心の限界を感じていた。

 ──四日に一度、閨に入る。

 俺がそう言うと、ケイネスの額から血管がぷくりと現れニコリと笑った。
 ケイネスからしたら、運命の番とのようやくの蜜月。離れていた分の反動で少しでも密にしたいのだそうだ。
 
「大丈夫。公務に支障は出ないよ」
「これから出るかもしれない」
「出ないって」
「駄目だ」

 拒否の言葉を口にする度、ケイネスの全身から威圧のオーラを感じる。だか、頑固な俺に彼の方が折れた。

「では、暫くはそうしよう」

 渋々ケイネスは頷いたが、その表情は不満げだった。





 そして、……今日がその四日に一度、ケイネスの部屋に渡る日だ。
 部屋を訪ねると、彼は上機嫌だった。

「私に抱かれるためにやってくる、君の緊張した面持ちを見て待った甲斐があったよ」
「……」

 

 この瞬間は何より良い一興だとそう彼は微笑む。

 なんて言い方をするんだ。二度目からもっと緊張して行きにくくなった。

「おいで」

 室内には召使いが用意したブドウなどがあるが、まっすぐにベッドに向かった。俺をベッドに押し倒すと、唇が降ってきた。
 性急だが、一度彼の発情した匂いを嗅ぐと俺の身体もカッと熱くなる。服も脱がず身体を繋げた。

 一週間以上我慢したケイネスは一度果てても萎えず、止まりなかった。

「……ぁ……、ぁ、はぁんっ!! またっ!? やぁぅ、んっ」
「あぁ、もっと深く私を感じておくれ」
「やっぁ」

 彼の愛撫に飲まれて翻弄され、ただただ喘がされた。
 そして……
 気が付けば風呂に入れられていた。



「……ケイネス、王様に洗ってもらうのは気が引ける」

 王様に身体を洗ってもらうなどあってはいけないとコバは思いっきり拒否したいが、身体が疲弊して上手く動かせない。

 そう言えば、発情期の時も風呂に入れられたことがあった。あの時は意識が曖昧であったけれど今は意識がしっかりしている分、申し訳ない。

「……っ、ねぇ、身体を離してくれよ?!」

 ケイネスは俺を膝上乗せ湯船に浸かっている。

「何故? 君は召使いに身体を洗わせることが嫌いだと言うし、私も他の者に情事の後、触れてもらいたくない」

 ケイネスは甘い声で耳朶を噛みながら囁く。俺の身体の世話する事を喜びに感じているし、王の前に番なのだから気にしないで欲しいと訴えてくる。

「私が君に触れたいから、やらせて欲しい」

 そういうものなのだろうかと思いながらも、甘やかされることは悪い気がしない。

「他の者よりもっと特別になりたい」
「……」

 この王は本当に変わってる。
 俺がなにを言っても拒否してもケイネスは受け入れて、結果、こんなに甘い。

 温かい湯と背中にあたる体温はとても心地がいい。全身から力が抜けて彼に身を預けた。
 グズグズに溶かされてしまいそうだわ。

 だが、赤くて腫れぼったい胸の突起にスルリと指が触れてくるのには何か意図を感じる。

「おい……ん」
「ん?」

 再び、長くてゴツゴツした指が胸の突起に触れ軽くキュッと摘ままれた。

「あ、っ、うう……んっん……アンタッ」

 身を竦めて、背後から抱きしめてくるケイネスを見た。ケイネスは目を細めて、俺の首を舐めながら、摘まんだ乳首を上下に軽めに扱き始める。

「あっ。うぅんっ……あ、あっ、駄目っ乳首やだ!」

 駄目だと言っているのに、乳首を弄られる。治まった身体の熱がまた上がってくる。

「どうして?」
「うぁあんっあぁ、ん、ん……あっ。乳首触られたら……、また、気持ちい、く、なるから……っ」

 乳首を弄られる度、腹が疼くし陰茎が緩やかに勃起してくる。考えないようにしているが、尻にはケイネスの猛った性器がずっと当たっている。

「あぅっ。腰動いちゃ……止めて、乳首擦っちゃ駄目……」

 腰が上下に揺れ、ケイネスの太ももに性器を擦ってしまう。

「あーっ、ん、止めてって! あ、あうっ、動いちゃうからっ」

 力が入らない身体でケイネスの手を止めようとするが、カプリと肩を甘噛みされ吸われる。

 全身、彼のキスマークだらけだ。肩も太ももも胸も。前回付けられた痕がようやく消えたのにまた付けられている。

「……ぁんっ」

 痕、付けられるのが気持ちいいって自分でも引くわ……。

「きも、ちよく、なった、じゃん」

 ケイネスの方を向くと、彼の目が熱を孕んでいる。俺に対し「美しい」「色っぽい」「こんな可愛い人は知らない」など、絶世の美男子を相手にしているかのようだ。

「っアンタ、目がおかしいっ。も、黙って……くぅううんっ」

 クポッと彼の先端が後孔に挿れられた。
 肛門括約筋にカリが引っ掛けられて抜かれてまた引っ掛けられる。そうしながら乳首も弄られる為、早くも中イキしてしまう。

「美味しそう。蕩けている」
「ぁ……へ……あえっ」

 ヒクヒクと痙攣し蠢く内部にケイネスは舌なめずりをし、猛る性器を一気に奥へと押し込んだ。

「————っ!」

 ビクンビクン、俺の小さな身体は飛び上がった。逃げる身体をケイネスに封じられる。

「はぁはぁ——……、あっ、ん……あぅんっ!」

 息も落ち着かないうちに乳首を扱かれ、その刺激に振り向けば唇を塞がれる。
 口の中で暴れるケイネスの舌と、緩々尻の奥を性器で捏ねられる。

「君の気持ちいいところ擦ってあげる」
「へ……ぅ」

 そう言って、ケイネスは俺の両脇を持ち上げ、ちゅぽっと性器を抜いた。そして、俺を浴槽の縁にうつ伏せにさせると、尻をグッと高く上げさせる。

「あ……、み、見ない、で」

 後孔が蠢いて求めている。
 そこにペニスが宛がわれゆっくり挿いっていく。じっくり観察されている。
 挿入される快感と羞恥心で足が震えた。

「……ぅ、あっあっ!」

 ペニスが中にみっちりと挿いると、彼は俺の腰を掴み動き始める。
 前立腺というそうだ。自分の身体の中にこんなに気持ちいい部分があることに本当に驚いてしまう。

「……ぁ、あ、ぁっ、……っ、ぁあん」
「コバ、頭が溶けそう……」

 擦られる度、ピカピカと頭の中で光が点滅する。ケイネスが性器を抜き射精した後、もう一度浴槽で繋がった。



 ◇




 ……四日に一度は欲望が抑えられなくなることが分かった。

 次の日の朝起きるや、艶やかなケイネスの寝顔を見て思った。 
 喉も痛い、関節も痛い。だるい。出すもの全部搾り取られた。
 身体が丈夫な俺ですら唸る。これが四日に一度のペースなのは厳しい。

「はぁ」

 溜息をつくとケイネスの腕が伸びて来て、彼の胸に引き寄せられた。ギャッと悲鳴をあげそうなのをグッと我慢する。
 逞しい胸はいい匂いがする。

「コバがいる。ふふふ。宝石のような目、キレイな髪の毛、白い肌……ふふふ」

 くるくると俺の赤色の髪の毛を指に絡ませ、上機嫌だ。酔っ払いのように笑っている。

「…………」

 ほんと、恥ずかしい奴だな。
 暫くケイネスの好きにさせていると、彼の身体が再び欲情しているので驚き睨んだ。
 彼は苦笑いをしてベッドの縁に座った。俺も起き上がろうとして無理だったため、ケイネスに介護してもらって、彼の膝の上に乗せられた。

 ちゅっと額にキスをされ、日が暮れても明けても甘さが変わらないケイネスに笑った。

「——……あぁ、コバ、聞いて欲しい事がある。以前にも言ったが、君と婚姻を結びたい。そのための儀を行いたい」

「あぁ、はい」

 王妃になることはケイネスから言われていたので、儀式は当然あるものだと思っていた。頷いたが、彼が驚いている。

「ん? スラム街の人間だって結婚式くらい知ってるんだよ。ルムダンで結婚式を挙げている金持ちの奴らを何度も見たことがあるんだ。王様の結婚式っていうのはどういうのか知らねぇけど」

 すると、グッと肩を掴まれた。

「本当にいいのだね!? 一度婚姻を結んでしまえば、何があっても君は死ぬまで私の妃なのだよ!?」

「あ? そうなの。はい分かった」

 頷くと彼の目が左右に彷徨う。

「……あと、国民と他国からの訪問者への披露がある。人目が嫌なら……」

「あぁ。それが心配だったのか。俺、覚えは早い方だし、作法もなんとか覚えるよ。周りの人も教えてくれるだろうし」

 スラム街の少年なんぞと結婚したがる酔狂はケイネスだけだと思うが、彼が俺を望んでいることはもう分かっている。
 彼がこんな自分と結婚したいならば、俺だって男だし腹をくくるくらいはしたい。

「やるよ」

 要は彼のそばで頑張ることを伝えたいのだ。

「……そうか」

 ケイネスは頷くと、プルプルと口角が上がり、耳と尻尾を動かした。
 締りがない顔だ。でもその顔がとても嬉しそう。


「コバ、好きだ。私は君のような優しくて愛しい者は知らない」

 いや、だから、褒めすぎだろう? ムズムズしてくるんだけど。

 大層大事に抱きしめられ、反論する言葉を抑え静かにケイネスの唇が落ちてくるのを待った。
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