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モフモフの毛に包まって起きた。
レーベン……。
彼の温もりを感じながら朝を迎えるのにも随分慣れた。
彼の大きなピンクの肉球が視界に入り、俺を誘惑する。
肉球フニフニしてぇ……。
しかし、モフモフやフニフニを堪能しすぎると昼過ぎになってしまうので、上体をベッドから起こし背伸びをする。
今日は、外出予定だ。
『ホツ、おはよう』
「レーベン様、おはようございます」
レーベンも目を開けた。俺が挨拶を言うのを真似て、彼も挨拶をするようになったのだ。
大きかった魔獣は猫サイズになり、俺の膝に来て頬をペロリと舐めた。
「んふふふ」
そのくすぐったさ。
ん~、こうしているとまたレーベンで遊びたくなってしまう。
『ホツ、また怖い夢を見ていたのかい?』
「———え?」
レーベンが舐めていない反対側の頬を手で触ると濡れている。
……涙?
「なんで涙? ——あ、えっと、夢は見ていました。懐かしい友達の話です。俺と同じゲーム好きな奴でしたね」
夢は確かに見ていた。泣くような夢じゃなかった。
人懐っこく何かとお喋りが好きな友達だった。
俺は推しであるレーベンをよく友達に語った。そいつもレーベンの終わり方には納得していなかった。共感してくれて嬉しかった。
【ホツ。レーベンを助けるなんて無理だよ】
だけど、意見は食い違った。
あ———、これか? もしかして、これが涙を流した原因か? それで、俺はそいつになんて言い返したんだっけ? 俺は……それから?
『ホツ?』
「あっ! いえ、夢を思い出していました。今思い出しても大した夢ではないですね!!」
レーベンは俺の事をジッと見つめた。
『ホツは、裏山での出来事から、よく夢に捕らわれているね』
夢……
裏山での事は、あれから何度も思い出していた。ゲームで語られる事はなかったレーベンの過去は本当に俺の夢だったのか。
「……ふむ。起きてまだ、他の男の事を考えるのは浮気だね」
「!? えぇっ! 今考えていたのはレーベン様の事ですよ。それに聞いて来たのはレーベン様なのに……」
レーベンを見るとふわりと尻尾が揺れて、目を細めている。
も、もしかして、からかわれただけ!?
うぅ。っと言い返せずにいると、レーベンは猫の姿から人間の姿に変化した。彼のナイスバディが露わになって思わず目を閉じてしまう。
「もうっどうして服を着ての変化も出来るのに裸なんですか!」
俺の問いかけには答えず、座っている俺をベッドに押し倒す。
「うっ!? な、何やって……!!」
レーベンは、押し倒した俺に、虎が獲物を狙うかのようにゆっくりとした動作で上に跨ってくる。
「私は君に触れたくなるのは自覚しているからね。繋がって止まらなくなる前に、君の反応を待ちたいと思っていたけど、そろそろ繋がってみるかい?」
「……繋がる!?」
「君から求められたい男心もあるんだけどね」
「求める!?」
彼の手が後ろに回ってきて、尻を揉み解し、更に奥の後孔をズボンの上から指で軽く押さえてくる。
「前だけじゃなくて後ろからも、そろそろしようか」
耳をハムハムと甘噛みしながら美声で言ってくる。ギャー――!! そんなドラマCDあったら買います! じゃない!! ぎゃぁぁ!!
心の悲鳴を上げていると、ムチュウっとキスをされる。
あ、これはマズイコースだ!!
「レーベン様っ!!! 今日はお買い物行く日で————すっ!!!」
☆
「うむむむむむむ……」
俺とレーベンは、少し遠出して国で一番大きい都に来ていた。
レーベンは、白い民族衣装のようなスリットの入った白のロングシャツとパンツを穿はいて、長い髪の毛は緩めに三つ編みに結っている。シンプルさが彼の魅力を引き立たせている。
推しが非常に眩しくていいのだがぁ……。
女の子達がひっきりなしにレーベンに声をかけてくるのだ。村でも村娘が声をかけることはあるが、改めてレーベンはモテる存在だと認識する。
しかし、ハッキリ言って、もやもやするな。
普段二人だけで生活していると、どうもいかん。俺だけの~~!! なんて思っちゃう。うん。反省。毎日のようにキスしていても、独占欲みたいな事、思ってはいけない。
後に下がろうとした時、レーベンが俺の腰に手を回す。
「失礼、可愛い彼氏とデート中でね」
無表情が俺を見る時だけ微笑む。
……俺の眉間のシワも一気になくなってしまうではないか。レーベンあざとい。俺へのご機嫌取りも忘れない。
レーベンを見ると、楽しそうな目をしている。
「ズルいっす」
「そうかな。私はこういう男だけどね。さぁ、行こうか」
この街は、ゲームでは何度か訪れた事のある街だが、実際は始めてだ。商売人が行き来して賑わっている。
随分、歩き慣れた様子で前を歩くレーベンに、以前来た事があるのかと問うと、北の塔に捕まっている時に分身を出して来たのだと言った。
「そっか。分身…………。よかったです」
レーベンには、色々な物を楽しむ余裕がある。
なんでそんな風に思えるのだろう。人間の酷い所は何度となく見てきたはずなのに。
彼は、人間の事を憎んでいない。勿論、魔族の事も。
ショーウインドーの前でこれまた急にレーベンが止まるので、後ろを歩いていた俺は彼にぶつかる。
ま、また、このマイペースさんめ。
俺は、さして高くもない鼻を擦りながら、レーベンの視線の先を見る。
げ……、もしかして、また!?
「ふむ。飾っているこの服、ホツに似合いそうだね」
「いらないっす!! ———って、あぁあ! 聞いてないっ!!」
いらないと言っているのに、レーベンが服屋に連れ込もうとする。こうなると俺はレーベンの着せ替え人形になるのは分かっているので、必死に入店を拒否する。
もう一度要らないと言おうとした時、空から魔族が吹っ飛んできて、服屋がドシャーンと壊れた。
「っひぎゃあぁ!! え!? なになになに!?」
レーベンの腕に思わず掴まる。
突然、魔族が降ってきた!!
空と壊れた店を交互に見ていると、店の瓦礫の中から魔族が立ち上がった。
周囲の人間は、急に現れた魔族に騒ぎになり、逃げ惑う。
「この魔族め!」
空からデカい声。人間だ。冒険者の中に魔法使いがいるのか、空を飛んでいる。
どうやら、どこかで人間VS魔族が始まっていたようだ。
吹っ飛ばされた魔族はかすり傷も負っていない。
その様子に冒険者達は、悪態をつき、街中だと言うのに、街の人をそっちのけで戦闘をおっぱじめた。
人間の弓使いが矢を放った。
だが、かなり下手でピュンピュンとあらぬ方向に飛びまくっている。
街の人は大ブーイングだ。
その矢が俺の方向に飛んでくるが、レーベンがシールドを作ってくれ矢は跳ね返った。
街の人達にも、彼がシールドを作ってくれる。
「や、優しい!」
「まぁね。————はぁ、ホツに着せようと思った服がこれでは台無しだね。さらに、このまま勝敗が付かないと逃げる人間達で渋滞し帰るのが遅くなって君と家で触れ合えなくなってしまう」
「———……レ、レーベン様」
腕を組んで何かと恥ずかしい事を言っているレーベンは次の瞬間、手を人間側に向ける。すると、何もないのに人間達が吹き飛んだ。それに驚いた魔族がレーベンに向かってくるが、レーベンに近づいた瞬間、何かに驚き動きが止まった。
動きの止まった魔族にも容赦なく手を翳し、彼方へ吹き飛ばした。
「……ほへぇえ」
一瞬で騒ぎが終わった! 凄い!! 流石すぎる!!
「騒がしいのは嫌いでね」
「ふぉおおお~」
俺が拍手すると、周りの人間達も拍手し始める。
さて、行こうかと俺を誘導してくれるレーベンの斜め向こう側、俺の丁度視野に入る所で俺達を指を指している人がいる。ローブを被っていて顔がすぐに分からなかった。
注目されているのはレーベンだけだと思って視線を戻した……が、慌ててもう一度、その指を指していた人の方に目を向ける。
俺も指を指した人を指した。その男は頭に被っていたローブを外した。
「あぁあああ!! シドル!?」
遠くてもよく分かる、猫目の紫髪の男!!
「ホツ……!!! ようやく見つけたよ!!」
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