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しおりを挟む「じゃあ今日の授業はここまで」
ここはとある学園の教室だ。授業が終わり私は教室を出て廊下を歩く。
「先生さようなら」
「はい、さようなら。気をつけて帰ってね」
廊下ですれ違った生徒から挨拶をされたので私も挨拶を返す。先生というのは私のことを指している。
そう、私は今は教師として働いているのだ。
◇◇◇
あの後国境にたどり着いた私は目指していた国に無事入国を果たした。
その国とはアレス国。
私のもといた国であるドルマン国の隣にある国だ。隣の国と言っても言語が同じなだけで国の方針は大きく異なっている。
ドルマン国は基本男性社会で出世できるのは貴族のみだ。それに対しアレス国は実力さえあれば男性も女性も貴族も平民も関係ない。
私は一人で生きていこうと決めていたのでドルマン国では生きづらいと思い、アレス国を目指したのだ。
アレス国に着いてからしばらくは宿屋を拠点に市場で魔法薬を売っていた。道具も材料もあり、一番重要な魔力も豊富にあるから商品を作るのには苦労しなかったがなかなか売れない日々が続いた。
理由は分かっている。売っている場所が悪いのだ。
魔法薬を普段よく使うのは冒険者や魔法や剣を使う仕事をする人だ。普通の薬に比べると魔法薬は価格が高いので自宅用にと購入する人は平民ではまずいない。
それなら冒険者ギルドの近くや冒険者ギルドで買い取ってもらえばいいのだろうが、そこはまだ慣れぬ国での女性一人。冒険者の中には荒くれ者もいるだろう。何かトラブルに巻き込まれたら嫌なので、慣れるまでは周りにたくさんの目がある市場で売るのが安心だと考えたのだ。もちろんたくさん売れるに越したことはないのだが。
それと髪と瞳の色は茶色のままで過ごしている。平民の中でも淡い色の髪や瞳の人はいるが極少数だ。本当の色に戻すとどうしても目立ってしまうので当分は魔法薬で茶色のままでいるつもりだ。
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