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第二章:秋本夢美――②
秋本夢美――②
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六月二十五日、土曜日。
学校や会社が休みでテンションの上がる人が飽和するこの日に、あたしは適当な理由をつけて家を出た。
最寄駅から電車に乗り、隣町である植染で下車。
それから駅の中にあるお店でパンとジュースを買い、客待ちのタクシーを掴まえた。
「山神地区にあるバス停までお願いします」
ドアを開けてくれるのを確認するなり即座に乗り込み、開口一番にそう告げる。
バス停の有無を含めた簡単な情報は、昨日紗由里から教えてもらっているのでこの辺りのやり取りはスムーズにこなせる。
「はい」
バックミラー越しに柔和な笑みを浮かべた初老の運転手は優しい声で告げて、静かに車を発進させる。
「お嬢さん一人であんな何もない所へでかけるのかい?」
出発して間もなく、運転手からそんな質問を投げかけられたけれど、
「はい。来月に友達とキャンプをしようと思って、その下見に行くんです。皆用事があるからって、あたし一人に押し付けられちゃって」
六月二十五日、土曜日。
学校や会社が休みでテンションの上がる人が飽和するこの日に、あたしは適当な理由をつけて家を出た。
最寄駅から電車に乗り、隣町である植染で下車。
それから駅の中にあるお店でパンとジュースを買い、客待ちのタクシーを掴まえた。
「山神地区にあるバス停までお願いします」
ドアを開けてくれるのを確認するなり即座に乗り込み、開口一番にそう告げる。
バス停の有無を含めた簡単な情報は、昨日紗由里から教えてもらっているのでこの辺りのやり取りはスムーズにこなせる。
「はい」
バックミラー越しに柔和な笑みを浮かべた初老の運転手は優しい声で告げて、静かに車を発進させる。
「お嬢さん一人であんな何もない所へでかけるのかい?」
出発して間もなく、運転手からそんな質問を投げかけられたけれど、
「はい。来月に友達とキャンプをしようと思って、その下見に行くんです。皆用事があるからって、あたし一人に押し付けられちゃって」
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