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第3章 白狼と最愛の人
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王宮での仕事終わり。
今日もガイアスの家に泊まる予定のミアは、昼に料理人達とオーブンにかけていた肉料理を確認しに行こうと調理場へ向かっていた。
しかしその途中で、兄であるカルバンと出会い部屋に呼ばれた。
「どうしたの?仕事の話なら明日がいいけど…」
部屋に入り、ソファに横並びに座る。ミアがもう勤務時間外であることを伝えると、「違う」と言う。
そして、黙っている兄を不審に思いミアが顔を覗き込んだ時、カルバンがミアを抱きしめた。
「わっ、びっくりした~!何?!」
「ミア、私の話を聞いてくれ。」
真面目な兄の声に、何だ何だと言葉を待っていると、「ミアの結婚だが…」と話し出した。
「おめでとう……。」
続きを待つミアだが、カルバンはそれ以上何も言わない。どういうことなのか意味が分からず、兄をバリっと剥がして意図を聞く。
「ミアに祝いの言葉を言ってなかったからな。」
兄の言葉に、たしかにそうだと記憶を遡る。結婚の報告をした時、反対したり怒ったりはしなかったものの、目の輝きは消え、数日間骸のように過ごしていた。そして最近も徐々に元には戻っていたが、時々溜息をついたりと元気がなかった。
反対しないことで、認めているのだと特に気にしていなかったミアだが、カルバンはずっとそれを気に掛けていたようで、ホッとした顔をしている。
「ありがとう兄様。もう平気?」
「大丈夫ではないが、大丈夫だ。」
カルバンは弟と妹を溺愛しており、数年前、スーシャに婚約者ができた時には数か月引きずっていた。今ではすっかり婚約者と仲良くしているが、初めて挨拶に来た時は殴り掛かろうとするカルバンを数人で取り押さえたくらいだ。
2回目とあって大分耐性がついてきたのだろう、カルバンは数週間落ち込んだだけで済んでいるが、心の中で様々な葛藤があったようだ。
「今度、ガイアスをうちに呼ぶといい。」
「兄様…。」
今まで、お披露目式後と挨拶以外でガイアスを王宮に連れて来たことはなかった。
特に深い意味がある訳ではないが、カルバンに遠慮していた面があることも事実だ。ミアは「ありがとう」と言って、兄を抱きしめた。
「ああ、やはり嫌だ!ミアは私のものだ!!」
結局最後に本音を吐き出したカルバンは、その声に気付いた妻が部屋に入ってきたことにより引き剥がされ、その姿を見ていた子ども達が、きゃっきゃと手を叩いて笑っていた。
・・・・・
ガイアスは息を飲み、その美しさに目を奪われる。
「ねぇ、何か言ってよ。」
「綺麗だ…とても、」
さんざん言われ慣れているだろう言葉しか出て来ずもどかしい。しかし、この美しさを何と表せば良いのか。控室の椅子に腰掛けるミアは今、純白の結婚式衣装に身を包んでいた。
サバル国とシーバ国の両王に呼ばれた日から数か月が経った。
両国では新しい婚姻に関する法が定められ、世間は賑わった。そして、サバル国では大々的に公にされていないが、シーバ国ではミアの婚約を祝って1か月程お祭が続いた。今日は王宮の入口を開放し、国民が参加できる結婚のお披露目式が行われる日だ。
シーバ国の狼達は皆、王族が人間の男と結婚するというこの歴史的な日に立ち会えるとあって賑わっていた。今も、まだ式が始まる前だというのに、多くの狼の歓声が聞こえてくる。
ガイアスとミアは式の3日前にサバルとシーバ両王からの文書を受け取り、それにサインしたことで結婚は既に成立している。しかし、その後は迫りくる式の準備で忙しく、その余韻に浸ることもできなかったのだ。
そして、今やっとお互いの姿を見て、結婚したという自覚がじわじわと湧いてきていた。
「ガイアスも凄く…うう、かっこいい。」
ガイアスの着ている衣装は、この婚礼の為に作られた黒い騎士服だ。その袖や胸元には、シーバの王宮服の柄にあるような刺繍が施してある。そして揃いの長いマントには、これまた見事な刺繍がしてあった。
悔しそうに言うミアに、ふっと笑うガイアスは、近寄って白い衣装を見つめる。
「俺もちょーっとだけ騎士っぽいデザインにしてもらったんだ。」
ミアの指を視線で追っていくと、マントを指差した。ただ、とろんとした素材でできているそれは、マントというよりはショールのようで、やはり王宮色を強く感じた。
「お揃いだな。」
ガイアスの嬉しそうな声に、はにかんだミアがガイアスに近づいて上を向く。ガイアスはその唇に引き寄せられるように自らの顔を近づけた。
「あ、ちょっと待って!」
自分から誘っておいてギリギリで静止するミアに、どうしたのかとガイアスがその様子を見守っていると、キョロキョロと周りを見回していた。
「よし、いないな。」
「イリヤ殿か?」
いつもこういうタイミングで現れるイリヤだ。今回もありえると思っていたが、考えすぎだったようだ。確かにここはミアのみが入れる控室であり、急に入ってくるような者はいないだろう。
ちゅ、
再び向き直ると、ミアに被さるように立ったままキスをする。
そのまま口を離して見つめ合っていたが、またどちらともなく口を寄せる。
幸せでキスの途中に笑ってしまったミアに「なんで笑っている」と問いかけながら、キスをしてくるガイアスが、薄く唇を開いた。そのことに気付いたミアは口を開けて受け入れようとしたが、
「その辺でお止めください。主役の口が腫れては国民に失礼ですよ。」
声がして扉の方へ勢いよく向いた2人。そこには腕を組んで立っている従者がいた。
「イリヤ!なんで入ってくるんだよっ!」
「お二人とも、今から式が始まるというのに、そうやって口を吸ってばかりいないで下さい。髪もセットしたのに、そのように触っては駄目です。」
ミアの項に回されたガイアスの手をイリヤが石の力で剥がす。
「式が終わるまでは接触禁止です!」
「は、はい。」
「分かった。」
従者の圧に押され、2人とも頷くしかなかった。
「ミア~、準備できた?」
コンコン、と音がしてリースの声が聞こえる。返事をすると扉が開けられ、リースとスーシャ、そしてカルバンが入ってきた。
「ミアもガイアスさんも素敵だね~!」
「よく似合ってるわ!」
白黒でセットのようになったミアとガイアスを2人が褒めていると、無言だったカルバンが「う…っ」と言って片手を目頭に当てた。
「ちょ、兄様…泣いてるの?」
「…泣いてない。」
ミアが慌てて尋ねるが、その言葉の後、肩を震わせて泣き始めた。兄の涙なんてめったに見ることのないミアが焦ったように姉に目を向けると、なんとスーシェも目からポタポタと涙を流し始めた。
(え、え、何この状況…!)
リースは…と振り向いたところで、大粒の涙を零す弟が視界に入る。
(え~!リースもか!)
恐らく兄の涙に感化されたのであろうスーシェとリースは、「ミアァ~、」と言いながら涙を流し、それを兄であるカルバンがぎゅっと抱き寄せている。
おろおろとガイアスを見ると、ミアと同様どうして良いのか分からないようで、立ち尽くしている。
そんなカオスな状況を見かねたイリヤが、「はいはい、出ていきますよ。」と3人を部屋から無理やり出した。
「では、ミア様とガイアス様、お時間まで何もせず過ごしてください。」
『何もせず』を強調したイリヤは、そう言い残すと扉を閉めた。
「皆ミアのことを愛しているんだな。俺のものになってしまって大丈夫か?」
「うん、俺はガイアスだけの狼になりたい。」
その言葉に、また自然と唇を寄せ合った2人だが、寸前のところでイリヤの顔が思い浮かび、同時に顔を離す。
「後でだな。」
「うん…。」
2人はガイアスの控室で待つジャックウィル家の家族に会いに行くことにした。
今日もガイアスの家に泊まる予定のミアは、昼に料理人達とオーブンにかけていた肉料理を確認しに行こうと調理場へ向かっていた。
しかしその途中で、兄であるカルバンと出会い部屋に呼ばれた。
「どうしたの?仕事の話なら明日がいいけど…」
部屋に入り、ソファに横並びに座る。ミアがもう勤務時間外であることを伝えると、「違う」と言う。
そして、黙っている兄を不審に思いミアが顔を覗き込んだ時、カルバンがミアを抱きしめた。
「わっ、びっくりした~!何?!」
「ミア、私の話を聞いてくれ。」
真面目な兄の声に、何だ何だと言葉を待っていると、「ミアの結婚だが…」と話し出した。
「おめでとう……。」
続きを待つミアだが、カルバンはそれ以上何も言わない。どういうことなのか意味が分からず、兄をバリっと剥がして意図を聞く。
「ミアに祝いの言葉を言ってなかったからな。」
兄の言葉に、たしかにそうだと記憶を遡る。結婚の報告をした時、反対したり怒ったりはしなかったものの、目の輝きは消え、数日間骸のように過ごしていた。そして最近も徐々に元には戻っていたが、時々溜息をついたりと元気がなかった。
反対しないことで、認めているのだと特に気にしていなかったミアだが、カルバンはずっとそれを気に掛けていたようで、ホッとした顔をしている。
「ありがとう兄様。もう平気?」
「大丈夫ではないが、大丈夫だ。」
カルバンは弟と妹を溺愛しており、数年前、スーシャに婚約者ができた時には数か月引きずっていた。今ではすっかり婚約者と仲良くしているが、初めて挨拶に来た時は殴り掛かろうとするカルバンを数人で取り押さえたくらいだ。
2回目とあって大分耐性がついてきたのだろう、カルバンは数週間落ち込んだだけで済んでいるが、心の中で様々な葛藤があったようだ。
「今度、ガイアスをうちに呼ぶといい。」
「兄様…。」
今まで、お披露目式後と挨拶以外でガイアスを王宮に連れて来たことはなかった。
特に深い意味がある訳ではないが、カルバンに遠慮していた面があることも事実だ。ミアは「ありがとう」と言って、兄を抱きしめた。
「ああ、やはり嫌だ!ミアは私のものだ!!」
結局最後に本音を吐き出したカルバンは、その声に気付いた妻が部屋に入ってきたことにより引き剥がされ、その姿を見ていた子ども達が、きゃっきゃと手を叩いて笑っていた。
・・・・・
ガイアスは息を飲み、その美しさに目を奪われる。
「ねぇ、何か言ってよ。」
「綺麗だ…とても、」
さんざん言われ慣れているだろう言葉しか出て来ずもどかしい。しかし、この美しさを何と表せば良いのか。控室の椅子に腰掛けるミアは今、純白の結婚式衣装に身を包んでいた。
サバル国とシーバ国の両王に呼ばれた日から数か月が経った。
両国では新しい婚姻に関する法が定められ、世間は賑わった。そして、サバル国では大々的に公にされていないが、シーバ国ではミアの婚約を祝って1か月程お祭が続いた。今日は王宮の入口を開放し、国民が参加できる結婚のお披露目式が行われる日だ。
シーバ国の狼達は皆、王族が人間の男と結婚するというこの歴史的な日に立ち会えるとあって賑わっていた。今も、まだ式が始まる前だというのに、多くの狼の歓声が聞こえてくる。
ガイアスとミアは式の3日前にサバルとシーバ両王からの文書を受け取り、それにサインしたことで結婚は既に成立している。しかし、その後は迫りくる式の準備で忙しく、その余韻に浸ることもできなかったのだ。
そして、今やっとお互いの姿を見て、結婚したという自覚がじわじわと湧いてきていた。
「ガイアスも凄く…うう、かっこいい。」
ガイアスの着ている衣装は、この婚礼の為に作られた黒い騎士服だ。その袖や胸元には、シーバの王宮服の柄にあるような刺繍が施してある。そして揃いの長いマントには、これまた見事な刺繍がしてあった。
悔しそうに言うミアに、ふっと笑うガイアスは、近寄って白い衣装を見つめる。
「俺もちょーっとだけ騎士っぽいデザインにしてもらったんだ。」
ミアの指を視線で追っていくと、マントを指差した。ただ、とろんとした素材でできているそれは、マントというよりはショールのようで、やはり王宮色を強く感じた。
「お揃いだな。」
ガイアスの嬉しそうな声に、はにかんだミアがガイアスに近づいて上を向く。ガイアスはその唇に引き寄せられるように自らの顔を近づけた。
「あ、ちょっと待って!」
自分から誘っておいてギリギリで静止するミアに、どうしたのかとガイアスがその様子を見守っていると、キョロキョロと周りを見回していた。
「よし、いないな。」
「イリヤ殿か?」
いつもこういうタイミングで現れるイリヤだ。今回もありえると思っていたが、考えすぎだったようだ。確かにここはミアのみが入れる控室であり、急に入ってくるような者はいないだろう。
ちゅ、
再び向き直ると、ミアに被さるように立ったままキスをする。
そのまま口を離して見つめ合っていたが、またどちらともなく口を寄せる。
幸せでキスの途中に笑ってしまったミアに「なんで笑っている」と問いかけながら、キスをしてくるガイアスが、薄く唇を開いた。そのことに気付いたミアは口を開けて受け入れようとしたが、
「その辺でお止めください。主役の口が腫れては国民に失礼ですよ。」
声がして扉の方へ勢いよく向いた2人。そこには腕を組んで立っている従者がいた。
「イリヤ!なんで入ってくるんだよっ!」
「お二人とも、今から式が始まるというのに、そうやって口を吸ってばかりいないで下さい。髪もセットしたのに、そのように触っては駄目です。」
ミアの項に回されたガイアスの手をイリヤが石の力で剥がす。
「式が終わるまでは接触禁止です!」
「は、はい。」
「分かった。」
従者の圧に押され、2人とも頷くしかなかった。
「ミア~、準備できた?」
コンコン、と音がしてリースの声が聞こえる。返事をすると扉が開けられ、リースとスーシャ、そしてカルバンが入ってきた。
「ミアもガイアスさんも素敵だね~!」
「よく似合ってるわ!」
白黒でセットのようになったミアとガイアスを2人が褒めていると、無言だったカルバンが「う…っ」と言って片手を目頭に当てた。
「ちょ、兄様…泣いてるの?」
「…泣いてない。」
ミアが慌てて尋ねるが、その言葉の後、肩を震わせて泣き始めた。兄の涙なんてめったに見ることのないミアが焦ったように姉に目を向けると、なんとスーシェも目からポタポタと涙を流し始めた。
(え、え、何この状況…!)
リースは…と振り向いたところで、大粒の涙を零す弟が視界に入る。
(え~!リースもか!)
恐らく兄の涙に感化されたのであろうスーシェとリースは、「ミアァ~、」と言いながら涙を流し、それを兄であるカルバンがぎゅっと抱き寄せている。
おろおろとガイアスを見ると、ミアと同様どうして良いのか分からないようで、立ち尽くしている。
そんなカオスな状況を見かねたイリヤが、「はいはい、出ていきますよ。」と3人を部屋から無理やり出した。
「では、ミア様とガイアス様、お時間まで何もせず過ごしてください。」
『何もせず』を強調したイリヤは、そう言い残すと扉を閉めた。
「皆ミアのことを愛しているんだな。俺のものになってしまって大丈夫か?」
「うん、俺はガイアスだけの狼になりたい。」
その言葉に、また自然と唇を寄せ合った2人だが、寸前のところでイリヤの顔が思い浮かび、同時に顔を離す。
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