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番外編2 君が輝いて見える
◇
アポイントなく拓郎君のマンション前に来ていた。
最近、彼からアポイントを断られるケースが多い。返信はちゃんとくるのだが、いい返事をもらえないでいた。
僕はマンションを見上げ、拓郎君の部屋に灯りが付いていることを確認する。
「——ふ……」
何を不安がっている清一郎。拓郎君と僕は付き合っている。ちょっと手紙を渡すくらい大丈夫だろう。
彼のマンションのインターフォンを鳴らす。『……はい』と拓郎君の声。
「急にすまない。清一郎だ」
名乗ると、暫く後に『——え、せいちゃん!?』と慌てる声が聞こえる。
あぁ、そんなに慌てさせて申し訳ない。
ドアが開くと、拓郎君が顔をのぞかせ僕を見て「普通だ……」と怪しむような顔をする。
「急に来て済まない。少し時間はあるだろうか?」
玄関先で手紙だけ渡すのでもよかったのだが、風呂上りらしい濡れた髪の毛の彼があまりに可愛いものだから、少し欲をかいてしまった。
「…………うん。散らかってるけど、どうぞ」
「ありがとう。アポイントなく来てしまったので用が済んだらすぐに帰————」
帰るよという言葉は衝撃で失った。
僕を部屋に招く彼。
風呂上りの彼は、少し濡れた髪の毛に白い大きめのTシャツとジャージ姿だ。
「……っ!!」
鼻血が出そうなので口元を押さえた。大丈夫だ。鼻血は出ていない。しかし、そう思うくらいの刺激はあった。
そのTシャツはお気に入りなんだね。
分かるよ。自分に合う着心地の服ってあるからね。
何度も何度もその服を着ているのだろう。大きめの服は少しクタクタになっている。可愛いのだが、彼の胸が若干、す……透けているのだ。
「——ゴクン」
み、魅惑的すぎる!!
どうしたら、いいのだ。アポイントなく急に来て、その部位をジッと眺めるなど紳士のすべきことではない。
しかし、僕は、そのエンジェルトラップに打ち勝って見せる!
その胸をもっと見たい、なんなら服を脱がせたい! そう思う心に必死に抗う。目線を必死に彼の胸から外す。なんとか、案内されたテーブル前に座った。
「せいちゃん、お茶しかないけど、どうぞ」
そう言って、僕の前に拓郎君がかがんでお茶を差し出してくれる。襟首の広がるそのTシャツがビロ~ンと広がっ————……乳首、シャイン!!!!!!!!!!
「はぁっ!!」
服から見える彼の小さなシャイン乳首に僕は思わず悲鳴を上げてしまう。
言葉を失う迫力だ……。
目が勝手に彼の重力に導かれてしまう!! 尖って……る……。その小ぶりの乳首はまるで小惑星か? 僕の手が君の小惑星に着陸したいと疼き出す。……いいや!! 駄目だ!! 理性的になれ!!
「お茶、ありがとう。頂くよ」
お茶を持つ手が震えてしまう。
彼と抱き合って、もう何日も身体を繋いでいない僕になんという試練を与えるのだ。
一度目は我慢できなくて性急だったため、二度目は夜景のキレイなホテルでと計画しているんだ。身体だけではない、心まで甘く溶かす手筈であっただろう!?
耐えろ。耐えるんだ。清一郎。
「せいちゃん、どうしたんだ? 用事ってなに?」
「————……あぁ、君と言う名の甘いトラップに引っかかりたい」
は? と拓郎君の冷静な声に僕は理性を取り戻す。ゴホンと咳払いして用件を伝える。
「……すまない。拓郎君に手紙を持ってきたんだ」
「手紙? 俺に? なんで?」
「僕と一緒に暮らすメリットについて書いてみた。是非読んでほしい」
「……」
手紙を受け取った拓郎君が苦笑いをして困った顔をした。
——……焦り過ぎだと分かっている。前回断られて、まだ日も経っていない。だけど、会える時間が本当に少ないのだ。
彼は頬を指で掻いて視線を彷徨わせた。
やっぱり、断わられるのだろうか。
「ウ~ン。せいちゃんは、どうしてそんなに性急なの?」
「……」
会いたい、彼との時間がもっとほしい。……それもあるけど、彼はノンケだ。可愛い女性が彼に迫ったら僕などは太刀打ちできない。
彼をもっと独占したい。欲にまみれた人間だということは伝えることは出来ない。
返事がすぐに出来ない僕に、彼が明るめの口調で言う。
「俺、せいちゃんのこと考えまくるよ。何考えて行動してんだろうとか。離れていると余計考える気がする」
「拓郎君……、拓郎君に考えてもらえるだけで胸がドキドキするよ」
彼に考えてもらっている……。自分だけではない。なんという甘い響きだ。
「うん。そういうの大事な気持ちじゃない? ……えーと、えーと、せいちゃんのこと沢山考えたいから時間が欲しいな。だから、まだ一緒に暮らせない」
「それは、恋心を温めたい、僕への気持ちがまだ卵なのを温めて孵化させたい? そういう気持ちだね。もっと僕を好きになりたいと」
「え? あ? え?………と」
照れ隠しなのか、彼が少し迷ってからコクリと頷いた。
——っ、なんということだ。
彼が僕をもっと好きになりたいと考えている間、僕は自分の気持ちばかり押し付けていた。なんという無粋! 僕は愚か者だ!!
僕の役目は彼に寄り添い彼の卵を温めることだった。
温める……。温める? 身を寄り添い温め合う。いや、彼は気持ち的に温めたいと言っているに違いない。大丈夫だ。おおよそ僕の邪推だ!!
今日はこのまま退散するよ!! 今度スイートルームをとるから、最高の一夜にしよう!
拓郎君が、ポンと肩を叩いた。
「せいちゃん、せっかくだから酒のむ?」
「……っ!!」
それは、どういう意味なんだい!? エンジェルトラップ!? 車で来ている僕に対して酒を飲むとは泊まれということなのかい!? いや、僕は車で来ているとは言っていない。言っていないが分かっているよね……!?
その時、僕は、拓郎君のひらりと伸びている襟首から胸元を見た。乳首が…………シャイン。
番外編 END
アポイントなく拓郎君のマンション前に来ていた。
最近、彼からアポイントを断られるケースが多い。返信はちゃんとくるのだが、いい返事をもらえないでいた。
僕はマンションを見上げ、拓郎君の部屋に灯りが付いていることを確認する。
「——ふ……」
何を不安がっている清一郎。拓郎君と僕は付き合っている。ちょっと手紙を渡すくらい大丈夫だろう。
彼のマンションのインターフォンを鳴らす。『……はい』と拓郎君の声。
「急にすまない。清一郎だ」
名乗ると、暫く後に『——え、せいちゃん!?』と慌てる声が聞こえる。
あぁ、そんなに慌てさせて申し訳ない。
ドアが開くと、拓郎君が顔をのぞかせ僕を見て「普通だ……」と怪しむような顔をする。
「急に来て済まない。少し時間はあるだろうか?」
玄関先で手紙だけ渡すのでもよかったのだが、風呂上りらしい濡れた髪の毛の彼があまりに可愛いものだから、少し欲をかいてしまった。
「…………うん。散らかってるけど、どうぞ」
「ありがとう。アポイントなく来てしまったので用が済んだらすぐに帰————」
帰るよという言葉は衝撃で失った。
僕を部屋に招く彼。
風呂上りの彼は、少し濡れた髪の毛に白い大きめのTシャツとジャージ姿だ。
「……っ!!」
鼻血が出そうなので口元を押さえた。大丈夫だ。鼻血は出ていない。しかし、そう思うくらいの刺激はあった。
そのTシャツはお気に入りなんだね。
分かるよ。自分に合う着心地の服ってあるからね。
何度も何度もその服を着ているのだろう。大きめの服は少しクタクタになっている。可愛いのだが、彼の胸が若干、す……透けているのだ。
「——ゴクン」
み、魅惑的すぎる!!
どうしたら、いいのだ。アポイントなく急に来て、その部位をジッと眺めるなど紳士のすべきことではない。
しかし、僕は、そのエンジェルトラップに打ち勝って見せる!
その胸をもっと見たい、なんなら服を脱がせたい! そう思う心に必死に抗う。目線を必死に彼の胸から外す。なんとか、案内されたテーブル前に座った。
「せいちゃん、お茶しかないけど、どうぞ」
そう言って、僕の前に拓郎君がかがんでお茶を差し出してくれる。襟首の広がるそのTシャツがビロ~ンと広がっ————……乳首、シャイン!!!!!!!!!!
「はぁっ!!」
服から見える彼の小さなシャイン乳首に僕は思わず悲鳴を上げてしまう。
言葉を失う迫力だ……。
目が勝手に彼の重力に導かれてしまう!! 尖って……る……。その小ぶりの乳首はまるで小惑星か? 僕の手が君の小惑星に着陸したいと疼き出す。……いいや!! 駄目だ!! 理性的になれ!!
「お茶、ありがとう。頂くよ」
お茶を持つ手が震えてしまう。
彼と抱き合って、もう何日も身体を繋いでいない僕になんという試練を与えるのだ。
一度目は我慢できなくて性急だったため、二度目は夜景のキレイなホテルでと計画しているんだ。身体だけではない、心まで甘く溶かす手筈であっただろう!?
耐えろ。耐えるんだ。清一郎。
「せいちゃん、どうしたんだ? 用事ってなに?」
「————……あぁ、君と言う名の甘いトラップに引っかかりたい」
は? と拓郎君の冷静な声に僕は理性を取り戻す。ゴホンと咳払いして用件を伝える。
「……すまない。拓郎君に手紙を持ってきたんだ」
「手紙? 俺に? なんで?」
「僕と一緒に暮らすメリットについて書いてみた。是非読んでほしい」
「……」
手紙を受け取った拓郎君が苦笑いをして困った顔をした。
——……焦り過ぎだと分かっている。前回断られて、まだ日も経っていない。だけど、会える時間が本当に少ないのだ。
彼は頬を指で掻いて視線を彷徨わせた。
やっぱり、断わられるのだろうか。
「ウ~ン。せいちゃんは、どうしてそんなに性急なの?」
「……」
会いたい、彼との時間がもっとほしい。……それもあるけど、彼はノンケだ。可愛い女性が彼に迫ったら僕などは太刀打ちできない。
彼をもっと独占したい。欲にまみれた人間だということは伝えることは出来ない。
返事がすぐに出来ない僕に、彼が明るめの口調で言う。
「俺、せいちゃんのこと考えまくるよ。何考えて行動してんだろうとか。離れていると余計考える気がする」
「拓郎君……、拓郎君に考えてもらえるだけで胸がドキドキするよ」
彼に考えてもらっている……。自分だけではない。なんという甘い響きだ。
「うん。そういうの大事な気持ちじゃない? ……えーと、えーと、せいちゃんのこと沢山考えたいから時間が欲しいな。だから、まだ一緒に暮らせない」
「それは、恋心を温めたい、僕への気持ちがまだ卵なのを温めて孵化させたい? そういう気持ちだね。もっと僕を好きになりたいと」
「え? あ? え?………と」
照れ隠しなのか、彼が少し迷ってからコクリと頷いた。
——っ、なんということだ。
彼が僕をもっと好きになりたいと考えている間、僕は自分の気持ちばかり押し付けていた。なんという無粋! 僕は愚か者だ!!
僕の役目は彼に寄り添い彼の卵を温めることだった。
温める……。温める? 身を寄り添い温め合う。いや、彼は気持ち的に温めたいと言っているに違いない。大丈夫だ。おおよそ僕の邪推だ!!
今日はこのまま退散するよ!! 今度スイートルームをとるから、最高の一夜にしよう!
拓郎君が、ポンと肩を叩いた。
「せいちゃん、せっかくだから酒のむ?」
「……っ!!」
それは、どういう意味なんだい!? エンジェルトラップ!? 車で来ている僕に対して酒を飲むとは泊まれということなのかい!? いや、僕は車で来ているとは言っていない。言っていないが分かっているよね……!?
その時、僕は、拓郎君のひらりと伸びている襟首から胸元を見た。乳首が…………シャイン。
番外編 END
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