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第四章:決壊する絆
決壊する絆 2
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「あけましておめでとうございます!」
三学期が始まり、最初の活字愛好倶楽部の集まりで、馬鹿みたいに元気な挨拶を口に出したのは、無駄に元気を持て余したようなテンションの妃夏だった。
「あけましておめでとうございます。どうぞ、今年もよろしくお願い致します」
そんな妃夏へ、泉が丁寧な挨拶を返し
「あけましておめでとうございます」
それに倣うように、守草も簡単な挨拶を口にする。
「ああ、今年でもうあたし三年生になるのかぁ……。嫌だなぁ、一年あっという間だなぁ」
年末に俺が襲われたのと同じ憂鬱感を吐き出し、妃夏は自分が使っている席へのそりとした動きで腰を下ろす。
今日は三学期の初日で、始業式とホームルームが終わり集まりたいメンバーだけ自由に集まるという、まぁいつも通りの流れの中、九条先輩以外の全員が部室に顔を揃えていた。
九条先輩は学校には来ていたと思われるが、姿は誰も確認しておらず部活に来ない理由もわからない状態ではあるが、勉強で忙しいのかもしれないということでみんなひとまず納得している様子だった。
「九条先輩じゃないけど、受験勉強したくないよぉ……。でも就職もしたくない。もっと学生でいたい。あと五年くらい高校生でも良くないかな?」
「留年すれば良いだろ」
「新年早々酷いこと言われるなぁ」
軽口をたたく俺にノリの良い返答をして、妃夏は頬杖をつきながらどこかやる気のない顔をみんなにさらしてくる。
「どうしました、星咲先輩?」
「休み明けでボケてるのか?」
泉と俺が心配する声をかけると、
「うん、まぁね。冬休みはずっと夜型人間になってたから、眠いのが辛い。寒いしさ、朝起きるのも嫌になってきて」
そう素直にやる気のなさを白状し、緩んだ笑みをみせてきた。
「自己管理くらいしっかりしろよ」
「仕方ないでしょ。お正月は親戚の家に出かけたりでばたばたしてたしさぁ、積んでた本の消化もしたかったし次の新作も書きたかったし。もうね、寝てる時間が惜しいくらいで」
欠伸を噛み殺して喋る妃夏は、そう言って頬杖をつくのを止めるとそのまま机に突っ伏してしまう。
「ちゃんと睡眠は取らないと駄目だよ。この間ネットで見かけたけど、睡眠不足は寿命縮めるらしいから、未来の作家さんなら気をつけないと」
「ん……ありがとう。守草くんは才樹と違って思いやりあるね。その心、大事にしてね」
突っ伏したまま守草へ視線を送り、妃夏はにんまりと笑う。
「寝不足が慢性化すると、何だっけ……心筋梗塞とか脳卒中? みたいな、かなりヤバい症状を発症するんだっけか? 小説家に限らず他のクリエイターも、ブログとかで結構警鐘鳴らしてるの見かけるよな。見た感じ元気そうだったのに、ある日突然倒れてそのままみたいなさ、急逝知らせるコメント発表してるの、毎年一、二件くらいリアルタイムで見てるぞ。妃夏……お前倒れるなよ?」
「やめてよ、縁起悪い。あたしはまだまだ元気だよ。若いしね」
「そういう油断が駄目だって、守草も言ってくれてるんだろうよ」
「あけましておめでとうございます!」
三学期が始まり、最初の活字愛好倶楽部の集まりで、馬鹿みたいに元気な挨拶を口に出したのは、無駄に元気を持て余したようなテンションの妃夏だった。
「あけましておめでとうございます。どうぞ、今年もよろしくお願い致します」
そんな妃夏へ、泉が丁寧な挨拶を返し
「あけましておめでとうございます」
それに倣うように、守草も簡単な挨拶を口にする。
「ああ、今年でもうあたし三年生になるのかぁ……。嫌だなぁ、一年あっという間だなぁ」
年末に俺が襲われたのと同じ憂鬱感を吐き出し、妃夏は自分が使っている席へのそりとした動きで腰を下ろす。
今日は三学期の初日で、始業式とホームルームが終わり集まりたいメンバーだけ自由に集まるという、まぁいつも通りの流れの中、九条先輩以外の全員が部室に顔を揃えていた。
九条先輩は学校には来ていたと思われるが、姿は誰も確認しておらず部活に来ない理由もわからない状態ではあるが、勉強で忙しいのかもしれないということでみんなひとまず納得している様子だった。
「九条先輩じゃないけど、受験勉強したくないよぉ……。でも就職もしたくない。もっと学生でいたい。あと五年くらい高校生でも良くないかな?」
「留年すれば良いだろ」
「新年早々酷いこと言われるなぁ」
軽口をたたく俺にノリの良い返答をして、妃夏は頬杖をつきながらどこかやる気のない顔をみんなにさらしてくる。
「どうしました、星咲先輩?」
「休み明けでボケてるのか?」
泉と俺が心配する声をかけると、
「うん、まぁね。冬休みはずっと夜型人間になってたから、眠いのが辛い。寒いしさ、朝起きるのも嫌になってきて」
そう素直にやる気のなさを白状し、緩んだ笑みをみせてきた。
「自己管理くらいしっかりしろよ」
「仕方ないでしょ。お正月は親戚の家に出かけたりでばたばたしてたしさぁ、積んでた本の消化もしたかったし次の新作も書きたかったし。もうね、寝てる時間が惜しいくらいで」
欠伸を噛み殺して喋る妃夏は、そう言って頬杖をつくのを止めるとそのまま机に突っ伏してしまう。
「ちゃんと睡眠は取らないと駄目だよ。この間ネットで見かけたけど、睡眠不足は寿命縮めるらしいから、未来の作家さんなら気をつけないと」
「ん……ありがとう。守草くんは才樹と違って思いやりあるね。その心、大事にしてね」
突っ伏したまま守草へ視線を送り、妃夏はにんまりと笑う。
「寝不足が慢性化すると、何だっけ……心筋梗塞とか脳卒中? みたいな、かなりヤバい症状を発症するんだっけか? 小説家に限らず他のクリエイターも、ブログとかで結構警鐘鳴らしてるの見かけるよな。見た感じ元気そうだったのに、ある日突然倒れてそのままみたいなさ、急逝知らせるコメント発表してるの、毎年一、二件くらいリアルタイムで見てるぞ。妃夏……お前倒れるなよ?」
「やめてよ、縁起悪い。あたしはまだまだ元気だよ。若いしね」
「そういう油断が駄目だって、守草も言ってくれてるんだろうよ」
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